Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

第三回アジア文化教育会議(最終日) 指導者の目的は会員の幸福

1995.11.9 スピーチ(1995.5〜)(池田大作全集第86巻)

前後
2  ここで、御書を拝したい。
 教学が大切である。人体でいえば「骨」にあたる。教学がしっかりしていれば、信心は崩れない。
 日蓮大聖人は「信行学」と仰せである。信仰は、あくまで「信行」が基本である。そのうえに「学」を身につければ、これほど強いことはない。
 なお、聖教新聞でも大きく報道されたように、中国語版の御書の編纂も順調に進んでいる。まことに意義深き「仏法西還せいかん」の偉業である。関係者の労を心からたたえたい。
3  大聖人は、四条金吾への御手紙の中で仰せになっている。
 「なによりも承りて・すずしく候事は・いくばくの御にくまれの人の御出仕に人かずに・せられさせ給いて、一日・二日ならず御ひまもなきよし・うれしさ申すばかりなし、えもん右衛門たいう大夫をやに立ちあひて上の御一言にてかへりてりたると殿のすねん数年が間のにくまれ・去年のふゆはかうとききしに・かへりて日日の御出仕の御とも・いかなる事ぞ、ひとへに天の御計い法華経の御力にあらずや」──お聞きして、何よりも爽快に思うことは、ずいぶんと主君に憎まれていたあなた(四条金吾)が、出仕のお供の人数の中に加えられ、しかも一日、二日だけではなく毎日、暇もないとのこと。それを聞いて、私は、うれしさを言い表せません。
 右衛門大夫(池上兄弟のうち兄・宗仲)が、信仰ゆえに親と対立したけれども主君の一言で勘当が許されたことと、あなた(四条金吾)が、この数年の間、憎まれ、去年の冬は特に大変だと聞いていたのに、今は反対に、毎日、主君の出仕にお供しておられるのは、どうしたことでしょうか。ひとえに諸天善神のお計らいであり、法華経の御力ではないでしょうか──。
 四条金吾と池上兄弟をはじめ、自身の信仰を貫くゆえに数々の圧迫を受けてきた門下のことを、大聖人はいつも心にかけておられた。
 ただただ仏子の幸福を願い、常に祈り念じておられた。まさに「毎自作是念」の御姿であられた。
 (法華経寿量品の自我偈じがげの最後に、「つねに自らの念をさく 何をってか衆生しゅじょうをして無上道むじょうどうり すみやかに仏身を成就することを得せしめん」とある。仏は常に、人々を無上道に入らせ、速やかに成仏させようと念じていること)
 大聖人は、「仏法は勝負」の堂々たる現証を門下が示せるように、厳然と導いてくださったのである。
4  最極の「人間性の振る舞い」こそ
 人の世のわびしい習いとして、順調な時は、皆、寄ってくるが、いざ苦境に立たされると、離れてしまう。それどころか、悪口や批判で、ますます追い込もうとするものである。
 仏法者の生き方は正反対である。苦しみ悩む友、逆境と懸命に戦っている人、そうした人々をこそ、守りに守っていく。未来に希望をもち、現在に勝っていけるよう励ましていく。心に温かく″滋養″を送りながら、ともに肩を組み、ともに前へ前へと進んでいく。
 こうした最極の「人間性の振る舞い」を教えられたのが、日蓮大聖人である。
 わがSGIこそ、この大聖人の御心に連なる「麗しき人間連帯の世界」である。
5  ところで、なぜ四条金吾が、たびたび敵から命をねらわれ、襲われながら、乗り越えることができたのか。大聖人は「前前の用心といひ又けなげといひ又法華経の信心つよき故に」とたたえておられる。
 すなわち、第一に「前前の用心」つまり事前の細心の注意であり、緻密な心くばりである。その知恵は真剣さから生まれる。
 第二に「けなげ」つまり勇気である。第三に「強き信心」である。
 この三つがあれば、何も恐れるものはない。断固として、勝利を切り開ける。
6  法華経にまさる兵法なし
 そして大聖人は重ねて、油断なきように金吾を励まして、こう仰せである。
 「なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給うべし、「諸余怨敵・皆悉摧滅」の金言むなしかるべからず
 ──いかなる兵法よりも″法華経の兵法″を用いていきなさい。法華経(薬王菩薩本事品)に「もろもろ怨敵おんてき、皆、ことごと摧滅さいめつす」とある金言は、決して、むなしくはないのである(必ず敵を打ち破れるのである)──。
 いかなる邪智の策略があろうとも、「法華経にまさる兵法なし」である。この大確信で堂々と獅子の人生を生き抜いてまいりたい。
 仏法に行き詰まりはない。題目の力にかなうものはない。唱題によって、必ず一切を一番いい方向に変えていける。すべてを喜びに変えていけるのである。
 すべての同志が、これ以上ないという幸せを、つまり経文に説かれる「無上道の人生」を満喫できるように──。それが、私たちの人生の総仕上げの戦いである。
7  アジア各国から来られた皆さま、また日本の交流団の皆さま、本当にご苦労さまです。
 妙法の同志のもとへ、交流のため、仏道修行のため、広宣流布のために遠路、足を運ばれた。その「心」が尊い。その「心」に三世永遠の福徳が具わることを確信していただきたい。
 シンガポールの皆さまには、大変にお世話になり、心から感謝申し上げたい。
 大切な皆さま方のますますのご健康とご長寿、そして、それぞれの国の繁栄と平和を、私はこれからも真剣に祈り続ける。
 ともどもに、最高に価値ある、この「正義の王道」を歩み抜いてまいりましょう!

1
2