Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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パナマ広布19周年記念勤行会 ″世界の十字路″に永遠なる軌跡を

1987.2.18 スピーチ(1986.11〜)(池田大作全集第68巻)

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2  ともあれ、パナマの国は、善意がいっぱいである。美しき笑顔がいっぱいである。また豊かな海がいっぱいである。空には鳥が舞い、まばゆいばかりの光線がいっぱいである。したたる緑もいっぱいである。そして道行く人々のかなたには、繁栄の象徴である新しきビルがいっぱいである。
 ――自然も街も人の心も、何もかも豊かに輝いてみえる。六年前以上に、すべてが栄え、発展している。パナマを愛する一人として、私は、こよなくうれしい。また皆さま方の強盛な信心に対し、妙法の功徳もいっぱいであり、無量無辺に咲き誇っていくことを確信していただきたい。
3  さて、きょうは、むつまじき家族の会話のごとく、懇談的に、何点かにわたり、お話ししておきたい。
 まず、日本の秋谷会長はじめ幹部、また皆さまに親しみの深いアメリカSGIのウィリアムス理事長らから、新会館での勤行会をお祝いするとともに、皆さまにくれぐれもよろしくとのメッセージを託されてきたので、ご報告申し上げる。
 パナマの広宣流布の基盤は完全にできあがった。今日まで、かくも見事に″平和″と″栄光″と″幸福″の世界を開拓してくださった皆さまのご苦労を心からたたえたい。なかでもチュー・ジ理事長は当然として、とくにヒロコ・デ・チュー本部長の功労に対し、私は最大の敬意と賛嘆をこめて、惜しみない拍手を送りたい。
 また皆さま方は、チュー本部長を守りつつ、協調し協力して「異体同心」の前進を続けてこられた。その尊き事実を私は心から称賛する。何より御本尊が、皆さま方の仲良き和合の姿を、最大に見守り、賛嘆してくださっているにちがいない。さらに今後も、法のため、社会のため、パナマ共和国のため、そして自分自身のため、一族のため、先祖のために、信心と広布の黄金の歴史をつくっていっていただきたい。
4  きょう、トリホス将軍の碑に献花をし、池田展望台にも行った。明日はデルバイエ大統領とお会いし、パナマ国立大学も訪問する予定である。また記念のパナマ代表者会議にも出席する。
 三泊四日の短い滞在ではあるが、パナマの発展と皆さま方の長寿と多幸を真剣に祈りつつ、意義ある訪問としていきたい。皆さま方のことは、私は日々、御本尊に祈念してきたし、これからも生涯、祈り続けてまいる決心である。
 皆さまの国は、パナマ地峡ちきょうによって、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸をつないでいる。さらにパナマ運河によって、太平洋と大西洋を結んでいる。「世界の十字路」、また「世界の心臓」ともいわれる、要衝を占める共和国である。
 パナマの面積は、日本の約五分の一。北海道より少し小さいぐらいである。人口は約二百万人。しかし、パナマのメンバーの心意気は、機関紙の名前「プエンテ・デ・パス(平和の懸け橋)」に象徴されている。パナマ運河は、あまりにも有名であり、世界貿易に与えた影響は、計り知れない。世界の二大洋を結ぶこの運河は、人類の大きな夢の一つであった、といってよい。
 ドイツの文豪・ゲーテも、その晩年、パナマ運河の構想について、大きな関心と期待を寄せていた。一八二七年、ゲーテはすでによわい七十七歳であったが、次のように言っている。
 「私は合衆国がそれ(=パナマ運河の開通)が、達成されると確信しているよ」「大事業を、私の目の黒いうちに経験したいものだ。そして、このためなら、もう五十年ほど我慢して生きても、それだけの値打ちがあるというものだね」(エッカーマン『ゲーテとの対話』山下肇訳、岩波文庫)と。
 ゲーテは、この発言から、五年後に亡くなったが、彼の確信通り、パナマ運河が開通したのは一九一四年。ゲーテの夢から、八十七年後のことである。
5  さて法華経薬王品には、次の一節が説かれている。
 「の経はく、大いに一切衆生を饒益にょうやくして、の願を充満せしめたもう。(中略)わたりに船を得たるがごとく、(中略)賈客こかくの海を得たるが如く、(中略)此の法華経もまたまたかくの如し。能く衆生をして、一切の苦、一切の病痛を離れ、能く一切の生死のばくかしめたもう」(開結六〇二㌻)と。
 ――この妙法蓮華経は、一切の人々を利益し、その人々の願望を満足せしめることは、(中略)渡ろうとしているところに、ちょうど船を得るごとく、(中略)貿易商人が″海の道″を得るごとくである。(中略)この妙法華経は、この様に人々の一切の苦悩を救い、すべての生死の迷いから救うのである」ということである――。
 この経文は、妙法華経の絶大な功徳を、さまざまなたとえを通して述べられたものである。パナマ運河は長い間、多くの人々の夢であり、世界の貿易に偉大なる道を開いた。その意味においては、まさに「貿易商人が″海の道″を得た」姿に通じよう。
 ゆえに、「運河の国」パナマの皆さまこそ、この経文のごとく、妙法の功徳を満載して、悠々たる人生の航海を楽しみつつ、生きぬいていっていただきたい。
6  祈りと功徳の関係について
 本日は「祈り」と「功徳」の関係について、少々、お話をしておきたい。
 法華経薬王品には″法華経は一切の人々の願望を満足せしめる″と説かれている。この「法華経」とは末法においては、「御本尊」であられる。
 日蓮大聖人は「道妙禅門御書」で「祈り」と「功徳」について、次のように仰せになっている。
 「祈祷きとうに於ては顕祈顕応・顕祈冥応・冥祈冥応・冥祈顕応の祈祷きとう有りと雖も只肝要は此の経の信心を致し給い候はば現当の所願満足有る可く候、法華第三に云く「魔及び魔民有りと雖も皆仏法を護る」第七に云く「病即消滅して不老不死ならん」との金言之を疑う可からず」と。
7  この御文の意味を申し上げれば、「祈り」とその「功徳」の顕れ方には「顕祈顕応」「顕祈冥応」「冥祈冥応」「冥祈顕応」の四種がある。
 「顕祈顕応」とは、何か物事に直面したとき、真剣に祈り、それに応じて直ちに解決の方途が開け、願いが叶っていくことである。
 「顕祈冥応」とは、祈りに応じた具体的結果は、直ちに顕れないが、その功徳が生命に積み重ねられていくことである。
 「冥祈冥応」とは、たゆまざる唱題の功徳によって、自然のうちに生命が浄化され、豊かになり、所願満足の道へと入っていくことである。
 「冥祈顕応」とは、常日ごろの唱題の功徳がいざという時、厳然と顕れてくることである。
 大聖人はこの四種の「祈り」があることを述べられながら――ただ肝要なことは、この信心をされるならば、現在から未来にわたって、あらゆる願いが満足されるであろう。法華経第三の巻の授記品には「魔および魔民があったとしても、強き信心があれば、すべて仏法守護の働きに変えていくことができる」とある。また第七の巻の薬王品には「この妙法を信受すればあらゆる病を乗り越え『不老』――つまり、つねに若々しい生命力で、『不死』――三世永遠にわたる金剛不壊の境涯を築きあげることができる」とある。この金言を疑ってはならない――と仰せなのである。
 少々、難しい話になったかもしれない。わからない部分は、全部忘れていただいても結構である。ただ忘れてならないのは、何があっても題目をあげぬいていく――この一点である。そこに一切の智慧も幸福も安穏も、すべてが含まれているからである。
8  私どもが日夜、読誦している方便品、寿量品の経文も、その意味は、まことに難しい。理解不可能と″絶望″していらっしゃる方も、あるいはおられるかもしれない。幹部の皆さまにしても、全部説明できるかどうか、すこぶるあやしい。まして南無妙法蓮華経の一法は、凡夫には難解の大法である。
 ただ、私どもがたとえ理解できなくとも、そこには、深遠なる生命の法理が厳然と説かれてある。妙法には、大宇宙の法則にのっとった正しき哲理、正しき仏の教えがすべて完全に具足している。その具体的実践方途が信心なのである。ゆえに私どもが御本尊に唱題しゆく時、「仏界」という生命の最高の次元にきちんと通じているのである。
9  たとえば、物理学にせよ、医学にせよ、それぞれの世界における極めて高度な内容がある。また、数式など、その内容を表現した、それぞれの世界の″記号″がある。それらは素人しろうとには、なかなかわからない。しかし、学者同士では、その″記号″を使って、互いに話が通じていく。私どもが仮に、その″記号″を正しく使えば、たとえ自分には全く理解できなくとも、相手の学者には、正確に通じていくのが道理である。
 それと同じく、妙法を信じて、方便品、寿量品の経文を読誦し、唱題していくとき、私どもが、その法義を理解していなくとも、御本尊には、また宇宙の仏界には、厳として通じていくのである。勤行・唱題の音声は、大宇宙の仏界、三世十方の諸仏に、あまねくとどろき、達している。そして我が生命の仏界、内なる「常楽我浄の宮殿」に通じ、響きわたっている。
 あたかも音楽が、何の説明も注釈もなく、生命から生命へと直接に響き、共鳴し、浸透していくように――。
 ゆえに、妙法への大確信をもって、ひたぶるに実践していくことである。そこに我が生命を開き、三世に崩れざる絶対的幸福の人生を開く道がある。
10  本日は、遠方より、六時間、七時間とかかって、この会合に出席してくださった方々も多くおられると聞いている。私どもはみな妙法の″家族″である。お一人お一人が大切である。皆さま方が疲れてはならない。きょうは、ゆっくりと、あとは休んでいただきたい。
 最後に、パナマの皆さまの素晴らしき活躍の姿を、重ねてたたえたい。また心から、「グラシアス(ありがとう)」「グラシアス」と申し上げ、本日のスピーチとさせていただく。

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