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日蓮大聖人・池田大作

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沖縄婦人部最高会議 「正しい」と信ずることを実行せよ

1997.3.3 スピーチ(1996.6〜)(池田大作全集第87巻)

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1  ガンジーは若き乙女に長文の激励を
 今、広宣流布の連帯は、ますます勢いを増して、世界に広がっている。その偉大なる推進力は、なんといっても女性である。婦人部である。わが沖縄婦人部も、広宣流布のために本当によく働いてくださった。歩いて歩いて、足が鉄板のようになるまで歩き抜いて、勝利の道を開いてこられた。
 すべて日蓮大聖人がお見通しであられる。生々世々に「功徳の城」に包まれていくことは絶対に間違いない。沖縄婦人部の素晴らしいスクラムは、アジア全体の模範でもある。
2  アジアの婦人部といえば、インド創価学会の女性支部長との出会いも忘れられない。彼女は「インド国立図書基金」の編集長兼理事という要職にあり、社会においても堂々たる実証を示しておられる。
 タゴールの研究家としても大変に著名であり、またいくつもの言語を自在に使いこなす言語学者であり、さらにジャーナリスト、美術評論家など、まことに多彩な立場で、縦横無尽に活躍してこられた。教育学博士で児童のための小説も執筆。さらに、成人の識字率の向上にも貢献されている。
 過日(一九九六年十一月末)、インド創価学会の総会の日には、デリーの四大紙の一つ『ザ・パイオニア(開拓者)』に、女史を紹介する記事が大きく掲載された。記事の見出しは「彼女は中道を歩む」。その中でも、女史は、自らが信ずる仏法の素晴らしさを、実に晴れ晴れと語っておられる。
3  さて来日に際し、同支部長は、あのマハトマ・ガンジーのまことに貴重な直筆書簡を持参くださった。それは、女史の母君が、牢獄のガンジーから受け取った手紙である。手紙の日付は一九三三年(昭和八年)二月二十一日。この時、ガンジーは六十三歳。女史の母君は、十五歳の乙女であった。
 両親は、独立運動の闘士として、ガンジーとともに戦っていた。当時、ガンジーは、プーナ(モンバイ=旧ボンベイ南東の都市)のヤルヴァダー刑務所に捕らわれていた。正義の人を苦しめようという弾圧であった。
 しかし、獄中にありながらガンジーは、「歴史上、最大の社会改革運動の一つ」と評価される、新たな闘争を起こしていたのである。すなわち彼は、カースト制度によって最も差別されている人々の解放を目指す組織を創立した。
 そして、新たな機関紙「ハリジャン」を創刊した。「ハリジャン」とは「神の子」という意味である。そこには″最も虐げられてきた人々こそ、最も尊重されねばならない″との叫びが凝縮している。そうした歴史的な戦いの渦中にあってガンジーは、一人の乙女のために、長文の励ましの返書を書き送ったのである。
 青年を育てたい! 青年の心に未来の勝利の「種」を蒔(ま)いておきたい! これが真実の指導者の行動である。
4  その手紙は、グジャラート語という言葉でつづられている。ガンジーは実に気さくである。「私のような田舎者には、あなたの気取らない文章が、とても心地よいです」と語りかけている。
 またガンジーは、乙女からの相談に誠実に応えながら、こう語っている。「あなたが決断したことについて、私には何とも言えません。結果を見て初めて、称賛されるべきかどうかがわかるということだけ、言っておきます」と。厳しくも深き信頼の言葉である。
 大事なことは、よき結果を出すことである。ひとたび決めたならば、断じて結果を出す。それをガンジーは、じっと見守っていたのである。
5  ガンジーは、その際、「時間を無駄にせず、よく考えて使いなさい」とも教えている。
 かけがえのない人生の「時」を、いかに使い、いかに価値創造していくか。「時」をはずしてはならない。「時」を逃してはならない。仏法は「一念」という瞬間瞬間の生命に、最大の焦点を当てている。
 「如来」とは、「如々として来る」というごとく、瞬間瞬間の躍動の生命をも意味する。一切が、瞬間で決まっていく。この瞬間瞬間を最高に充実させて、すべてをいい方向に、いい方向にと向け、活かし、前進していく力が信心である。
 そしてガンジーは、乙女の若き生命に刻みつけるように記している。「どんな苦境にあっても、獅子の心をもてば、必ず道は開ける」と。素晴らしい言葉である。
 こうしたガンジーのメッセージを生涯、胸に抱きしめながら、彼女の母君は、戦い抜いて立派な人生を飾られた。
 彼女はつづっておられる。「母は臨終のその時まで、お題目を唱え続けて、息を引き取りました。母が受け取ったガンジーの書簡が池田先生の手もとにあることを、母はきっと喜んでくれると思います」深く合掌しながら、私は、この書簡を拝見した。
6  釈尊、ガンジーの「魂の戦い」をSGIが継承
 ともあれ、精神の大国・インドの知性は、ガンジーの精神の継承をSGI(創価学会インタナショナル)に期待してくださっている。この信頼に、私どもは、一段と力強く応えてまいりたい。
 (たとえば、ガンジーの直弟子であった、ガンジー記念館のパンディ副議長は、こう語っている。
 「非暴力という『魂の戦い』は釈尊によって提唱され、ガンジーによって広く『民衆の力』として現実化されました。そして今、その『魂の戦い』を続け、戦争や権力による支配に決然と『非暴力』の戦いを挑んでおられるのが、池田博士なのです。池田博士の思想は、今や全世界に根を張りつつあります。多くの後継の人々が将来、全世界に広がっていくことでしょう」と)
7  なお、支部長は、ガンジーの書簡とともに彼の『箴言集』も届けてくださった。その中から、次の言葉を皆さまに捧げ、スピーチとしたい。
 「恐怖に屈すれば、真実さえも抹殺されてしまう。自らが正しいと信ずることを恐れずに実行する――これが黄金律である」(黄金律とは、第一に従うべき「永遠不滅の規範」)
 「我々の信念は、常に燃え続ける灯火のようでなければならない。それは我々に光明を与えるだけでなく、周囲をも照らすのだ」

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