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日蓮大聖人・池田大作

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第3回アジア文化教育会議(第二日) アジアは「平和の心」で連帯

1995.11.7 スピーチ(1995.5〜)(池田大作全集第86巻)

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2  これまでも何度も申し上げてきたが、SGIは、一人一人が「良き市民」「良き国民」、そして「良き地球市民」として、楽しい人生、素晴らしき人生を歩んでいくことが根本である。
 皆が、幸福に輝く勝利者となっていく──これがSGIの目的である。
 同志が功徳を受け、幸福になった姿を見ることが、私の一番の喜びである。これほど、うれしいことはない。そのためにも、第一にも仲良く、第二にも仲良く、第三にも仲良く、進んでいただきたい。そして、家庭を大切にし、友人を大切にし、社会を大切にしながら、無限の希望に生き抜いていただきたい。
 その意味において、SSA(シンガポール創価学会)は、まさに模範の発展を示してこられた。
 この八月に行われた建国三十周年を祝賀する祭典には、政府からの要請を受け、千人の代表が出演し、見事なマスゲームを披露した。その大喝采の活躍は、よくうかがっている。またひとつ偉大な歴史を開かれた皆さまに、改めて″おめでとう!″と申し上げたい。
 また、このたび開催される「SSA青年友好芸術祭」には、シンガポール国内のみならず、日本をはじめ世界各地から、大きな期待が寄せられている。
 青年の成長ほど、うれしいものはない。青年の活躍ほど、心躍るものはない。
 シンガポールをはじめ、アジア各国においても、青年部、未来部の更なる育成を、よろしくお願い申し上げたい。
3  キング夫妻の「勇気」の闘争
 かつて私は、シンガポールの皆さまに捧げた詩(『獅子の都』に緑なす道)の中で、「勇気」というの二字を贈った。(前回の初訪問(一九八八年二月)の折)
 困難を恐れない挑戦の気概
 何事にもくじけない持続の意志
 正義を貫く崇高な信念
 自分に負けない強き一念
 ──それらすべては
 この『勇気』より始まる
 『臆病』は卑怯を培養ばいよう
 『勇気』は人の真価をつちかう
 ゆえに
 大勇猛心だいゆうみょうしんを奮い起こして
 人間王者の王道をひた走るのだ
 歴史上、こうした「勇気」を貫いた一夫妻に、アメリカの黒人解放の指導者であったマーチン・ルーサー・キング博士(ノーベル平和賞受賞者)と、夫人のコレッタ・キング女史がおられる。
 聖教新聞でも紹介されたが、コレッタ女史は先月(十月十二日)、アメリカ創価大学を訪問され、「マーチン・ルーサー・キングの遺産」と題して講演をしてくださった。(同大学の「人権講演会」シリーズの一環)
 女史は、キング博士の最も信頼する同志として、偉大なる人権闘争の歴史を綴られた方である。当時、アメリカの公民権運動は熾烈しれつをきわめ、弾圧者から、いつ殺されてもおかしくなかった。実際、女史は、家に爆弾を投げ込まれ、子供とともに殺されそうになったこともある。
 しかし、彼女は、いかなる脅迫や危険にさらされようと、ひるまなかった。
 ″あなた(キング博士)が、どこへ行こうとも、私は、あなたとともに闘い続けます──″と、恐れるどころか、ますます闘志を炎と燃え上がらせたのである。
 そうした夫人の存在があってはじめて、キング博士は存分に闘うことができた。
4  キング博士の闘った歴史的な抗議運動に、「バーミングハム(アラバマ州の町)の闘い」がある。
 この年(一九六三年)は、リンカーン大統領による奴隷解放宣言の発布から、ちょうど百周年にあたり、人々の大きな目標の年となっていた。
 キング博士は、この年を迎えるにあたり、バーミングハムの町を拠点に定めた。
 なぜ、この町を選んだのか。それは当時、この町がアメリカ南部で最も人種差別の激しい場所だったからである。博士は考えた。
 「バーミングハムでの抗議運動は、最も至難をきわめるにちがいない。そのかわり、もし成功すれば、それは、この国を覆う人種差別の屋台骨を打ち壊すことができるにちがいない」
 リーダーが、最も困難なところに自ら飛び込んで、突破口を開いていく。そこに、勝負を決するカギがある。
5  バーミングハムの闘いで、キング博士が逮捕され、投獄された時のことである。警察当局の不法な措置によって、博士は牢獄のどこかに隔離されてしまった。生きているか、死んでいるかさえわからない。博士の命は、風前の灯のように思われた。
 その時、夫人のコレッタ女史は、意を決して、当時のケネディ大統領に電話をする。
 しかし、すぐに電話がつながるはずもない。
 だが、彼女はあきらめなかった。″夫の身の安全を確認してほしい──″
 彼女の切なる訴えは、人を介して、ついに大統領の知るところとなった。
 彼女の電話によって、本格的な調査が始まり、事態は急転直下、改善の方向へと向かう。その結果、彼女は夫を救ったばかりか、バーミングハム闘争勝利への確実な一歩を開くことになったのである。
6  「戦い続ける心」が「人間としての勝利」
 女性の知恵と勇気が、目に見えないところで歴史を動かしていく。まさに学会の婦人部の皆さまの行動が、そうである。
 このバーミングハムの闘いは、激しい攻防戦の末に、キング博士たちが全面勝利。その勝利の勢いは、全米に大きな波動となって広がっていったのである。
 「心こそ大切」である。状況がどうであれ、自分自身の胸中に「戦う心」が燃えているかどうかである。何があろうと「戦う心」を燃やし続けた、その姿が人間としての「勝利」なのである。一時の勝敗という次元ではなく、「戦い続けた」事実によって、人間として、また信仰者として、永遠性の次元での勝者となる。その人の歴史は必ず後世まで輝いていく。
 人種差別との戦いも、順調な時など、なかった。しかし人々は、人権のために「戦う心」を燃やし続けた。その持続によって、うねりをつくり、社会を進歩させたのである。
 紆余曲折うよきょくせつはあっても、最終的には、歴史はヒューマニズムの方向に向かって進む。この歴史の大河に逆らう者は、長い目で見れば必ず滅びる。
7  女史は、キング博士の次の言葉を大切に残しておられる。
 「勇気のある人は、恐れに真正面から立ち向かうことによって、恐れに打ち勝つことができる。臆病な人は恐れを直視できないから、それにより、逆に恐れに打ち負かされてしまう。(中略)私たちは、押し寄せてくる恐れの洪水を阻止するだけの、勇気という名の堤防を絶えず築き続けていなければならない」(コレッタ・S・キング編『キング牧師の言葉』梶原寿・石井美恵子訳、日本基督教団出版局)
 「臆病」では幸福になれない。「勇気」こそ、幸福への扉を開くカギである。
 SGIの運動は、人間の自由と平等と尊厳を守りゆく大平和運動である。
 どうか皆さまは、「勇気」という名の堤防で、尊い仏子を守りゆく″心強き″お一人お一人であっていただきたい。
 そして、第一にも健康で、第二にも健康で、素晴らしい人生を送っていただきたい。生々世々、三世にわたって会員を守り切る決意で、素晴らしき指導者になっていただきたい。同志を大切に、青年を大切に、地域を大切にして、広布と社会の大指導者に成長していただきたい。
 歴史に残るアジア文化教育会議、本当にご苦労さま。おめでとう。

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