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日蓮大聖人・池田大作

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イギリス最高会議 社会の中で模範の人間道を

1989.5.23 スピーチ(1988.11〜)(池田大作全集第72巻)

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1  「生活」と「人生」を勝利で飾れ
 本日はイギリスの代表メンバーによる最高会議であるが、お互いに″妙法の家族″として、和やかで楽しい集いとしていただきたい。
 まず、ノルウェーのオスロ国際平和研究所元所長であるマレク・テー博士から、次のようなメッセージが寄せられているので、皆さま方に紹介しておきたい。
 「今回の池田SGI会長のヨーロッパ訪問が、実り多い旅になることを心から期待しています。昨年、日本で、SGI会長にお会いし、仏教の理念が現代の世界に貢献できることは大変に多いと感じました。
 現代の世界が、真に必要としているのは、単に核兵器の数を減らすというような単純なものではありません。民衆が本当に望んでいるのは、真実の自由であり、民主主義であり、人間の生がいです。それは人間自身に深く根差した問題であるがゆえに、東洋の仏教の知恵がもっと注目されるべきだと私は考えております。
 私たちは極めて大きな変化の時代を迎えています。戦後、最も興味深い時代を迎えたといってよいでしょう。その意味で、世界に対する仏教の貢献が一段と重要になってきたことを自覚され、いよいよ、ご奮闘されることをお祈り申し上げます。SGIの皆さんに、よろしくお伝えください」
2  さて昨日、私はサッチャー首相と会見し、三十分余にわたり有意義に語りあった。イギリスと日本がいつまでも、さまざまな次元で友好と交流を増進させていくことを期待しあい、会談することができた。
 これまで私は、数多くの著名人とお会いしてきた。なかでも、イギリスに来ると印象深く思い起こすのは、やはりトインビー博士である。
 長時間にわたる対談を終えた最後の一夕、私は博士夫妻と、別れを惜しみつつ、ロンドン市内のレストランで食事をともにした。私の妻や、秋山栄子SGI婦人部長の亡き夫君・秋山富哉さんらも同席していたと思う。ちょうど、きょうと同じ、風そよぐ五月のことであった。
 その折、博士が、しみじみと語った姿が胸深く残っている。いつも私は、博士が、どう人生を深く生きようかとつねに摸索されていた謙虚さと信念を、強く感じてならなかった。
 「私が若ければ、東洋の仏法の真髄を探求し、実践し、行動したかった」
 「私は、一応、歴史家、哲学者として名を成し、尊敬も受けている。しかし、仏法をたもち、実践するあなたのほうが、どれほど幸せであるか。私は、心ひそかに思っております」
 私たちはさらに、正しい宗教と永遠の生命観について、率直に語り合った。そして一つの結論に至った。
 「真実の信仰は、三世につながる幸福のための戦いである」と。
 トインビー博士との対談の、最も重要な結論の一つが、ここにあった。
3  最後に、きょうは最高幹部の皆さま方であるゆえに、一点、信仰の大切な基本を申し上げておきたい。
 それは「仏法は道理」ということである。ゆえに道理正しい生活をしていかねばならない。
 信仰したからといって、決して、何か特別な姿になるわけではない。まして奇異な行動などあってはならない。私どもは、どこまでも社会人であり、一市民である。
 ゆえに自分自身の「仕事」と「生活」を大切にしていただきたい。また「家庭」を大切に、そして「隣人」を大切にしていただきたい。良き市民とし、良き国民として、この現実の社会の中で、模範の人間道を歩み通してほしい。
 「正しい信心」による「正しい生活」を――。これが皆さま方への私の心からのお願いである。
4  ともあれ、先ほど申し上げたように、信心とは「永遠の幸福」への三世の旅である。ゆえに今世の厳しき社会という舞台で生き抜き、戦い抜き、見事に勝利していかねばならない。
 我が身の宿命と戦い、我が人生を最大に生き抜き、社会の荒波の中で堂々と勝ち抜いていくことである。
 大正法を行じた人が負けるわけがない。それが信心である。三世永遠にわたる「幸福の軌道」にのっとった旅路を歩むことができる。
 どうかコーストン理事長を中心として、どこの国よりも理解と信頼の輪を広げ、「模範」のイギリスになっていただきたい。
 今、イギリスが理想的に進んでいることは慶賀にたえない。これからも「イギリスのメンバーが最高の幸福者である」といえる連帯の輪を薫らせていただきたいと祈り、願って、私の記念のあいさつとしたい。

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