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日蓮大聖人・池田大作

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アメリカ代表者会議 「無限の希望と栄光」が信心

1993.2.5 スピーチ(1993.1〜)(池田大作全集第82巻)

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2  その意味で、本日は、「アメリカに脈打つルネサンスの精神」にふれておきたい。
 かつてのアメリカ・ルネサンスの時代──それは、現代とも似た″変化の時代″であった。一日ごとに新しいアメリカが生み出されていった。その輝かしいアメリカ・ルネサンスのリーダーの一人が、エマーソン(一八〇三年〜八二年)である。
 卓越した思想家であり、透徹した詩人であり、徹底した言論の人であったエマーソン。彼は、人類が求める新しい「精神」とは何か、それを指し示そうとした哲人であった。
 彼の著作については、私も青年時代、戦後の廃虚の中で、精神の飢えを癒すように幾度となく読み返した。また、戸田先生からも、「エマーソンはしっかり読みなさい」と勧められた。
 また先日は、アメリカ創価大学で再会したアメリカ創友会(創価教育の卒業生)の友が、エマーソンの直筆の手紙を届けてくださった。エマーソンが、友人のソロー(一八一七年〜六二年)に送った友情の手紙であり、これまで全文が公開されたことのない貴重な文献である。創価大学の重宝として、大切に保管させていただきたい。
3  「心」の革命こそ最高の革命
 エマーソンが宗教の権威と断固戦い抜いたことは、皆さまもご存じの通りである。
 彼は語っている。「権威に立つ信仰は信仰ではない。権威への依存は宗教の堕落、精神の衰退を測る尺度である」
 宗教は人間のためにこそある。なかんずく仏法は、「人間の平等」「生命の尊厳」という深き人間主義に貫かれている。いかなる立場にあれ、「権威」をカサに着る人間は、もはや仏法者とはいえない。権威に寄りかかって生きている姿そのものが、「堕落」「衰退」の雄弁な証明なのである。
 「改革」の王道とは、どこにあるのか。エマーソンは言う。
4  「自分自身にとってみずから清浄潔白なものとすることである。そうすればその人は世界の賛同を得るであろう」
 エマーソンは、「わが内なる改革」を強く訴えている。いわんや仏法は一念三千、依正不二の法理を説いている。私たちが日々挑戦している「人間革命」の実践こそが、家庭、地域、社会における「改革」の王道であることを知っていただきたい。
 「心」の革命こそが、根源的にして、一切に変化を及ぼす最高の「革命」なのである。
5  また、彼は「愛情の力」について、語っている。
 「われわれの愛情を同胞のあいだに注ごうではないか。愛情は一日で最大の革命をとげるだろう。太陽の力で制度を動かすほうが、風の力で動かすよりも効果的である」
 「心」を変えるのは「心」である。友愛が人を変える。風には逆らってマントを脱がない頑な旅人も、太陽の温かさにあってみずからの気持ちを変え、行動を変える。
 SGI(創価学会インターナショナル)は「友情」の団体である。太陽のような温かさで、同志に友情を注ぎ、社会に友愛を広げていっていただきたい。
6  リーダーは共に喜びを
 「喜び」について、大聖人は「御義口伝」に、こう仰せである。
 「喜とは自他共に喜ぶ事なり」──(法華経随喜品の「随喜」のうち)「喜」とは、自他ともに喜ぶことである──
  自分だけのエゴの喜びではない。他人を喜ばせながら、自分が不幸になり、犠牲になるのでもない。「自他共に」喜び、「自他共に」幸福になる。これが妙法であり、広宣流布の世界の素晴らしさである。
  また「自他共に智慧と慈悲と有るを喜とは云うなり」──自他共に「智」と「慈悲」があるのを「喜」というのである──と。
 「知恵」もある。「慈悲」もある。それが人間革命である。知恵があっても無慈悲であれば、冷たい邪智になってしまう。慈悲があっても知恵がなければ、人々を救うことはできない。かえって誤った方向に進ませる場合すらあろう。自分の幸福もつかめない。
 知恵と慈悲を兼ね備える。時とともに、いよいよこの二つが深まっていく。この「人間革命」という、無上の喜びと向上の道を、「自他共に」進んでいくのが、私たちの人生なのである。
7  皆が聡明になり、皆が心豊かに、「喜びの前進」をしていく。社会に、世界に「喜びの波動」を広げていく。それが、大聖人の仏法の世界である。
 「無限の希望」が「信心」である。「無限の希望」が創価学会にはある。まことの「信心」があるかぎり、「無限の栄光」と「無限の福運」「無限の勝利」が開けていく。決して、行き詰まりはない。
 リーダーとは、友に「喜びを与える人」であり、「希望を与える人」でなければならない。喜びがあるところ、人は勇んで行動する。希望に向かって進むとき、人はもてる力を大きく発揮することができる。そこに、自然のうちに「向上」と「勝利」のリズムが生まれていく。
 ゆえに、リーダーは、会員をわが子のごとく愛し、その幸福をだれよりも祈りに祈っていくことである。その一念に、すべての発展の原動力がある。その慈愛から、希望と喜びを与えゆく知恵も出せる。
 「知恵」と「慈悲」を兼ね備えた、常勝のリーダーとして、二〇〇一年五月三日を目指し、自他ともに喜びに包まれながら、前進していただきたい。
 皆さま方の日々の努力に重ねて、お礼申し上げ、スピーチとしたい。

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