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日蓮大聖人・池田大作

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第二総東京代表協議会 対話から正義が 知恵が 健康が!

2002.7.15 メッセージ集(池田大作全集第67巻)

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1  日蓮大聖人の仏法は、「立正安国論」から出発し、「立正安国論」に帰着する。
 この警世の書を、時の最高権力者に提出し、真っ向から諌暁されたのは1260年(文応元年)の7月16日であった。「正義を実現」してこそ、「民衆の幸福」「世界の平和」はある。「立正安国」の大闘争が、この日、末法万年に向かって、高らかに宣言されたのである。
 その記念の日を、日本列島、そして全世界の同志とともに、未曽有の「立正安国の対話」のうねりの中で迎える。御本仏のお喜びは、いかばかりであろうか。
 創価学会は、大聖人の仰せに寸分違わぬ正道を歩み抜いている。わが同志の功徳は、御書に照らし、経文に照らして、無量無辺であり、計り知れない。
 第2総東京の広宣流布の快進撃を心から讃え、記念のメッセージを贈らせていただく。
2  人類を結び、人類を高める「対話」の力
 現代中国を代表する文豪・金庸博士と「対話」をめぐって語り合ったことがある。(=対談集『旭日の世紀を求めて』潮出版社から発刊。本全集第111巻収録)
 人類の教師といわれるソクラテスも、また孔子も、そして釈尊も、皆、「対話」を通して、その教えを伝え弘めた。「人類の教師」は「対話の教師」であった。
 ソクラテスの弟子、プラトンの著作は対話篇。『論語』も対話形式。
 さらに法華経も、釈尊が「どこで」「だれに」「どのように」法を説いたかという対話の記録といえる。そして、日蓮大聖人の「立正安国論」もまた、主人と旅客の対話で構成されている。
 人類を結び、人類を高めゆく力は、「対話」であった。これからも「対話」しかない。
 「対話」には、普遍性があり、納得性があり、創造性がある――。
 金庸博士と私の語らいは深く一致した。
3  先日(7月13日)は、カナダを代表する名門学府であるサイモン・フレーザー大学より、ウォン総長、ならびに同大学の「対話センター」学術諮問委員会のアンダーソン議長を迎えた。関西の同志とともに、記念の式典を楽しく朗らかに行い、忘れ得ぬ歴史を刻んだ。(=同大学から名誉会長に「グローバル対話貢献賞」が贈られた)
 サイモン・フレーザー大学は、世界市民の「対話」の推進に尽力してきた模範の学府である。
 歴史的建造物を活用して、学問と社会を結ぶ、画期的な「対話センター」を開設された。
 対話センターは、大きく二つの目的を掲げていると、うかがった。
 第一に、社会のあらゆる分野の間の「対話」を促進し、対立が発生する前に打開を図る。
 第二に、学問の世界の狭量さを「対話」によって克服しながら、学際的な研究を推進し、新しい多様な知恵を発揮していく――こうした理念のもと、先駆的な挑戦を進めておられる。
 活力みなぎるこの大学とともに、私が創立した創価大学、ボストン21世紀センター、戸田記念国際平和研究所は、新たな人類文明の創造へ連携を深めている。
 この四つの機関が共同で国際シンポジウム「地球市民の対話と平和構築」を開催した(12日、創価大学)。そこでも、「どれほど困難があろうとも、対話への希望を捨ててはならない」等と有意義な討議が行われた。
 「平和への対話」の真摯な探究者であるサイモン・フレーザー大学のウォン総長とアンダーソン議長、そして戸田記念国際平和研究所のテヘラニアン所長との語らい。それは、私にとって、生命の劇のごとき思い出となった。
 ウォン総長は、「SGI(創価学会インタナショナル)の運動から、地球市民の対話が発信されていることを実感しました」との言葉を残して、帰国された。私たちは「地球市民」の対話を、わが地域から全世界へ、明るく、さわやかに、にぎやかに広げてまいりたい。
 ドイツの大詩人ゲーテが、亡くなる直前に「もっと光を!」と言い残したエピソードは、よく知られている。とともに、ゲーテは晩年、「もっと対話を!」と語り合う重要性を協調していた。
 「(=さまざまな性格や世代の人々が)私に、どんなことを考えていたか、どんなふうに生き、働き、そしてどんな体験をへてきたか、を話してくれた。そして私がなしたことといえば、それを捉え、他人が私のために播いてくれた種を刈りとるというだけのことだったのさ」(エッカーマン『ゲーテとの対話』下、山下肇訳、岩波文庫)
 これは、若い世代に向けたゲーテの言葉であった。若々しく創造の人生を歩み続けたゲーテ。そのひとつの源泉は、生き生きとした「対話」にあったともいえまいか。
4  脳のために、毎日3人の友と語れ
 「対話」のもつ力は、医学の分野でも注目されている。
 「対話」は、脳に多くの効果的な刺激をもたらすというのである。また、「対話」によって、心臓から脳に送られる血流の量が適度に増え、新陳代謝も向上し、脳の健康の維持に役立つといわれている。
 健やかな脳の働きを維持するために、ある医学者は「毎日、3人以上と話してください」(築山節『わかりやすい脳の機能とボケの知識』オーム社)を勧めている。
 そうした点からも、多くの友と、仏法の哲理を語り合い、励まし合っていく学会活動は、生命の本然のリズムと、いかに合致していることか。まことに不思議なことだ。
 近年の工業技術院(経済産業省)の実験では、次のような結果が報告されていた。(「毎日新聞」2000年8月31日付)
 日常会話を理解する際、男性は、主に「左脳」しか使わないのに対し、女性は「左脳」も「右脳」も、両方ともバランスよく使用していることが判明したという。
 右脳は、時間的に離れた情報を結びつける働きがあるといわれる。
 したがって「女性の方が、男性よりも、話の全体の内容を、柔軟かつ多面的に理解できるのではないか」とも分析されている。じつに興味深い話である。
 「女性の世紀」は「対話の世紀」といってよいだろう。
 大聖人が、女性の弟子に送られた御書に、こう仰せである。
 「仏になる法華経を耳に触れるならば、これを種として必ず仏になる」(御書552㌻、通解)
 「とにもかくにも、法華経をあえて説き聞かせるべきである」(同㌻、通解)
 私たちの「対話の拡大」は「健康の拡大」であり、「希望の拡大」である。そして「境涯の拡大」であり、「永遠の幸福の拡大」なのである。
5  世界の知性と平和への対話を重ねて
 今年は、トインビー博士との対話から30周年。博士は遺言のごとく、私に「世界の知性との対話を!」と託された。平和のために。人類の未来のために。
 博士との約束を果たしゆく、世界の知性との対談集は、現在、28言語・114点を数える。
 私は、フランスの行動する文化人アンドレ・マルロー氏とも、対談集(『人間革命と人間の条件』。『池田大作全集』第4巻収録)を発刊した。
 このマルロー氏の友人で、ともにナチスと戦ったノーベル賞作家カミュは語った。
 「世界は真の対話を必要としており、対話の反対物は沈黙と同様に虚偽であり、したがって、自分たちのあるがままのものであり続けて真実を語る人々のあいだにしか可能な対話はない」(Albert Camus, Essais, Gallimard.)
 真の対話は、虚偽との戦いである。真実を叫び、虚偽を打ち破る以外にない。
 私が語らいを重ねた、現代中国の大作家・巴金ぱきん先生も、「四人組」の卑劣な陰謀の嘘と戦い続けてこられた。
 「もし一人一人が真偽を鑑別できれば、にせものが市場に出回るはずがない」(『真話集』石上韶訳、筑摩書房)と、巴金先生は訴えられた。
 その通りである。民衆が賢く強くなり、嘘を断じて許さない。そこに、正義と真実の勝利が開かれるからだ。
6  肉声こそが最大の言論
 45年前の昭和32年(1957年)の大阪事件。当時のことを、私は小説『人間革命』につづった(第11巻「大阪」の章)。
 7月12日には、東京・蔵前の国技館で「東京大会」が開かれた。戸田先生は叫ばれた。
 「日蓮大聖人の御精神の根本は広宣流布です。その御精神を受け継ぎ、仰せのままに広宣流布をしてきた教団は、学会以外にありません」
 「皆、口ではうまいことをいう。また、立派そうなこともいう。しかし、不惜身命の精神で妙法広布に殉じようとはしない。難を受けなかったということは、本気になって広宣流布をしなかったからです」
 「この学会の信心以外に、大聖人の御心に適う信心などありません。大御本尊のほんとうの功力もありません」
 「仏法の勝負は厳しいぞ。やがて、すべては明確になる。学会に敵対するならば、いかなる者であれ、大聖人様が許しませんよ」
 永遠不滅の師子吼である。
 さらに7月17日、あの中之島の大阪市中央公会堂での「大阪大会」。戸田先生は訴えられた。
 「破折すべきことは徹底して破折していくんです。黙っていれば、世間はそれが真実だと思い込んでしまう。『いかなる事ありとも・すこしもたゆむ事なかれ、いよいよ・はりあげてせむべし』というのが、折伏の精神です」
 「われわれは自分で体験し、学会の真実を知っているんだから、こっちの方が強いに決まっています。言論戦といったって、活字だけじゃありません。肉声こそ最大の言論じゃないか。正義が嘘八百に負けてたまるものですか」
 「世間も学会の真実の姿というものを知れば、偏見に満ちた報道など誰も信じなくなる」
 「各紙が争って学会の真実を、素晴らしさを報道せざるをえない時代がきます。それがほんとうの勝負だ」
 この戸田先生の確信どおりの時代を、私は全魂で開いてきた。
 終わりに、「立正安国論」の一節を拝したい。
 「如かず彼の万祈を修せんよりは此の一凶を禁ぜんには
 社会の不幸をなくすためには、一凶――社会を不幸にする根本悪を断つべきである。邪悪との闘争なくして、広宣流布はないのである。
 お盆に当たり、亡くなられた広宣流布の全功労者、また全同志の先祖代々の諸精霊の追善回向を懇ろに行わせていただいた。
 暑い日が続くので、皆さまは、どうか、「健康第一」で前進していただきたい。
 (八王子市内)

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