Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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ドイツ青年代表者会 君たちは″平和の仏法″の使徒

1991.6.6 スピーチ(1991.4〜)(池田大作全集第77巻)

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2  「哲学の国」で人間王者の道を
 牧口先生は、日蓮大聖人の平和の大仏法を掲げ、日本の軍国主義と戦われた。入獄し、獄死された。殉教である。七十三歳――。
 諸君も七十三歳を一つの目標に、生きて生きぬき、広宣流布へ活躍していただきたい。自分のため、同志のため、家族のために――。祖国のため、平和のために――。
 その原動力は「題目」である。いかなる嵐にも、軌道を過たず飛行する推進力となるのが「勤行・唱題」なのである。
 亡くなる一カ月前、獄中からの最後のはがきに、牧口先生は「カントの哲学を精読している」と記されている。寒く狭い独房。衰弱した体で、最後の日々を、牧口先生は、貴国の偉大なる哲学者カントの書を読んで過ごされたのである。(拍手)
 難解な哲学の書――ふだんでも読む人は多くない。牧口先生は、最後まで求道者であった。最後の最後まで、学び、みずからの思想を深めておられた。
3  カントは、理性の自由な行使を人々に訴え、理性を抑圧するものを批判した。″悪しき宗教の権威の奴隷になるな! 人間の自由と尊厳を守りぬけ!″――こう呼びかけて、圧迫も受けた。
 牧口先生も、だれ人が何と脅そうとも、理にかなわぬ行為は、断固、拒否された。あらゆる圧迫のなか、真実の「信仰の王者」「人間の王者」の道を貫かれたのである。まさに偉人であった。勝利者であった。
 ちなみにカントは、ヨーロッパで、いち早く「法華経」に注目していた人物である。すでに二百年ほど前、「彼ら(=日本人)の宗教書は花の本〔=妙法蓮華経〕と呼ばれる」(『自然地理学』三枝充悳訳、『カント全集』第15巻所収、理想社)と記している。
 ともあれ、そのカントを生んだ哲学の国ドイツの地で、かくも凛々しき地涌の青年たちが、不思議なる″平和の仏法の使者″たちが、生誕百二十年を祝賀し、ともに祈る姿を、牧口先生はどれほど喜ばれているであろうか。また、カントも喜んでいると信ずる。(拍手)
 諸君も、きょうからは、いわば「妙法のカント」として、求道の信念の一生を生きぬいていただきたい。(拍手)
4  鍛えた青春はダイヤモンドと輝く
 さて、本日、インド出身で、耳鼻咽喉科の世界的権威であるベルリン自由大学のナジール・A・カーン博士が、来賓として諸君を祝福に訪れてくださった。(拍手)
 一九八七年、博士は横浜での第一回「SGI世界医学者会議」には名誉議長として出席してくださっている。また、前回のドイツ訪問のさいには「ドイツ総会」でスピーチされ、「世に指導者といわれる人物は多いが、人間の平和と自由のため、つねに民衆とともに進む真の平和指導者は、SGI会長をおいてない。心から称讃の拍手を送りたい」「ヒトラーは武器を持った。池田先生はまったく武器を持たぬ自由と平和の戦士である。私は非暴力のガンジーより優れていると思う」と語ってくださっている。
 さらに博士は、四年前、東京でお会いした折、「人間の平等観」にふれ、次のように語っておられた。
 「人間は、だれもが限りない可能性をもっている。しかし、同じ炭素でも、高圧と高熱を加えられたものはダイヤモンドとなるように、人間も潜在する力をどう磨き、発揮させるかで、その人生の輝きは大きく異なってくる。ゆえに、正しい方法で、自己を磨き、ダイヤのようにみずからの力を輝かせていくことが大切である」と。
 私どもにとって、自己を磨く「正しい方法」とは「信心」である。信心は透徹すれば、仕事、家庭など人生の一切の勝利に通じる。中途半端は、すべてを中途半端にする。皆さんは、徹して自身を鍛え、自身を開き、″ドイツのダイヤモンド″″世界のダイヤモンド″として、まばゆいばかりの光を放つ人生であっていただきたい。(拍手)
5  けさ、私は皆さんに贈るため、詩をつづった。ここに、私の皆さんへの思いをこめたつもりである(拍手)。(長編詩「君に『王者の月桂冠』を」が、席上、紹介された。=本全集第41巻に収録)
 ドイツの人に会うと、親しみを感じる。安心感がある。私は本当にドイツが好きである。高い文化を尊敬もしている。
 この偉大なるドイツの地で、伸び伸びと、あせることなく、着実な信頼の輪を広げてほしいと念願し、お祝いのスピーチとしたい。(ドイツ文化会館)

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