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日蓮大聖人・池田大作

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豊島、台東、墨田、目黒区合同総会 真の人間組織こそ宗教の基盤

1987.12.12 スピーチ(1987.7〜)(池田大作全集第69巻)

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23  このお手紙は日眼女が白小袖一枚と綿を御供養したことに対して、大聖人が御礼を述べられたものである。
 小袖とは、もともと肌着(下着)のことであったが、鎌倉時代のころから、次第に表着おもてぎとしても着用されるようになった。いわゆる「きもの(和服)」のルーツとなったものである。
 四条金吾夫人の日眼女は、女性らしい心づかいから、大聖人に正月(元朝)の晴れ着として、真新しい、そして純白な小袖を着ていただきたいと思ったのであろう、そのままの気持ちを添え書きして差し上げた。
 いささか皮肉な見方をすれば、添え書きに″ひとこと多かった″のかもしれない。婦人部の皆さま方も、ひとことでなくして、ふたこと、みこと多い場合があるかもしれない。厳寒の中におられる大聖人には、正月といわず、即座に身につけて温まっていただければよかったのである。
 しかし、大聖人は、一枚の白小袖に託して、新年をお祝いしようとする日眼女の精いっぱいの真心を、あますところなくくみ取っておられる。″あなたのいわれる通り、がまんして大切に取っておきますよ″″新しい小袖が着れるお正月が楽しみですよ″と感謝の思いを込めて「心」の琴線にふれる語りかけをされておられる。
 短い御文ではあるが、身延山中の厳寒が痛いほど身に迫ってくる。とともに、いかなる寒風も消すことのできない″心のぬくもり″が伝わってくる。
 大聖人が門下一人一人との「心」のふれ合いを、どれほど大切にしておられたか――数々の大難にも負けなかった大聖人一門の強さの源泉が、ここにもあったとうかがえるのである。
 大聖人の仏法は、厳冬に向かう富士のごとく峻厳である。とともに、春のようなあたたかな″慈愛″と″人間性″に満ちみちた世界である。それは冷たい権威に支配されたり、難解な論理だけに貫かれた世界でもない。また、要領や策で成長できる世界でもない。
 どうか、広布のリーダーである幹部の皆さま方は、″透徹した信心″と″温かき春の心″の光を放ったお一人お一人であっていただきたいと申し上げ、本日のスピーチとしたい。

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