Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第十回SGI総会 仏法は人類普遍の精神の光

1989.10.4 スピーチ(1989.8〜)(池田大作全集第73巻)

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2  今日の広宣流布の興隆も、すべて仏意仏勅であり、仏の予言にほかならない。日蓮大聖人は仰せである。
 「此の一閻浮提は縦広七千由善那八万の国之れ有り正像二千年の間未だ広宣流布せざるに法華経当世に当つて流布せしめずんば釈尊は大妄語の仏・多宝仏の証明は泡沫に同じく十方分身の仏の助舌も芭蕉の如くならん
 ――この一閻浮提(全世界)は、タテもヨコも七千由旬(一由旬は古代インドで帝王が一日に行軍する距離)に広がり、そのなかに八万の国がある。この国々に、正像二千年間、法華経はいまだ広まらなかった。今、末法においても広宣流布できなければ、釈尊は大ウソつきの仏となり、多宝仏の証明も水の泡となり、十方分身の仏の長舌による助証も芭蕉の葉のように、はかなく破れてしまおう―――。
 今日、SGIメンバーの活動の舞台は、すでに百十五カ国・地域に広がっている(=一九九五年末現在、百二十八ヶ国・地域)。悠遠なる仏法の歴史にあって、これほどの世界的な広がりは、かつてなかった。
 私が三十二歳で、世界への大道を踏みだして、明年で三十年。皆さまとともに、かくも堂々と「一閻浮提広宣流布」の大証明を成し遂げている姿を、御本仏日蓮大聖人はいかばかりお喜びくださっていることであろうか。その労苦と功績は、すべて皆さまの福徳と薫り、永遠に輝いていく。広布への行動は、一切が信仰を貫いた一人一人の無量の福運となるからである。
3  ところで、御開山日興上人は、あるお手紙の中で次のように記されている。
 「世間も色々なる事も候。又いつをいつと□□邪魔時にも戦へく候」(『歴代法主全書 第一巻』)と。
 このお手紙は後半が欠けており、くわしい事情はわからないが、世間的にもさまざまなことがあり、変化もある。また、いつであっても、障害が起こった時にも、戦っていくべきである、との教えと拝される。
 これは当時、大きな問題との戦いに直面していた人への励ましであるが、今日の私どもの戦いにも通ずるご指南である。
 いずれにしても、″何があろうと、広宣流布のために戦い続ける″――これこそ、大聖人と日興上人の峻厳なる師弟不二の御精神であられた。わが創価学会は、この御精神に厳然とつらなり直結している。だから強い。いかなる震動にも崩れない。無限に広がっていく。このことを、深く確信していただきたい。(拍手)
 昨年の総会からの一年間にも、幾多の障害や妨げが競い起こった。しかし、私は敢然と戦い、一歩も退くことなく、これまでの十倍以上の戦い、仕事を貫いてきたつもりである。また、各国各地にあって、皆さま方同志が、私とともに勇敢に戦ってくださった。まさに地涌の眷属の行動であると、私は心からたたえたい。
 一年一年、現実社会の真っただ中で、これほど広範な運動を展開し、これだけ厳然と仏法の証を示してきた団体がいずこにあるか。この誇りを忘れず、さらに堂々と前進してまいりたい。(拍手)
4  信頼と友情の輪、幾重にも
 さて本来なら、皆さま方一人一人と、ゆっくりと語りあいたい。しかし、ちょうどこの時期、海外からの来客が相次ぎ、なかなか思うように時間がとれないことが残念でならない。
 じつは、この先十日間ほどの間にも、連日のように会見のスケジュールが入っている。
 まず、イギリスの著名な童画家フイルドスミス氏。そしてイギリス貴族院議員のレディング侯爵。これらの来賓もお招きして「英国王室のローブ展」が、東京富士美術館で開幕の運びとなっており(=十月七日から五十日余にわたり一般公開)、これにも出席の予定である。
 さらにスウェーデン国立東洋美術館のビルギン館長。また、パグウォッシュ会議(科学と国際問題に関する会議)のロートブラット会長。ちなみに同会長は、有名な「ラッセル・アインシュタイン宣言」に署名した九人の科学者の一人。九人のうちご存命なのはお二人で、もう一人は、現在、私と対談を続けているアメリカのポーリング博士である。
 さらに、IPPNW(核戦争防止国際医師の会)のクジン会長、オーストリアのフラニツキ首相とも会見が予定されている。
 いずこの世界であれ、真実のリーダーというものは、皆のために死に物狂いで働き、行動している。そうでなければ、本当の指導者とはいえない。
 私も、SGIの総責任者として、あらゆる機会をとおし、人と人、国と国、文化と文化の縁を幾重にも結び、深めながら、末法万年のために新しき道を開きに開いている。わが身を削る思いで動き、語り、走っているつもりである。どうか、こうした心情をご理解いただければ幸いである。
 恩師戸田先生は、昭和三十三年(一九五八年)二月十一日、すなわちご自身が迎えた最後の誕生日の折に、お祝いに集った弟子たちに向かって遺言のごとき厳しい口調で言われた。
 「幹部がみずからを指導し、幹部みずからが自己を磨いていけば、会員は自然と育っていくのである」と。
 私はこの指導を決して忘れなかった。つねに率先して実践してきたつもりである。(拍手)
 いくら熱心に説き、言葉たくみであっても、口先だけでは人は動かない。後輩は成長しない。これまで幹部となりながら、退転・反逆していった人々の姿は、この根幹の指導を忘れ、みずからの「慢」におぼれ、「策」に走った結果であった。それは本当の仏法者の姿ではない。
 大切なのは、リーダー自身の懸命な実践の姿である。謙虚にみずからの人間革命に励むところに後輩は安心し、ついてくるのである。
 その意味で、私自身、広布のため、社会のために、この一年も懸命の行動・実践を、悔いなく貫いてきた。(拍手)
 一つには、国内外の数多くの方々とお会いし、対話の輪を広げてきた。
 なかでもこの五、六月にはョーロッパ四カ国を訪問。その折は、ヨーロッパの皆さまに本当にお世話になり、この席を借りて、あらためて御礼申し上げたい。(拍手)
 そのさい、イギリスでは、アン王女をバッキンガム宮殿に表敬訪問。またサッチャー首相と会談した。「タプロー・コート総合文化センター」のオープンにさいしては、多数の名士の方々をお迎えするとともに、天文学者のウィックラマシング博士やローマクラブ創始者のアウレリオ・ペッチェイ博士の子息であるリカルド・ペッチェイ博士らと対談。そしてオックスフォード大学、ロンドン大学を訪問し、新たな教育交流を進めることができた。
 スウェーデンでは、グスタフ国王を表敬訪問。カールソン首相、ヨーランソン教育相らと会談した。また国立東洋美術館で、私の「自然との対話」写真展が開催された。
 フランスでは、ご存じのようにフランス学士院で講演。さらにミッテラン大統領夫妻、ポエール上院議長、フランス国連協会のペロネ会長、フランス写真博物館のジャン・フアージュ理事長と子息のアンドレ・ファージュ館長、美術史家のユイグ氏らと会談した。
 また、パリ第五大学を訪問するとともに、民主音楽協会(民音)とJ・M・F(フランスの青少年音楽団体)との共催により、シャンゼリゼ劇場での公演も開催させていただいた。
 スイスでも、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)のオッケ一高等弁務官はじめ、多くの国連関係者とお会いした。そして日本においても、この一年間に各国の指導者とも多くお会いし、「平和」と「友好」への対話を重ねてきた。
 主だった方々だけでも、ケニアのモイ大統領、ウルグアイのサンギネッティ大統領、中国の李鵬首相、デクエヤル国連事務総長、タイのチュラポーン王女、ソ連のルキヤノフ最高会議幹部会第一副議長、ナイジェリアのモモー情報文化相、ソ日協会のボリメル会長、コワレンコ副会長、中日友好協会の孫平化会長、日英協会会長のコータッツィ卿、オーストリアのサイフェルト文部省国際文化交流部長、ブラジルのウエノ下院議員、東京・国連広報センターのカドルディン所長などの方々である。
 また駐日大使として、ドミニカのカント大使、インドのアスラニ大使、スウェーデンのヘイマン大使、東ドイツのシュミット大使、フランスのドラン大使、イギリスのサー・ホワイトヘッド大使、パキスタンのアーマド大使などともお会いした。
 教育関係の方々としては、オックスフォード大学ではニール副総長、サマービル・カレッジのパーク学長、ボドリーアン図書館のベイジー館長ら、またロンドン大学ではクイーン・メアリー・カレッジのバターワース学長ら、パリ第五大学ではオキエ学長、マフェゾリ教授ら、さらにボローニャ大学のロベルシ=モナコ総長、復旦大学の蘇歩青名誉学長、ボン大学のガイスラー教育学研究所所長、ハーバード大学のナイ科学・国際問題センター所長などの方々と語りあい、有意義に意見を交換した。なおこれまでに、創価大学の海外との学術交流も、二十五大学へと広がっている。(=一九九五年末現在、三十二ヶ国・地域、五十六大学と交流)
 そしてさらに、ソ連の文学者アイトマートフ氏、中国・吉林人民出版社の楊占忠社長、オスロ国際平和研究所のテー博士、中国の英若誠文化部副部長、IPPNWのラウン会長(クジン氏とともに共同会長)、中国社会科学院の劉国光第一副院長ら一行、ハンブルク・バレエのノイマイヤー監督、マレーシアの出版社総支配人であるソッカリンガム氏、中国・敦建研究院の段文傑院長、国立モスクワ児童音楽劇場のサーツ総裁、フランスのベルティエJ・M・F理事長、ケニアロ承文学協会のワンジャラ会長、中国の著奪な書画家である彗規聡氏等の平和と文化のために活躍される方々とも、この一年間にお会いした。こうした会談では、さまざまな話題を取りあげつつ「人生」を語り、「文化」と「哲学」を論じ、「信頼」と「友好」の絆を結びあってきた。すべて、皆さまの活躍の舞台を切り開くために、全力をこめてきたつもりである。(拍手)
 いかなる分野・次元の活動であれ、広宣流布への真剣な祈りから出発して、動けば動いたぶんだけ、会えば会ったぶんだけ、そして語れば語ったぶんだけ「信頼」と「友情」が広がる。すべてを味方とし、諸天善神の力用へとつなげていけるのが、この仏法なのである。
5  世界に限りない″精神の糧″を
 先日、ナイジェリアのモモー情報文化相が、私との語らいの後、自身の感慨を次のようにつづっておられた。
 「この訪問は、人間の『精神の力』によって推進されている団体を訪れるという貴重な体験であった。創価学会は、世界的規模で人々を互いに結びつけ、現代が必要とする『食物』すなわち『精神の糧』に飢えている多くの人々を救っている。精神の糧こそが人間に『力』と『強さ』を与える。この事業の実り多からんことを祈る」――と(「聖教新聞」八月三十一日付)。
 わがSGIは、世界の心ある人々が希求してやまない「精神の力」「精神の滋養」「精神の糧」を人類に送りゆく、世界の″希望の存在″なのである。(拍手)
 どうか私ども一人一人が、この尊い大事業の担い手として、限りない誇りを胸に、今後も勇んで社会貢献の道を進んでまいりたい。(拍手)
6  大聖人は「諸法実相抄」で「力あらば一文一句なりともかたらせ給うべし」――力があるならば一文一句であっても仏法を人に語っていきなさい――と説かれている。
 私は、この御聖訓を拝しつつ、この一年も力の限り広布の言論戦を展開したつもりである。毎回一時間前後にわたったスピーチは約六十回。スピーチ等をまとめた小冊子『今日より明日へ』も、この一年だけで発行は二十冊を数える。
 また各国語に翻訳された私の著作は、イタリア語版『トインビー対談』、スウェーデン語版『ペッチェイ対談』『私の釈尊観』をはじめ、この一年間で九言語二十二冊が発刊された。これで合計十四言語九十二冊となり、明年初頭には百冊を超える運びとなっている。(=一九九五年末現在、海外二十五言語、二百十三冊を発刊)
 アメリカのノーベル賞学者ポーリング博士との「科学」と「人生」と「平和」をめぐっての対談集も、明年発刊の予定であり(=『「生命の世紀」への探究』と題して一九九〇年十月、読売新聞社から発刊)、さらに現在進めている世界の著名な識者数人との対談も、順次出版していきたいと考えている。
 こうした書籍の出版も、仏法の普遍性に対する理解と納得を全世界に広めたい、そして百年、二百年の未来を志向し、後世のために残したいとの念願からである。(拍手)
 先月(九月十三日)、ウルグアイのサンギネッティ大統領とお会いしたさい、大統領は開口いちばん、「SGI会長とユイグ氏との対談集『闇は暁を求めて』(本全集第5巻に収録)を読みました。思想の深さに感銘しました」と語ってくださった。そして、ご自分も、将来、私とこのような対談ができれば、との希望を述べておられた。
 私は恐縮の思いでうかがったが、この一事からも「書物」の持つ力の偉大さがわかる。正しき言論の力は、無認識や偏見の壁を打ち破り、正しい理解と納得と共感を確実につくり上げていくのである。
7  なお、この一年間、″妙法の宮殿″ともいうべき会館も、全世界でオープンしている。
 スウェーデン文化会館、インド文化会館、ニューヨーク文化会館、サンフランシスコ文化会館、デンバー文化会館、オーストラリアのメルボルン会館、ブラジルのリオデジャネイロ文化会館、カナダ文化センターなどである。
 さらに今後、誕生することになっている会館としては、アジアではマカオ会館、ヨーロッパではオランダ文化会館、フランスのトレッツ・欧州研修道場内のヨーロッパ文化センター、またアメリカではシアトル文化会館、ハワイのヒロ会館、さらにブラジルの自然文化センター、メキシコのグアダラハラ会館、ドミニカのドミニカ文化会館、オーストラリアのオーストラリア文化会館、ブリスベン会館などがある。
 こうした正法の隆盛の姿は、ひとえに妙法を信受し、仏道修行に励まれている各国のメンバーの方々の福運のたまものであると確信する。(拍手)
 福運というものは、ひとたび出はじめれば、どんどんわが人生を、わが妙法の世界を、飾ってくれる。どうか皆さま方は、限りない功徳と福運の人生を歩んでいただきたい。御本尊の功力がどれほど偉大であるか、その確かな証をつかんでいただきたい。それが私の、心からの願いである。(拍手)
8  良き市民、良き国民として
 さて、この四月には、タイ国王の特別写真展が東京富士美術館で開催された。またカナダでは「世界の少年少女絵画展」が実施され、反響を広げている。またフランスでは、「ヴィクトル・ユゴー文学記念館」設立の準備も着手されている。(=一九九一年六月にオープン)
 さらに、これまで着実に進めてきた国連支援の活動も、なおいっそう、積極的に推進してまいりたい。
 その一環として、今月二十三日からはニューヨークの国連本部で「戦争と平和展」が開催される運びとなっている。これは私が、本年のl・26「SGIの日」記念提言で提案したものである。
 なお、「国連軍縮京都会議」に、SGIの代表が参加。またインドやモンゴルでの国際セミナーにも出席している。
 このように、一大平和勢力としてのSGIの運動の波は年ごとに大きく、高く、進んでいる。
 また各国のメンバーの社会・地域への貢献も、すばらしい評価と信頼を受けている。
 たとえば、シンガポールでは独立記念日のパレードに千人の友が参加。マレーシアの「東南アジア体育大会」の開幕式では、四千八百人のメンバーが見事な演技を披露した。
 南米・ペルーで行われた日本人移住九十周年記念式典には、千二百人の友が参加し、称讃を受けている。
 なお、昨年六月になるが、サンパウロでの「ブラジル日本移民八十年祭」の記念式典で、一万人のメンバーによる″人文字″が大きな感動を広げたことも記憶に新しい。
 日蓮大聖人は、仏道修行における「国」と「時」の大切さについて、次のように説かれている。
9  「一切の事は国により時による事なり、仏法は此の道理をわきまうべきにて候」――一切のことは国により、時による。仏法を行ずるものは、この道理をわきまえるべきである――と。
 どうか、それぞれの国情、時代性を見きわめ、信心を根本に豊かな知恵をわかせながら、一人一人が″良き市民″″良き国民″として、ますます活躍していかれるよう念願するしだいである。(拍手)
 もちろん、信心の実践にあっては、SGI本部と緊密な連携を図りつつ、「異体同心」の前進を重ねていくことが大事である。そうでなければ、いつしか信心の団結を乱し、広布の前進を妨げる「破和合僧」の存在となってしまうからである。
 仏法において破和合僧の罪はもっとも重い。たとえ御書を拝し、唱題に励んでいても、破和合僧をおかしてはすべて空転に終わってしまう。功徳も出ない。
 清らかな妙法の絆の世界を守り、正法の流れを万年へと通わせていくために、私はこの一点をはっきりと確認しておきたい。(拍手)
10  自分らしく″眼前の証明″を
 ところで、この一年間、SGIの運動に対する理解も各方面に着実に広がってきた。
 皆さまを代表して私がお受けした賞には、UNHCRの「人道賞」、米国議会の「青年平和国際賞」、インド国際平和非暴力研究所の「国際平和賞」等がある。あくまでも皆さま方の貢献の結晶として、受けさせていただいた(拍手)。また本年夏、SGIがユネスコ(国連教育科学文化機関)のNGO(非政府組織)として認定されたことも、大きな意義がある。(拍手)
 大聖人は「法蓮抄」の中で、「現在に眼前の証拠あらんずる人・此の経を説かん時は信ずる人もありやせん」――現在に眼前の証拠を現す人がこの経を説く時は、信ずる人もいるであろう――と述べられている。
 「現在に眼前の証拠を現す人」とは、もとより、別しては日蓮大聖人のことである。そのうえで総じて、大聖人の門下である私ども一人一人と拝することもできよう。すなわち、信心を根本に社会的にも立派な仕事を成し遂げる人。現実の自分の姿をとおして、人々に納得と信頼を広げる人。このような人がいれば、広宣流布の歩みはいや増して速まるという道理を示されている。
 妙法をたもった一人一人の「実証」が、どれほど尊い広布伸展の″推進力″となるか。その意味で、どうか皆さま方が、それぞれの立場で堂々たる凱歌の実証を示しきっていただきたい。(拍手)
11  さて、明年(一九九〇年)は、大石寺開創七百年の大佳節であり、学会創立六十周年を迎える。
 また、世界広布の歩みが始まって三十周年となる。
 私は、来年の早々から、北・南米を訪問する予定である。アメリカ・ブラジルは、三十年前に、世界広布の第一歩をしるした旅で訪れた地でもあり、同じ道をもう一度、行ってみたいと思っている。(=九〇年二月十二日より十七日間、北米を訪問)
 さらに、秋には、第十二回sGI総会を、埼玉で開催する。
 次に、明後年の一九九一年には、世界を西に飛び、ヨーロッパを訪問したい。イタリアで、第十一回世界青年平和文化祭(=中東の湾岸戦争の影響で中止)、フランス・トレッツの欧州研修道場で、第十三回SGI総会が行われる。欧州の皆さまには、ふたたびお世話になることと思うが、よろしくお願いしたい。(拍手)
 続いて一九九二年には、仏教発祥の地であるインドを、じっくりと時間をかけて訪問したい(=同年二月六日に十三年ぶりの訪問を果たす)。インドには一九六一年(昭和三十六年)、日達上人をご案内申し上げて第一歩をしるし、ブダガヤに「三大秘法抄」と記念の碑が埋納されている。以来、明後年で三十星霜。「諫暁八幡抄」の「日本の仏法の月氏へかへる」とのお言葉どおりに、その広布の道をさらにきざんでおきたい。また″東洋広布″は、恩師戸田先生の遺志でもあるからだ。
 現在、世界各国の首脳等から、さまざまに招待を受けている。ソ連、中国、フィリピン、オーストラリア、アフリカのケニア、ナイジェリア、ザンビア、タンザニア、ガーナ、コートジボワール。南米のチリ、ウルグアイ、ボリビア、エルサルバドル。欧州では、オーストリア、西ドイツ、東ドイツ、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、チェコスロバキア。そしてカナダ、イスラエルなどである。
 お招きをいただいている国には、なんとかうかがいたいと念願しているが、日本の各地にもなかなか行けないし(笑い)……もともあれ、私どもの舞台は、世界に、全地球へと、大きく開かれ、広がっている時代を迎えたことを確信していただきたい。(拍手)
12  心一つにうるわしきスクラム
 御書に「一つ心なれば必ず事を成ず」――心を一つに合わせれば必ず物事を成就できる――と記されている。
 物事を成し遂げるために大事なのは、人数ではない。役職や立場でもない。心を一つに合わせられるかどうかである。心を一つにするとき、そこに、確かな未来の建設への″核″が生まれる。
 物事が成就しないのは、異体同心の心がないからである。とくに幹部が″自分は偉い″″私はこうなのだ″と思って、他の人と心を合わせていこうとしないのは、自分の″わがまま″にとらわれた姿である。それは、自分の利害のために組織を利用する心になりかねない。妙法の世界では、そのような生き方は絶対にあってはならない。
 その意味で、壮年部と婦人部と青年部が、皆で尊敬しあい、信頼しあって進んでいただきたい。若い人には若い人の″特権″があり、力がある。年配者には年配者の経験と知恵がある。婦人部の、まじめさ、一途さには、残念ながら壮年部はかなわない。(爆笑)
 そこで秋谷SGI理事長(現、SGI会長代行)からも話があったように、各国でも最高会議を行い、おたがいに意見を言いあい、聞きあって、皆の総意で活動を進めていただきたい。ひとりよがりの行動や、独裁、独善は、仏法の精神ではない。
 ともかく、皆で仲良く、心を合わせていこう――これを第一義としていただきたい。婦人部を軽視したり、青年部を見くだしたりするようなことがあってはならない。また、自分の利害のために、感情で人を叱ってはいけない。
 どこまでも、おたがいが尊敬しあい、信頼しあっていただきたい。そして″一緒にやりましょう。一緒に進みましょう″という、うるわしい励ましあいと、心を一つにした連帯があるところに、福徳に満ちた人生と広布の世界が幾重にも広がっていくことを確信していただきたい。
 最後に、すべての参加者の方々が、ますますお元気で、ますます健康で、ますます幸福の道を歩んでいかれんことを心よりお祈りしたい。そして、各国にお帰りになったさいは、大切な仏子であるメンバーの方々に、くれぐれもよろしくお伝えください、と申し上げ、記念のスピーチとさせていただく。
 (注)パグウォッシュ会議 正式には「科学と国際問題に関する会議」。激化する米ソニ人国を軸とする冷戦下、一九五五年七月に出された「ラッセル・アインシュタイン宣言」の呼びかけの具体化として、全人類的な見地に立って核の脅威と世界戦争を回避するための核軍縮等を訴える国際会議。カナダのパグウオッシュで第一回が開かれたことからこの名で呼ばれ、年一、二回開催される。
 (創価文化会館)

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