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日蓮大聖人・池田大作

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SGI環太平洋文化・平和会議 力強き「人間主義の世論」を

1995.1.30 スピーチ(1994.8〜)(池田大作全集第85巻)

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2  あるご婦人を、大聖人は、こう励ましておられる。
 「大風の草をなびかし・いかづちの人ををどろかすやうに候、の中にいかにいままで御しんよう信用の候いけるふしぎ不思議さよ、ふかければかれず・いづみに玉あれば水たえずと申すやうに・御信心のねのふかく・いさぎよき玉の心のうちに・わたらせ給うか、たうとしたうとし
 ──大風が草をなびかし、雷が人を驚かすような(激しい迫害の)世の中にあって、あなたが今まで、この信仰をご信用なされてきたことは、なんと不思議なことでしょうか。根が深ければ葉は枯れず、泉に玉があれば水が絶えないと言われるように、あなたのご信心の根が深く、あなたの心に潔い信心の玉があられるのでしょうか。尊いことです。尊いことです──。
 私には、この御文は、SGI発足以来、二十年間、それぞれの国・地域で、懸命に戦ってこられた皆さま方を、大聖人が賛嘆しておられる言葉と拝されてならない。
 皆さま方こそ、諸天から絢爛たる″福徳のレイ″で包まれゆく人と私は確信する。
3  今回の記念行事には、多くの世界の同志から、メッセージが寄せられている。厳寒の地ロシアのメンバーからも、祝福の言葉が届いている。
 昨年のロシアSGI発足も、その源をたどれば、アメリカである。
 (ロシアの最初のメンバーは、アメリカの地で大聖人の仏法にめぐりあった。アメリカSGIの友の紹介で信仰した)
 アメリカには、世界広布の原点としての、まことに不思議な使命がある。
 ロシアの友は、今回の阪神大震災にも、即座にお見舞いの伝言を寄せてくださった。今も唱題会を開き、関西の復興を祈ってくださっているという。ロシアも、今、苦難の只中にありながら、じつに尊く、ありがたい同志愛である。
 そのけなげな同志をしのびつつ、ロシアの文豪トルストイの話を少々、ご紹介したい。
4  トルストイ「社会は即座に変わる。民衆が真実を語り始めれば」
 トルストイは言う。(「宗教論(下)」中村白葉訳、『トルストイ全集』15、河出書房新社。以下、引用は同書から)
 「人類の生活に、最も大きく、重要な変化が起こるのには」いったい何が必要か。
 「数百万の軍隊の武装」か? 違う。
 「バリケード」や「爆破」か? もちろん違う。
 「ただ必要なのは、世論の変化だけである」
 すなわち、社会を根本から変革するには、何よりも、民衆の意識を変えることだというのである。
 それでは、世論を変化させるには、どうすればよいのか?
 それは「すでに生命を失った過去の世論などに盲従しないこと、つまり、各個人が自分でほんとうに考えたり、感じたりしていることを言うか、もしくはせめて考えてもいないことは口にしないことである」と。
 すなわち″世間がこう言うから″とか、″今までがこうだから″などの考えに流されるのではなく、民衆一人一人が賢くなって、自らの信条を堂々と主張することである。
 トルストイは言う。
 「たとえ少数の人々でも、これを行なえば、時代遅れの世論などはたちまちひとりでに減退し、若い、生きた、真の世論が現われるであろう」
 「ただ嘘をつきさえしなければいいのである」
 「そうすれば、革命家たちがたとえ一切の権力を握って数世紀かかっても達成しえないような変革がたちまちにしてわれらの生活の全機構にわたって行なわれるであろう」
 今、私どもが進めている広宣流布の大言論運動は、まさしくトルストイの期待した「若い、生きた、真の世論」を起こしているといってよい。
 地味に映るかもしれない。しかし、一人一人の「真実を語る声」こそ、歴史を創りゆく最も確かな力なのである。
5  大聖人は、四条金吾にこう仰せである。
 「貴辺又日蓮にしたがひて法華経の行者として諸人にかたり給ふ是れあに流通にあらずや
 ──あなたもまた、日蓮に従い、法華経の行者として人々にこの法を語っておられる。これは、まさに法華経の流通(弘通)の義ではないか──。
 大聖人の御言葉のままに、世界の人々に仏法を語っている皆さま方こそ、総じては、現代の「法華経の行者」であられる。「地涌の菩薩」であられる。
 今、世界の知性・良識は、真剣に仏法を求めている。
 真心の「雄弁」で人々の心を開き、正義の「雄弁」で魔軍を打ち砕き、勇気の「雄弁」で勝利を開きながら、人類史の大転換を、さっそうと成し遂げてまいりたい。
6  トルストイは「婦人は世論をつくる。そして、婦人は、現代において、とくに有力である」(「人生論」中村白葉・中村融訳、『トルストイ全集』16所収、河出書房新社)と語っている。
 彼が、わがSGIの婦人部・女子部の活躍を見たら喝采するにちがいない。
 なお、男性は、婦人部・女子部の意見を最大に尊重しなければならない。絶対に怒ったり、いばったりしてはならないと、改めて確認しておきたい。
7  牧口先生「他人の長所を生かせる人に」
 学会の創立の父・牧口先生は、すでに今世紀の初頭、『人生地理学』の中で、太平洋文明の中心に位置する、ここハワイの重要性を卓見しておられた。
 「東西センター」の講演でも言及したように、ここハワイこそ、「共生」の模範の天地である。
 牧口先生は、エゴにとらわれるのではなく、他者と「共生」できる人格の形成を強調しておられた。
 卓見した教育者であられた牧口先生は、「自分の短所を自覚し他人の長所を見出すことの出来るだけの知能(=知性)のある人」(『創価教育学体系』、『牧口常三郎全集』第五巻)を育てようとされた。そして「他人の長所を利用して、自己の短所を補うと共に、他人の短所を補うのに、自己の長所を惜しげもなく提供するだけの雅量のある人」をつくろうとされたのである。
 これが「創価教育」であり、ここに「創価家族」の和楽が築かれる。
 どうか、各国・各地にあっても、そうした麗しい「異体同心」のスクラムで前進していただきたい。
8  さらに、牧口先生は、人間の生活を三段階に分けて論じられた。
 その三つとは、「他に依存する生活(依他的生活)」「独立的生活」「貢献的生活」である。
 くわしくは略させていただくが、広げていえば、「他に依存する生き方」とは人間として何をなすべきかの自覚もなく、環境に左右されて生きている──いわば″自分がない″生き方ともいえよう。
 従来の多くの宗教は、盲信を強要し、人間の自立を奪ってきた。牧口先生は、そうした隷従を絶対に認められなかった。そうではなく、自立した人格をもって、わが道をいく。これが「独立的生活」に当たろう。さらに、自分だけ尊しと傲慢になるのではなく、他者を尊敬し、貢献する。自他ともの幸福の実現を、人生の目的としていく。ここに「貢献的生活」がある。
 「他への依存」から、「独立」へ、さらに「貢献」へと、一人一人が向上し、思う存分に、生き生きと活躍し、輝いていく──。牧口先生は、こうした「目覚めた民衆の連帯」を訴えられたのである。SGIは、この「貢献的生活」を生きゆく気高き人間主義の団体である。偉大なる「生命の法」にのっとり、労苦を厭わず、「人々の幸福」と「社会の繁栄」、「文化の興隆」と「世界の平和」に貢献している。
 今回の阪神大震災に際して、わが関西同志が示された「人道の貢献」の姿は、まさに、その証といってよい。(拍手)
9  SGIは朝の太陽、正義は燦然と輝く
 インド創価学会の名誉会長であるラダクリシュナン博士が、今回の文化祭、また私の講演に、わざわざ参加してくださった。
 その博士が、このようなインドの言葉を紹介されていた。
 「朝の太陽が昇る直前、ミミズはそれをって、背伸びをして太陽を脅そうとする。しかし、何もできはしない」と。
 博士は、これを通し、「ミミズのような連中が、どんなに圧迫を加えようとも、SGIは、まさに朝の太陽です。結局は、SGIの正義が燦然と輝きわたることを信じます」と、励ましを送ってくださったのである。
 今、日顕宗の正体も、ますます、だれの目にも明らかになってきた。私どもは、いよいよ、はつらつと、二十一世紀の希望の旭日を輝かせてまいりたい。
 アジア・オセアニアをはじめ、全世界のSGI同志のご健康とご長寿、ご多幸と無事安穏を心よりお祈り申し上げ、スピーチとさせていただく。
 どうか、ご家族、また各国・各地の皆さまに、くれぐれもよろしくお伝えいただきたい。
 (ハワイ・オアフ島)

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