Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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SGIアメリカ本部の開館記念勤行会 生命は「戦い」によって進歩する

1993.9.18 スピーチ(1993.6〜)(池田大作全集第83巻)

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1  「大きい心」の人は幸福
 「家族の集い」です。楽しくやりましょう!
 アメリカSGIは「大いなる第二期」を迎えておられる。その堂々たる、そして堅実なる発展を、私はお祝いしたい。
 「心の大きい人」は幸せである。そうなるのが信心である。「心の大きい人」になっていただきたい。
 大きな海には、何でも入る。小さな池には、少しのものしか入らない。
 日蓮大聖人の仏法は宇宙大である。その信仰者である私たちも、「大きな心」に、あの友、この友を容れ、人を大切にし、家族を大切にし、ともに人生を楽しみながら、素晴らしい、大いなる人生を生きてまいりたい。
 もちろん、悪に対しては徹底して厳しく戦わなければならない。そのうえで、友には寛大に、「人の幸せを考えてあげる余裕」のある人であっていただきたい。
 ああ、あの人は病気だ。あの人は経済的に悩んでいる。何とか激励してあげよう──そう思い、祈り、動いてあげられるのが仏法者である。かりに自分は苦しくても、人には喜びを与える。その人が菩薩である。
 自分は何があっても大丈夫だ。自分は心配ない。それよりも、あの人を救おう。あの人に希望を与えよう。そういう「大きな心」の自分自身になっていただきたい。
 それが仏道修行である。この修行の山を登れば、必ず、盤石な福運が生命に積まれていく。
2  「皆から学ぼう」という余裕をもっていただきたい。
 ″あの人の信心は立派だ。学ぼう″″あの人の家庭生活は素晴らしい。学ぼう″″あの人の歩く姿は健康的だ″″あの人のお化粧は、とてもうまい″──だれからでも何か学ぶものがある。
 つねに学ぶ謙虚さは、その人の大きさの表れである。
 とくに、リーダーは、組織の立場が上というだけで、何でも自分が偉いように慢心してしまう。そういう傾向がある。そして、いばったり、立派な人を下に見たりする。それでは人々が離れる。自分の福運も消してしまう。
 リーダーは、立場が上になればなるほど、「皆から学ぼう」という姿勢を強くもっていただきたい。
 まして仏眼・法眼すなわち「信心の眼」で見れば、メンバーは皆、仏様であり、諸天善神なのである。
3  リーダーとは「人に喜びを与える人」
 リーダーとは「人に喜びを与える」人のことである。これがリーダーの根本要件である。
 一般的にも、人を悲しませたり、傷つけたり、抑(おさ)えつけたりする人は、リーダー失格である。
 いわんや仏法の世界である。どこかの法主のように、すぐに、どなったり、ぶんなぐったり、これは論外として、立場に傲って、いばるリーダーは、周囲からもわれ、自分自身をも不幸にしてしまう。
 リーダーは、「あの人に会ったら、本当に『安心』した。『納得』し、心が安らぎ、『勇気』がわいてきた。『自信』がつき、『希望』が出てきた」──そう言われるよう、努力してほしい。
 上から号令し、命令するようなことは絶対にあってはならない。
 友に、ふくよかな「安穏」を与えゆく、優しいリーダーであっていただきたい。
 自分には厳しく、人には優しい。それが「信心が強い」人なのである。
 とくに、女性を叱る男性幹部は最低である。
 ともあれ、リーダー自身の変革で、″新しきアメリカSGI″をさらに立派に建設していっていただきたい。
4  偉大なる「行動する知性」──アメリカ文化本部の皆さまが、このたび『SGIの理念と行動』シリーズ三巻を発刊された。日本でも大きく紹介され、世界に反響を広げている。やがて全米と世界の図書館にも納められていくことになろう。
 先日お会いしたタフツ大学のハンター博士(宗教学部長)も高く評価しておられた。(ハンター博士が序文を寄せている)
 一九九三年(平成五年)は、創価学会の創立者である牧口先生の入獄から五十年。そして五十回忌に当たる。
 先生は、つねづね「思想を大事にせよ」「思想を残したまえ」と語っておられた。アメリカ文化本部の皆さまの今回の壮挙を、牧口先生はどれほど喜ばれていることであろうか。
5  本日の勤行会には、広布の最前線で指揮をとっておられる地区部長、地区担当員の皆さまが多く参加されている。皆さまこそ、尊貴なる使命の方々である。
 私もかつて、地区部長に当たる役職を経験した。本当に苦労の多いお立場である。しかし、仏法は煩悩即菩提であり、すべての苦労は、輝く″宝石″となる。これが信心である。
 皆さまの日々のご活躍に私は心から御礼申し上げたい。サンキュー・ベリー・マッチ。
6  戸田先生も、地区部長、地区担当員を、こよなく大切にしておられた。そして、絶大なる信頼をこめて″ともに座談会で戦おう!″と呼びかけられた。
 戸田先生は言われた。
 「法華経のなかに『法華経をたもつものあれば、立って仏がきたように迎えをせよ』といわれている。
 いったい、三人だって同志がおったら、喜んで話しあって帰ってこなければならない。
 たった一人でもいい、一人でも、その一人の人に、ほんとうの妙法蓮華経を説く。
 たった一人でも、自分が心から話しあい、二人でもいい、感激しあって帰るくらいの座談会にしてほしい。
 たった一人でも聞いてくれる者がある。一人の人に会えばよいのである。
 きょうは一人のおばあさんと話しあってみる。あのおばあさんが喜んで帰った、ああよかったな──。これが大事なのである」と。
 大きい会合で、うまくしゃべって喝采を浴びる──それはむしろやさしい。それだけであれば、自己満足であり、人気取りならば組織利用である。
 一人の人に心からの満足を与えることのほうが、本当の仏道修行なのである。
7  ペイン「私は愛する『困難の中で笑える者』を」
 アメリカ独立革命に、大きな影響を与えた著述家のトマス・ペイン(一七三七〜一八〇九年)。彼は、こう言っている。
 「私は、困難な中で笑える者、苦しみを通して強くなる者、非難されて勇気を出す者を愛する」と。
 私も、そういう人を愛する。そういう人生を生きてきた。
 ペインは、続けて、こう言っている。
 「しり込みをするのは小心者のすることだ。だが不動の心を持ち、良心の命じるままに行動する者は死に至るまで自分の主義を貫き通すことだろう」
 信念は、勇気を生む。信仰は最高の信念である。ゆえに、信仰者は最大の勇気の人であらねばならない。
8  世界的な天文学者であり、ロスアンゼルス郊外の「ウィルソン山天文台」の所長であるジャストロウ博士は、壮大なる生命の進化の歴史をふり返って、こう論じておられる。
 「逆境、苦闘といった言葉は、言外にうしろ向きな意味あいを含んでいるが、実は、それらが生命の原動力だったのだ。逆境がなければ圧力はなく、圧力がなければ変化も起こらないからである」(『太陽が死ぬ日まで』小尾信彌監訳、集英社文庫)
 創価学会は、常に逆境に真っ向から立ち向かってきた。ゆえに大発展した。ゆえに「進歩」への不動の道ができあがったのである。逆境がなく、戦いがなかったならば、決して盤石な建設はできなかったであろう。この道は、生命発展の法則であり、私たちの永遠の軌道である。
 アメリカSGIは大きく向上している。堅実に伸びている。どうか決して焦らずに一歩一歩、着実に進んでいただきたい。
 いよいよSGIアメリカ本部がオープンした。心から祝福申し上げたい。
 また、ハワイにも新文化会館が明年春、完成する。さらにボストンにも平和と文化のセンターが構想されている。その他、一歩一歩、アメリカの充実へ、私も、できうるかぎり応援する決心である。
9  エマーソン「改革なき宗教は廃物」
 ボストンにゆかりの深い哲人エマーソンは、こう書いている。
 「一つ確実なことは、宗教からなんの改革も出てこないようになれば、その宗教は、もう廃物だということである」(一八七二年の日記、『エマーソンの日記』富田彬訳、有信社)と。
 「生きた宗教」には、つねにみずみずしい「改革」のエネルギーがある。常に惰性を打ち破って、新しい風を起こしていく。
 その意味で、日顕宗は、エマーソンの言う通り、完全な「廃物」である。
 日蓮大聖人の大仏法は、我がSGIのなかにのみ生きている。この厳然たる事実を申し上げ、本日の記念のスピーチとしたい。
 新しいアメリカSGIを、皆の力でつくりましょう!

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