Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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第二回SGIスイス総会 勝利の人生は楽しき人生

1989.6.17 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

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2  本日は、ここスイスにゆかりの深いアインシュタイン博士のことに少々ふれておきたい。
 ご存じのように、博士はチューリッヒのスイス連邦工科大学を卒業し、その後も長くスイスで活躍している。かの「相対性理論」もスイスのベルンの地で誕生した。また、博士自身、スイス国籍を取得し、終生、このスイスの美しき国土と人間性豊かな人々を愛し、誇りとしていた。
 アインシュタイン博士は語る。
 「私はスイスの人たちが好きです。というのは、私が他の場所で暮したときの人たちよりも、全体的によりヒューマンだと思われるからです。これに加えて、私はスイスに敬意の念をもっております。というのは全体にヒステリーの時代にあってつねにかなり理解ある政権をもち、外部の圧力にも首尾よく抵抗しとげたからです」(フリュキガー『青春のアインシュタイン』金子務訳、東京図書)と。
 このアインシュタイン博士の心情には、私も深い共鳴を覚える。日本の九州ほどの小さな国土で、また少ない人口(約六百六十万人)でありながら、皆さまのこの国はさまざまな圧迫をはじき返して二世紀にわたる永世中立を貫き、世界に冠(かん)たる歴史を刻み残している。
 万般にわたって、たとえ少人数であっても、高き理想を共有する人間のきずなほど強いものはない。
 先日、あるフランスの女性のメンバーの方から、私ども夫婦にいただいたお手紙の中にも、「皆が一体となれば、我々の前に敵はない」との言葉が引かれてあった。私は、その凛然りんぜんたる確信に感動した。
3  さて、アインシュタイン博士は、旧友であるベルギー王国のエリザベート女王にあてた手紙の中でこうつづっている。
 「結局のところ、永遠なるものにかかわるのがやはり最善です。というのは、人間の世界に平和と平穏を取り戻すことのできる精神はそこからのみ流れ出るからです」(デュカス、ホフマン編『素顔のアインシュタイン』林一訳、東京図書)
 私どもは、妙法という「永遠不滅の法」にめぐりあうことができた。そして、日々、その大法を行じ、学びつつ、「生死」という、人間の永遠にして根本の課題の打開に挑んでいる。また、友へ、社会へ、世界へ、希望と平和の光を送りゆかんと行動を積み重ねている。この人類史の先駆のほまれを、深く強く自覚してまいりたい。
4  ″時″にめぐりあう喜びの人生
 さて恩師・戸田先生は、青年時代、牧口先生とともにアインシュタイン博士の講演を慶応大学の講堂で聴いた思い出を、よく懐かしそうに語っておられた。数学者であった先生にとって、アインシュタイン博士から直接「相対性理論」の何たるかを学んだことは、大きな誇りであった。
 戸田先生は言われた。「時にあい、時にめぐりあって、その時にかなうということは、生まれてきたかいのあるものである」と。
 先生にとってアインシュタイン博士との出会いは、それほどの喜びであった。しかし、「それ以上の誇りと喜びは、牧口先生と出会い、その薫陶くんとうを受け、牢獄までもお供のできたことである。そして大聖人立宗七百年の時にめぐりあい、広宣流布の仏勅ぶっちょくを受けていることである」と先生は会心の笑顔で語られた。
 大聖人はこう仰せである。
 「夫れ人身をうくる事はまれなるなり、已にまれなる人身をうけたり又あひがたきは仏法・是も又あへり、同じ仏法の中にも法華経の題目にあひたてまつる結句題目の行者となれり、まことにまことに過去十万億の諸仏を供養する者なり
 ──およそ人身を受ける(人間として生まれる)ことはまれである。すでに、そのまれな人身を受けている。また、あいがたきは仏法であるが、これにもまたあうことができた。しかも、同じ仏法の中でも、法華経の題目にあいたてまつり、結局、南無妙法蓮華経の題目の行者となった。まことにまことに、あなたは過去世で十万億の諸仏を供養した方であろう──。
 皆さま方は、いまだ仏法のよく知られていない、ここスイスの地で、はじめて大聖人の正法を実践しておられる。どれほどの福徳と深き使命の方々であるか。また大聖人は、いかばかりか賛嘆あそばされることであろう。
 皆さま方が、これ以上はないという最高の幸福を勝ち得ることは絶対に間違いない。もはや、一人ももれなく三世永遠に崩れざる幸福の軌道に入っておられることを確信していただきたい。
 そして、タカハシ理事長を中心に、世界一仲の良い団結で、楽しき前進をお願いしたい。皆さま方のますますのご多幸とスイスのますますの栄光を心より祈り、スピーチとさせていただく。

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