Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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関西代表者会議 「新しき波」を起こしゆく使命の道を

1997.5.17 スピーチ(1997.5〜)(池田大作全集第88巻)

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1  関西は広布の民衆運動の電源地
 おかげさまで上海より、元気に帰ってまいりました。(拍手)
 多くの皆さま方のご祈念をいただき、感謝申し上げたい。
 上海は大阪と姉妹都市(友好都市)の交流を結んでいる。上海の方々から関西の創価学会の友人に「くれぐれもよろしく」との伝言がありましたので、お伝えさせていただく。(拍手)
 かつて若き闘士が「中国革命」の火蓋を切ったのも上海であった。
 女性たちが、古い社会の変革に真っ先に立ち上がったのも上海であった。
 今、二十一世紀へ「改革・開放」の先頭に立って、大中国をたくましく牽引しているのも、上海である。
 伸びゆく国土、また伸びゆく組織には、必ず要となって、全体を引っ張っていく「電源地」の存在がある。人民の国・中国にあっては、上海である。
 そして、広宣流布の民衆運動にあっては、わが関西である。(拍手)
 関西には、「創価」すなわち「価値創造」のエネルギーを沸騰させながら、澎湃として、新しい勝利の大波を起こし、新しい希望の人材を育て、そして新しい栄光の歴史を創りゆく「使命」がある。いな「責務」がある。いな「誓願」がある。
 私にとっても、本年は、入信五十周年。関西への第一歩より四十五周年。不敗の「大阪大会」より四十周年。新たな常勝関西の大前進を開始するために、上海から、まっすぐに原点の錦州城に戻らせていただいた。(拍手)
2  関西に着くと、安心する。
 関西は広宣流布の「模範」である。「柱」である。「軸」である。「土台」である。
 日本全国へ、全世界へ、もう一回、ここから波を起こし、波を広げてまいりたい。本当の創価学会を教え、つくり、残しておきたい。私と一緒に、やりましょう!(拍手)
 魔と戦い、難と戦ってこそ成仏はある。ゆえに、戦う信心の人は、いつも若々しい。広宣流布へ戦闘する人は、生き生きとしている。そして生々世々、素晴らしき仏国土に生まれてこられるのである。
3  五十年、百年単位で未来を展望
 キッシンジャー博士は、私との対談集で、次の話を紹介している。
 ある人がが毛沢東主席に聞いた。
 「フランス革命を、どう評価しますか?」
 毛沢東は答えた。
 「評価を出すには、まだ時期尚早でしょう」
 フランス革命から二百年近くたっていたころの話である。百年、千年の単位で歴史と世界を見つめておられたスケールの大きさが、うかがえる。
 私たちも見つめているのは二十一世紀、二十二世紀、二十三世紀、末法万年である。
 かつて発表したように、二十一世紀の前半は「第二の七つの鐘」を打ち鳴らしながら、東洋をはじめ世界の平和の基盤をつくってまいりたい。
 「生命の世紀」――二十一世紀の後半は、「生命の尊厳」の哲学を時代精神にし、世界精神へと定着したい。
 二十二世紀の前半には、世界の「恒久の平和」の崩れざる基盤をつくりたいと願っている。
 その基盤のうえに、二十二世紀の後半には、絢爛たる人間文化の花が開いていくであろう。
 ――私は、今は二十二世紀のことを考えている。二十一世紀は、もう見通しているつもりである。二十三世紀の半ば(二二五三年)、日蓮大聖人の立宗千年を迎える。このあたりから、次の展開が始まるであろう。
 これらは、もちろん「予言」というようなものではなく、平和を願う「決意」ということで申し上げておきたい。
 広宣流布は「末法万年」の長期戦であるゆえに、五十年、百年単位で展望しながら、「今」を勝っていくことが正しい軌道だからである。私は万年を見つめて、着々と手を打っている。
4  エマーソン――大目的へ「鉄の信念」で進め
 未来がどうなるか、それはだれもわからない。わかるのはただ「未来の果は現在の因にあり」ということである。
 ゆえに今、目先にとらわれず、「偉大なる目的」を胸に抱いて立ち上がることである。
 「勝利は、だれの手にあるか」
 これについて、エマーソンは述べている。
 「勝利は、つねに、落着いて偉大な目的をいだいて働く者の手にあります。真理にみちた精神を持っている人には、世人の変り易い評判がつきまといますが、それは大西洋の波が、月の引力にひかれて高まるのに似ています」(「アメリカの学者」から。斉藤光訳、『エマソン選集』1所収、日本教文社)
 「偉大なる目的」を抱いて日々を働け! その人々が必ず勝利する、と。
 その人には、定見なき世間の悪口が、つきまとう。それは、偉大なる月が厳然と天空にあり、引力で波を引きつけているようなものだ。ゆえに、天空から波を見おろしていけばよいのだ。
 アメリカ・ルネサンスの旗手エマーソンは、こう叫んだのである。
 またエマソンは言う。
 「好人物な人間は余るほどいるが、高慢な者に戦い勝つ鉄の心をもった正義の味方はとぼしい」(「若いアメリカ人」、原島善衛訳、同選集4所収)
 人がいいだけでは、高慢な連中をのさばらせる。「鉄の心」で戦う人でなければ正義の人ではない。
 今、広宣流布へ「鉄の信念」で戦ってこそ、その人が二十一世紀をつくっている。二十二世紀、二十三世紀をつくっている。その時にも活躍できる原因を、わが生命に刻んでいるのである。
5  中国の知恵「人はだまされやすい」
 御書に「市の中の虎」という言葉がある。(伝教大師の言葉を数カ所で引用されている)
 末法において、戒律を持った聖人のような人間はいない。そんな「人間以上の人間」にみせかける悪い僧侶は、「町の中に虎がいる」ようなもので、ありえない――ウソである。だまされてはいけない! たぶらかされるな! という意味である。
 中国に、こんな話がある。
 ある国(魏)の王子が大国(趙)に人質にとられることになった。
 王子とともについていく忠臣が、出発の前に王さまに言った。
 「王さま、今、一人の人間が『市場に虎が現れた!』と言ったら、それを信じますか?」
 「いや、信じない」と王さま。
 「では、二人の人間が、『市場に虎が現れた!』と言ったら、王さまはそれを信じますか?」
 王は「『もしかしたら』と疑うだろう」と。
 「それでは三人の人間が『町に虎が現れた!』と言ったら、王さまは信じますか?」
 「うん、それならば、わしは信じるだろう」
 忠臣は、そこで言った。
 「そもそも、市場に虎が出るはずがありません。それにもかかわらず、たった三人の者が口をそろえて言っただけで、虎が現れたことになってしまうのです」
 ――それほど人間はだまされやすい。自分で考えてみようとしない。
 忠臣は「王さまは、私が、この都を離れて遠くへ人質になって行ってしまうと、私の悪口をたくさん聞くでしょう。私をおとしいれようという人間は、三人どころではありません。しかし、絶対に信じないでください」
 王さまは「わかった、だまされない」と約束したが、やっぱりだまされてしまい、忠臣は迫害されることになった。
 『戦国策』(紀元前一世紀の書)に出てくる話である。(「戦国策」の魏の巻から)
6  全国の配達員の皆さま、毎日、本当にありがとうございます。
 アメリカ・ルネサンスの作家、ソローは「森の生活」(神吉三郎訳、岩波文庫)の中で、次のような趣旨を書いている。
 ――朝こそは神聖な時である。朝こそは汚れなき時間である。
 朝は、他の時間には眠っている我々の内部の″気高い魂″を目ざめさせる。
 朝は、英雄たちの時代をよみがえらせる。
 インドの聖典にいわく「すべての智慧は朝とともに目ざめる」
 中国の古代の王いわく「日に新たにして、日に日に新たなり」
 朝!
 天体の奏でる音楽の波、大気をみたす香り。
 朝、太陽とともに歩む者は、前の晩よりも一層高い生活へと目ざめる。
 その人の人生こそ「上り坂」の人生である!――と。
7  配達員の皆さまこそ「朝」の気高さと美しさを知る方々である。「太陽とともに歩む」方々である。「日に日に新たに」進歩する方々である。皆さまの人生こそ、一歩一歩が「上り坂」の人生である。大変であるが、一歩一歩、歩むたびに視界が開けてくる人生なのである。
 最後に、西口関西長を中心に、今再び二十一世紀へ向かって、大関西の新しき太陽よ、赫々と昇りゆけ! と申し上げ、私のスピーチとしたい。
 (関西文化会館)

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