Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第一回SGIフイリピン代表者会議 友よ、何と晴れやかな顔

1991.4.20 スピーチ(1991.4〜)(池田大作全集第77巻)

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2  さて、世界一、夕陽が美しいと言われるマニラ湾を眺めながら、世界一美しい心のフィリピンのわが友と語り合うことができ、これほどうれしいことはない(拍手)。また昨日は深夜の到着にもかかわらず、理事長をはじめ多くの皆さまに歓迎していただき、心から感謝申し上げたい。
 ちょうど二十七年前、私がこの「宝石の国」フィリピンに到着した時も、やはり深夜であった。(=一九六四年〈昭和三十九年〉五月十二日、オーストラリアヘ向かう途中、短時間、マニラ空港に降り立った)
 その折、マニラ支部の初代支部長、初代婦人部長と一人の青年の三人が、深夜の空港に駆けつけてくださった。
 当時、青年部は彼一人しかいなかった。だが、深夜のマニラ空港で私は語った。
 「ここフイリピンにも地涌の友がたくさんいるんだよ」と。
 日蓮大聖人は、「諸法実相抄」にこう仰せである。
 「末法にして妙法蓮華経の五字を弘めん者は男女はきらふべからず、皆地涌の菩薩の出現に非ずんば唱へがたき題目なり、日蓮一人はじめは南無妙法蓮華経と唱へしが、二人・三人・百人と次第に唱へつたふるなり、未来も又しかるべし、是あに地涌の義に非ずや
 ――末法において妙法蓮華経の五字を弘める者については、男女のわけへだてをしてはならない。皆、地涌の菩薩の出現でなければ、唱えることのできない題目なのである。初めは、日蓮一人が南無妙法蓮華経と唱えたが、二人、三人、百人としだいに唱え伝えてきたのである。未来もまたそうであろう。これが地涌の義ではないか――と。
 この大聖人の仰せの「地涌の義」を、ここフィリピンで証明しておられるのは、ほかならぬ皆さまである。どれほど偉大な、そして崇高な、使命の方々であろうか――。
3  母たちの開いた道を今、青年が
 とくに草創期からの婦人部の方々の汗と涙の奮闘は、永遠に語り継がれていくにちがいない。
 一九五九年(昭和三十四年)、フィリピンの一粒種として入会したご婦人をはじめ数多くの尊き広布の母たちが、一軒また一軒と歩きに歩いて、一人また一人と面倒に面倒をみて、手づくりでつくりあげてきた人間味あふれるあたたかな組織。それが皆さまの誇り高き世界である。
 また、そうした母たちのけなげな姿に、若き後継の陣列が幾重にも続いている。
 大聖人は、四条金吾の夫人をこう励まされている。
 「此の法華経計りに此の経を持つ女人は一切の女人に・すぎたるのみならず一切の男子に・こえたりとみえて候、所詮しょせん・一切の人にそしられて候よりも女人の御ためには・いとをし最愛と・をもはしき男に・ふびんと・をもはれたらんにはすぎじ、一切の人はにくまばにくめ、釈迦仏・多宝仏・十方の諸仏・乃至梵王・帝釈・日月等にだにも・ふびんと・をもはれまいらせなば・なにかくるしかるべき、法華経にだにも・ほめられたてまつりなば・なにか・くるしかるべき
 ――この法華経のみに、この経を持つ女性は、他の一切の女性に優れているだけでなく、一切の男子にも勝っていると説かれています。詮ずるところ、たとえ一切の人にそしられたとしても、女性にとっては最愛の男性からふびんと思われることが、いちばんでしょう。それと同じように一切の人が憎むならば憎めばよい。釈迦仏・多宝仏・十方の諸仏や梵王・帝釈、また日天・月天等にさえふびんであると思われるならば、何が苦しいことがあるでしょうか。法華経(御本尊)にさえほめられるならば、何が苦しいことがあるでしょうか――と。
 御聖訓に照らして、フイリピン婦人部の福徳がどれほど大きいか計り知れない。とともに私どもには、大聖人即御本尊の、そして十方の仏菩薩、諸天の、絶対の加護がある。何ものも恐れることはない。
 またフイリピンには、草創期より森田理事長をはじめ、本日も参加されている沖縄の県婦人部総合長、また故白木薫次参与などが、何回となく激励に訪れている。これが大きな前進のバネとなった。
 今後もさらに相互の交流を楽しく広げながら、御本仏の御遺命たる「世界広宣流布」へ、ともに進んでまいりたい。(拍手)
4  世界広布の″時″つくった人に誉れ
 さて、十六年前(一九七五年〈昭和五十年〉)、SGIの発足をみたグアムでの世界平和会議――その席上、日達上人は、「種種御振舞御書」の「法華経の肝心・諸仏の眼目たる妙法蓮華経の五字・末法の始に一閻浮提にひろまらせ給うべき瑞相に日蓮さきがけしたり」等の御書を拝され、次のように述べられた。(『日達上人全集』)
 「日蓮大聖人のお示しのように南無妙法蓮華経は世界の宗教であります。
 本日、ここに集まられたみなさんの姿を見ればそれは一目瞭然であります。日蓮大聖人はこのみなさんのお姿をご覧になられて、どんなにお喜びになられておられるかと推察いたし、感涙押さえがたい思いがいたします。
 仏法流布は『時』によると大聖人は仰せであります。しかし、その『時』はただ待っていれば来るものではありません。
 このような世界的な仏法興隆の『時』をつくられたのは正しく池田先生であります。池田先生のご努力こそご本仏のもっとも讃嘆の深きものと確信するのであります。とともに想像を絶するような苦難の中でよく池田先生の指導を守り、各国においてみごとに仏法を定着させたみなさんのこれまでのご苦労に対して心から敬意を表するのであります」と。
 私自身のことにもなり恐縮であるが、皆さま方の世界広布の草創の大功労を永遠に顕彰される文言として紹介させていただいた。(拍手)
5  ちょうど、この十六年前の記念すべき会議の席で、フィリピンの理事長が誕生した。バロン・タガログを着て、堂々と馳せ参じてこられた理事長の姿が、印象深く思い出される。
 日達上人はさらに、この折、「世界平和こそ大聖人の弟子檀那である仏教徒の望むところで理想の常寂光の刹土であります」とされ、「一家の内に争いがあれば、その家は平和が保たれません。地球上に争いがあれば、地球一家は破滅になります。この地球に世界平和の潮流をまき起さんと池田先生は率先して働かれております。どうか今日よりは池田先生を中心に、ますます異体同心に団結せられ、世界平和の実現を目指して下さい」とも励まされた。
 フイリピンの方は、世界一、人柄が良いと言われている。皆さま方のつくられた、この最極の人間性の世界を、何ものにも壊させてはならない。
 どうか、さらに「異体同心」で世界一、仲の良いスクラムをお願いしたい。(拍手)
6  楽しく、新しき希望の航海ヘ
 フイリピン独立の英雄ホセ・リサール(一八六一年〜九六年)は、銃殺される前に形見のランプの中に隠して妹に詩を贈った。その詩「最後の訣別」にこうある。
7   私は夢みた、はじめて生命のひらかれたとき、
  私は夢みた、若き日の希望に胸の高鳴ったとき、
  おお、東の海の宝石よ、きみの晴れやかな顔をみる日を。
  憂愁と悲しみよりとき放たれて
  きみの顔にかげはなく、きみの眼に涙のない日を
   (本村毅編『ホセ・リサールと日本』加瀬正治郎訳、アポロン社)
8  今、皆さま方の存在は、あるいは小さいように見えるかもしれない。しかし、皆さまは、妙法という″無上の宝珠″をいだいておられる。リサールら先人の夢見た、フイリピンの永遠にして根本的な希望の道を開いておられるのは皆さまである。このことを深く、また強く確信していただきたい。
 皆さまのあまりにも晴れやかなお顔を見ながら、フイリピンの友全員の未来に、ますますの福光輝けとお祈りし、祝福のスピーチとさせていただく。
 きょうは本当におめでとう! 楽しく″新しき希望の航海″へ出帆しましょう!(マニラ市内)

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