Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第1回チリSGI総会 広宣の″アンデス越えたり 我は勝ちたり″

1993.2.24 スピーチ(1993.1〜)(池田大作全集第82巻)

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1  ともに進み、アンデスのごとき永遠の大福徳を
 皆さまとお会いし、皆さまと歴史を刻むために、チリにやってまいりました。皆さまと語り合うことができ、これほど、うれしいことはありません。
 私たちは家族であり、日蓮大聖人のもとに、皆、平等である。特別な人間など、だれもいないし、特別な形式など必要ない。最も自由で、最も価値的な、最も楽しい集いが創価学会である。正法を根本に、皆で仲良く励まし合って、だれよりも「よき人生」を、「幸福な人生」を生き抜くための広布の組織なのである。
2  チリの皆さまは、本当によく頑張ってこられた。
 軍政のもと、厳しい社会状況のなか、皆さまがどれほど苦労しながら活動を進めてこられたか。また、南北四千二百キロという広大な国土にあって、どれほど工夫しながらスクラムを組んでこられたか。私は、すべてうかがっている。
 皆さまの信心に呼応してか、チリの国も立派な進歩と発展を遂げておられる。
 大聖人は「極楽百年の修行は穢土えどの一日の功徳に及ばず」──極楽での百年の修行の功徳も、苦労の多い汚けがれた国土(現実の娑婆世界)で一日修行した功徳に及ばない──と仰せである。
 逆境に負けずに頑張り抜いてこられた皆さまの功徳は、アンデスの山脈やまなみのごとく、限りなく積まれていくことは絶対に間違いない。私は皆さまを心の底から、称賛したい。
 苦労している人を、励ますのが指導者である。頑張っている人を、たたえるのがリーダーである。皆を叱る資格など、だれにもない。皆を喜ばせるために指導者はいる。
3  本日の会合には、全国の各支部の皆さまが参加されている。全世界に皆さまを紹介する意味を込めて呼び掛けさせていただきたい。
 まず、セントラル(中央)支部。福運あふれるチリの″幸福支部″の皆さま。北はイキケから南はバルディアまで南北二千七百キロに及ぶ広大な舞台──本当にご苦労さま。
 プリマベーラ(春)支部。いつも仲良く明るい歌声の絶えない″歌声支部″の皆さま。それぞれのご家庭でも、どうか麗しい和楽のハーモニーを奏でてください。
 サンミゲール支部。チリ広布の出発点、″原点支部″の皆さま。きょうはペルー国境のアリカ(北に二千百キロ)からも出席されている。ようこそいらっしゃいました。
 エスメラルダ(エメラルド)支部。チリ最大にして、若き人材の宝庫・″宝石支部″の皆さま。後輩を自分以上に立派に輝かせてください! そして皆、裕福になって、一人残らずエメラルドをいっぱい持っているという支部になっていただきたい。
 プログレソ(前進)支部。誠実をモットーに、団結第一で進む″前進支部″の皆さま。アンデスのごとき、友情の山脈を築きましょう。
 そして各支部と日本・各国の支部との姉妹交流を提案しておきたい。日本からの交流団も、もっと来るようになるでしょう。
4  貴国の大詩人・ネルーダは、ノーベル文学賞受賞(一九七一年)のスピーチで語っている。
 「『燃えあがる忍耐』によってのみ、我々は、全人類に光と正義と尊厳を与えてくれる『輝ける』町を征服することができるのです」と。
 「燃えあがる忍耐」──ここにこそ、「苦難の闇」を「希望の暁」へと転じゆくカギがある。このことを、偉大なるチリの民衆は(民主主義を勝ち取って)歴史のうえで証明された。
5  恩師の遺言のままに走りし三十五星霜
 ご存じのとおり、チリの地で、私は「五十カ国訪問」の節を刻ませていただいた。全世界の同志の祈りの結晶である。心から御礼申し上げたい。
 日本から一番遠い国で、ちょうど五十カ国。チリ訪問は、不思議なる、また忘れ得ぬ歴史となった。戸田先生も、さぞかし喜んでくださっていることであろう。
 今から三十五年前の三月、ご逝去の約二週間前のことである。先生は、もはや起き上がることができないほど衰弱されていた。しかし、私を枕元に呼んで、メキシコへ行った夢を見たと楽しそうに語ってくださった。ここと同じ、ラテン・アメリカの夢であった。
 「待っていた、みんな待っていたよ。日蓮大聖人の仏法を求めてな。行きたいな、世界へ。広宣流布の旅に……」──。
 そして、私にこう遺言されたのである。
 「君のほんとうの舞台は世界だよ」「人類の幸福と平和の実現こそ、仏法の本義なのだからな」「君は世界に征くんだ」
 「本物の道」が一つあれば何でもできる。それが「師弟の道」である。
 私は、戸田先生の道を歩み、戸田先生の道を広げながら、そこに、さまざまな花を咲かせ、実を結ばせてきた。五十カ国歴訪もその一つである。いよいよ、これからが本番である。皆さまとともに、全世界を楽しく朗らかに、駆けめぐってまいりたい。
6  大聖人は「賢きを人と云いはかなきを畜といふ」──振る舞いにおいて、賢いものを人といい、愚かなものを畜生というのである──と仰せである。
 最大に賢明に、最大に聡明に、価値ある人生を生きていくための仏法である。
 どうか信心されていない人にもよく気を使って、お互いに尊敬し合っていただきたい。焦らず、友情を大切にしながら、皆と仲良くしていくのが、私たちの信仰である。決して無理をせず、伸び伸びと前進していただきたい。
 ご家庭でも、信仰のことで争うことは、愚かである。仲良く、よき人生を送るための信仰が、それでは反対になってしまう。お互いに、まずは、にっこり笑顔で迎える家族であっていただきたい。また、お子さんの前で夫婦げんかをしないこと。子供はとても苦しむものである。そして父親は子供を叱らない。とくに父母の両方が一緒に叱ってはならないと思う。
 そういう知恵と心遣いで、信心の福徳に包まれた「遊楽」の人生を送っていただきたい。大聖人は「南無妙法蓮華経と唱うるより外の遊楽なきなり」──南無妙法蓮華経と唱える以外に遊楽はない──と仰せである。
 日々を有意義に、健康で長生きしていただきたい。また、他の人をも、そういう「遊楽」と「常楽」の人生に導いてあげていただきたい。それが私たちの人生である。
7  皆さま方の素晴らしき宝の城・チリ文化会館は、ラス・コンデスの地にある。
 ラス・コンデスといえば、ご存じのとおり、有名な「もしも チリへ行くのなら」という歌に、こう歌われている。
   その村は ラス・コンデスといって
   丘と空が溶けあっているところにあるんだ
   山の高いところから見おろしたら
   小川がキラキラッと目にしみるだろう。
   その村へついたら
   農夫をはじめ みんなが君を迎えに出るだろう
   チリでは
   どんな国から たずねて行っても
   まるでむかしから友人だったように
   すぐに打ちとけることを知るだろう──。
 私もチリを訪れ、皆さまとお会いして、まるで古里に帰ったような懐かしさを感ずる。
 とともに、私たちの会館、また、私たちの世界も、このように開かれた、このように仲の良い世界でありたい。
 戸田先生はよく言われた。
 「リーダーは、仲間にとけこんで、手をつなぎあっていくのがよいと思うが、どうだろうか。学会は、組織は強いが、幹部は絶対にいばってはならない。抑えてはならない」──と。
8  一九八一年(昭和五十六年)十月十三日、静岡の扶桑センターに、チリの代表がこられて「チリの木」を植樹されたことを、私は忘れない。チリの皆さまの広宣流布の「心」を私は忘れない。
 そして、創価学会は永遠に大聖人直結でいく。御書の仰せのとおりに進んでいく。その「正道」にのみ、正義はあり、無上の幸福はある。
 「教育の国」「文化の国」「詩心の国」──どうか、世界一和楽の、そして、世界一教養あふれたチリSGIを築いていただきたい。
 チリの皆さま方が、一人も残らず、大満足、大勝利、大福運の人生を勝ち取られることを心からお祈りし、きょうの歴史の日のスピーチとさせていただく。
 本日、お会いできなかった方々に、くれぐれもよろしくお伝えください。また、お会いする日を楽しみに。

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