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日蓮大聖人・池田大作

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第一回アメリカ最高会議 指導者は″皆の幸福″に情熱を

1993.3.13 スピーチ(1993.1〜)(池田大作全集第82巻)

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1  先住民の「平和の大法典」に学べ
 十三年ぶり五度目のサンフランシスコ訪問を実現し、懐かしいあの友この友にお会いできて、これほどうれしいことはない。
 また、アメリカで最も美しいとうたわれ、そして、アメリカ広布の偉大なる″原点の地″である、ここサンフランシスコにおいて、各地から、お集まりくださった最高幹部の皆さまと新たな出発をすることができ、喜びにたえない。遠いところご苦労さまでした。
 サンフランシスコをはじめアメリカSGI(創価学会インターナショナル)の皆さまには、九百人を超える大交流団が本当にお世話になり、心から御礼申し上げたい。日本メンバーから感謝の声が続々と届けられている。
2  サンフランシスコの広布の前進は、まことにめざましい。多様性に富んだサンフランシスコで、仲のよい、うるわしい団結を築いておられる。会友運動でも、全米の先駆をきって友情の波を広げられている。学会を守る気概、すなわち正法の広宣流布を進めゆく凛然たる息吹がみなぎっている。
 また文化本部をはじめとする各界の人材の社会での活躍も、よくうかがっている。私は最大にたたえたい。
3  さて、ここサンフランシスコは、五十カ国の代表により「国連憲章」が署名された国連誕生の地である(一九四五年六月)。
 今年は国連の「国際先住民年」であるが、実は、かつてアメリカ十三州の連邦実現に影響を与え、ひいては、この「国連憲章」の遠い淵源ともなったといわれる、アメリカ先住民の英知がある。それは、いわゆる″アメリカ・インディアン″によるイロコイ連盟の知恵である。
 すなわち、西暦一〇〇〇年〜一四五〇年ごろにかけて、アメリカ北東部の先住民五カ国は互いに戦争をやめ、平和的共存を目的として「平和の大法典」を定めた。これをイロコイ連盟と言う。そこには、珠玉の英知が光っている。
 ニューヨークの友が、その研究書を送ってくださったので、何点かご紹介させていただきたい。
4  たとえば、このイロコイ連盟において、各国の首長は男性であったが、そのリーダーを選んだのは、女性たちであったという。いわば、早くも女性の参政権を実現していたことになる。
 首長たちが法典に違反した場合、その国の女性たちは厳しく戒める権利をもっていた。そして、それでも行動を正さない首長は、容赦なく降ろされたのである。
 ──日本の悪い法主もアメリカをはじめとする婦人部によって、とどめをさされている。
5  「平和の大法典」では、指導者のあり方について次のように記されている。
 「五カ国連盟の首長たちは、永遠に人民の師となるべきである。その皮膚の厚さは七層にもなるべきである(怒りや不正や非難にも屈しない強さをもつべきである)」──仏法でいう「忍辱にんにくよろい」にも通じよう。
 「リーダーの心に満ちるのは、平和と善意、また連盟の人々の幸福を心から願う情熱であるべきである。また限りない忍耐力をもって、その責務を果たすべきである。心に憎悪や激怒を抱いてはならない。すべての言動が、冷静な熟慮から発するべきである」と。
 一つ一つ、広布のリーダーにも、あてはまるポイントといってよい。
 彼らのリーダーたちは、命令や強制でメンバーを抑えつけるのではなく、対話の力、人格の力ですべてをリードすることに心がけていたようである。
 ある研究者いわく、インディアンの集団に会った時、だれがリーダーか、まっさきにわかる。なぜか。一番偉そうにしているからではない。その反対である。リーダーは持っているものを、すべて寛大に人々に分け与えてしまい、自分は最も地味な姿をしているからであるという。
 どうか皆さま方も、会員を最大に大切にしていただきたい。
6  戸田先生は言われた。
 「『長』と名がつけば、なにか特別に偉いものになったように思うのは誤りです。同じ凡夫の境涯にあって、おたがいに指導をし、指導を受けるというのが、ほんとうだと思う。もし、自分は偉いという幹部がいたら、私に会わせてほしい」
 「仏の慈悲を胸に受け、自分の妻子をいとおしむごとく、情熱こめて指導しなさい。『長』たるものが、人に尊敬される資格はない。あるとすれば、大御本尊様の功徳であり、もったいないことである。この気持ちが、支部長、地区部長、班長、組長に通じたならば、そのまま御本尊様に通ずるものである」と。
 皆さま方は、会員の皆さまから親しまれ、慕われゆくリーダーとして、笑いさざめく和楽の園をつくりあげていただきたい。
7  日達上人「正法を世界に流布しているのは学会のみ」
 一九六五年(昭和四十年)八月、日達上人をご案内して、ここサンフランシスコを訪れたことも忘れ得ぬ思い出である。日達上人は帰国直後の本部幹部会で、次のようにお話くださった。私自身のことにもなるが、ひとつの歴史としてご紹介させていただきたい。
 「今回は、池田先生のご先導によりまして、アメリカ、メキシコ、ハワイ等を回って帰ってまいりました。ただ今の話の如く、先生の至れり尽くせりのお心尽くしによりまして、誠になんの心配もなく、不安もなく、立派にその使命を果たして、帰ってくることができました事を報告して、先生にご挨拶申し上げます。ありがとうございました」
 ──シアトル事件の日顕とは天地雲泥の違いであられた。また日達上人も日顕の海外での醜態を憂慮しておられた。
 そして日達上人はこう結ばれた。
 「大聖人様の久遠元初の南無妙法蓮華経以外に真実の仏法はないのであります。これを世界に流布しているのは、いま学会以外にはないのであります。まさしくこれ、末法の広宣流布の始まりであり、広宣流布のそのまっただ中であると信ずるのでございます。私は今回初めて、アメリカ、メキシコ等を回って、実にその感を深くしてまいりました」と──。
 今日のこのサンフランシスコの大発展を、日達上人もさぞかしお喜びのことであろう。
8  先ほどのイロコイ連盟の「平和の大法典」にはこうある。
 「現在の世代ばかりでなく、これからの世代すなわち、まだ地上に顔を見せていない未来の国家の生まれざる子どもたちまで構想に含めて、すべての人々の幸福のために、目を見開き、耳をすましていくべきである」と。
 明日はアメリカSGIの第一回青年部総会が開催され、未来部も誕生する。さらに聡明に力強く、「後継の道」を開いてまいりたい。
9  最後に、大聖人は「月月・日日につより給へ・すこしもたゆむ心あらば魔たよりをうべし」──月々、日々に信心を強くしていかれることです。少しでも、たゆむ心があれば(そのすきに)魔がつけこむでありましょう──と戒めておられる。
 私もこれまでの戦いなど、まだまだ小さいと思っている。「いよいよ、これから」である。戸田先生の「民衆の万年の幸福を確立することが創価学会の使命である」との言葉のままに、万年の未来のために、ともどもに、いよいよ堂々と進みゆくことを約し合い、本日のスピーチとさせていただく。

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