Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

沖縄代表者勤行会 広布と人生の名操縦を

1997.2.25 スピーチ(1996.6〜)(池田大作全集第87巻)

前後
2  今回、香港へ向かった飛行機は、JAL(日本航空)便。いつものことながら、名操縦、名サービスの空の旅であった。とくに、松尾俊介機長の飛行は、まことに見事であった。
 私は、飛行機に乗るたびに、多くの人命を預かる機長をはじめ、乗務員の方々のご苦労を思う。とともに、地上で、安全な運航を祈り、支えておられる多くの方々の心労を思い、心で謝するのが常である。
 松尾機長の父君であられる日本航空の松尾静磨第二代社長が、十年以上に及ぶ在任中、一切無事故で、「安全運航一〇〇%」を築き上げられたことは有名である。
 亡き松尾社長は、こうつづっておられた。
 「四六時中、否、一分一秒でも油断ができない。どの瞬間を捉えても、われわれの飛行機は、北極の上か、印度洋の上か、あるいは本州の上か、いずれにしても地球上のどこかを飛んでいるからである」「私は年がら年中、神経の休まる暇がない。夜中に電話がかかってこようものなら、まず、覚悟して受話器を取るのである」(『空に生きる――魂ある繁栄のために』ダイヤモンド社。以下、引用は同書から)
 その心情は、私にも、痛いほどよくわかる。とくに、かつての登山会の輸送には、どれほど命を削る思いで無事故を期してきたか、言語に尽くせない。
 登山会といえば、ここ沖縄からも、以前は一週間がかりであった。それほどまでして尽くした庶民の真心を踏みにじった宗門の極悪と残酷さは、永劫に許されない。
 今も、全世界で二十四時間、SGI(創価学会インタナショナル)の同志が動いている。ゆえに寸時も、気を抜くことはできない。
3  上に立つ人の使命感、責任感、人間性で決まる
 松尾社長は、安全のために最も大切なのは、上に立つ人の「使命感」と「責任感」と「人間性」であるとされていた。また、人命にかかわることは、慎重のうえにも慎重を心がけていく「勇気ある臆病」が必要であると、教えておられた。
 私も、まったく、その通りであると思う。
 松尾社長は、自ら、早朝や深夜に整備工場へ足を運んで、作業員をねぎらうことも、しばしばであったという。社長は「一隅を照らす、これ則ち国の宝なり」との伝教大師の言葉を通しながら、縁の下で支える人々こそ「国の宝」であり、「会社の宝」であると大切にされていた。
 「学会の宝」もまた「陰の人」である。
 松尾社長は、こうも記されている。
 「天気の悪い日など、家へ帰ってまず私の頭に浮かぶのは、『今日の運航はどうだったかな』ということである。そういうときには、無意識にといってよいくらい、決まって電話の受話器をとり、ダイヤルを回すのである。そして、逐一運航状況を聞くと、『どうもありがとう。ご苦労さん』といって受話器を置く」
 「このときの『ご苦労さん』という言葉は、運航任務についている乗務員諸君、ならびに各空港で夜昼休みなく働いてくれている社員諸君へ、心から口をついて出る私の言葉である。こうして、私自身、心にかけている気持が、やがては安全確保につながるものであることを、私は固く信じているのである」と。
 広宣流布のリーダーも、上に立てば立つほど、心して指揮をとっていかねばならない。また、「ありがとう」「ご苦労さま」という、心からの言葉が、皆のエネルギーになっていくのである。
4  油断なき「強き信心」に諸天善神の「強き守り」
 日蓮大聖人は、身延を訪ねてきた門下の四条金吾が鎌倉に戻る際、敵をもつ金吾の身を案じられた。その御心境を、金吾が無事、鎌倉へ着いたあと、こう書かれている。
 「返す返す今度の道は・あまりに・おぼつかなく候いつるなり、敵と申す者はわすれさせてねらふものなり、是より後に若やの御旅には御馬をおしましませ給ふべからず、よき馬にのらせ給へ、又供の者ども・せんにあひぬべからんもの又どうまろ胴丸もちあげぬべからん・御馬にのり給うべし
 ――かえすがえすも、このたびのあなたの帰り道は、あまりにも心配でした。およそ、敵というものは、狙っていることを相手に忘れさせ、油断させて狙うものです。今後、もし旅に出られる際は、馬を惜しまれてはなりません。よい馬に、お乗りなさい。また、お供には、万一の場合に備えて役に立つ者たちを連れ、馬は鎧をつけても耐えられる馬にお乗りなさい――。
 一人の門下の無事故のために、ここまで人情の機微もこまやかに、具体的に心を砕く――これが日蓮大聖人であられた。
5  さらに大聖人は、こう戒めておられる。
 「摩訶止観第八に云く弘決第八に云く「必ず心の固きに仮つて神の守り則ち強し」云云、神の護ると申すも人の心つよきによるとみえて候、法華経はよきつるぎなれども・つかう人によりて物をきり候か
 ――天台大師の『摩訶止観』の第八、ならびに妙楽大師の『弘決』の第八に、『必ず心が堅固であることによって、神の守護が強い』とあります。神が守るといっても、それは、人の心が強いことによるということです。法華経は、よい剣ですが、使う人によって、切れ味が違ってくるのです――。
 この「心」とは要するに「信心」である。強き信心の人を、諸天も強く守る。
 強き信心の「心」に、最高の決心、慈悲心、用心、勇猛心が含まれ、智慧が含まれ、福徳が含まれている。
6  一切が、人材で決まる。「強き心」の人材で決まる。わが沖縄創価学会も、二十一世紀へ、さらに堅固に、「難攻不落の人材城」を築き上げていただきたい。
 ともあれ、きょうもまた尊き全同志が、一日、無事安穏であれ! 幸福という目的地へ向かって、「生活」と「人生」と「広布」の名操縦を! と、私は祈りゆく日々である。
 結びに、すべての役員の皆さま方に、重ねて心から御礼申し上げ、私のスピーチとさせていただく。
 どうか、ご家族の皆さま、地域の同志の方々にも、くれぐれもよろしくお伝えください!

1
2