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日蓮大聖人・池田大作

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日本・トルコ合同文化の集い 民衆の「自由の行進曲」高らかに

1991.11.10 スピーチ(1991.10〜)(池田大作全集第79巻)

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2  トルコ・ルネッサンス「心は鎖でつなげない」
 きょう十一月十日は、ちょうど、トルコ建国の父、ケマル・アタチュルク初代大統領の命日である(一九三八年十一月十日)。初代大統領は、トルコにおける「ルネサンス」と「宗教革命」と「産業革命」を一挙に成し遂げたといわれる、偉大なる指導者である。同大統領によってトルコは近代の夜明けを迎えたとされる。
 トインビー博士も、初代大統領の先駆的改革に注目しておられた。
 初代大統領は、宗教を利用する特権階級と徹底して戦った。
 ″民衆の骨の髄までしゃぶり、その汗で太る貪欲な聖職者は、トルコという若木が陽の光を受けて育っていくのを邪魔する寄生のツタである″──と、悪しき宗教の権威を取り除いた。
 その初代大統領をしのぶ意義ある日に、このような友好の集いをもつことができ、私はうれしい。
 また、その意義を先ほどアルク大使に申し上げたところ、大使は笑顔で、「そうです。きょうは大切な日なのです」と、うなずいておられた。
3  さて、トルコ大革命(一九二〇年ごろ)のさなか、一つの偉大なる民衆のマーチが生まれた。それは「独立行進曲」と名づけられた現在の国歌である。
  永遠の過去から、私は自由に生きてきた、これからもそうするつもりだ
  どこのおろか者が、私を鎖につなぐというのだ!その気が知れない
  私は荒れ狂う洪水、せきを破り、あふれる!
  山をのみ込み、大洋をさえ越えてあふれ出るのだ!
  (E・Z・カラル著『世界の教科書 歴史トルコ3』永田雄三訳、ほるぷ出版刊)
 ──我々は自由である。いかなる鎖にもつながれる義務などない。民衆の自由の雄叫おたけび。それは、いかなる権威の山も突きくずし、権力の海をもおおいつくすのだ、と。
 心は鎖ではつなげない──魂の自由を壮大にうたった胸打つ曲である。
4  「人間愛の太陽」は万国を照らす
 ところで、十三世紀のトルコ最大の詩人にユヌス・エムレがいる。昨年、アルク大使との会見の際、大使は、この詩人に関する研究書を贈ってくださった。
 ユヌス・エムレは、こう歌っている。
  きけ、おお友よ。愛は太陽のようだ。愛のない心はさながら石のようだ
  石の心に何が芽ばえよう。石の心の持主は彼の舌に毒をふくむ。彼が語ろうとするすべての甘い言葉も、戦いのかまびすしい騒音のようだ
  愛にあふれる心は火によって暖められ、ろうのようにやわらかくなる。石の心は冬のようだ。かたくなで、冷酷れいこく、そして暗い
  (藤田たき訳、『語録 人間の権利』平凡社)
 権威で人を抑えつける″石の心″の人間は、民衆の喜びの世界とは無縁である。その心には、明るく、喜びに満ちた世界への妬みが渦巻いている。また、″毒の舌″をもっている。彼らの巧(たく)みな言葉は、人々を不幸にする。だまされてはならない。
5  どんなにいばってみても、人間は人間である。人間以上に偉くなれるはずがない。ゆえに「人間として」偉大になることこそが大切であると思うが、どうだろうか。
 いわんや、地位や立場で人間の価値が決まるわけではない。一人の人間として、どう生きるかである。そこに一切が含まれる。
 皆さまは、これからも「我が道」を楽しく、また楽しく、悔いなく、また悔いなく、一生涯ともどもに歩み抜いていただきたい。
 きょう集まった方々は、一生の間に、できればトルコへ──と申し上げ、お祝いのスピーチを終わります。ありがとう!

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