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日蓮大聖人・池田大作

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全国総県長会議 指導者の「勢い」と「祈り」に勝利の道

2000.5.25 メッセージ集(池田大作全集第67巻)

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1  総県長会議の皆さま、大変に、ご苦労さまです!
 昨日は、本部幹部会で、意気揚々たる皆さまの雄姿を、私は、うれしく拝見しました。皆さまは、今この時に、それぞれの方面、それぞれの県で、広宣流布の指揮をとることを、久遠より願ってこられた不思議な使命と縁の方々である。
 御聖訓に「いくさには大将軍を魂とす」と仰せのように、何よりも大事なのは、指導者の「勢い」であり、「情熱」であり、「精神の力」であり、「聡明さ」である。少しでも、皆さまの前進の糧になればと願い、メッセージを贈らせていただきたい。
 はじめに箴言を紹介したい。
 ゲーテいわく。「意見が完全に一致したかどうかは問わなくてよい。同じ趣旨で行動しているかどうかを問え」(『箴言と省察』岩崎英二郎・関楠生訳、『ゲーテ全集』13所収、潮出版社)
 味わい深い言葉である。指導者は、この大局観、この包容力を忘れてはならない。
 同じくゲーテの箴言に、こうある。
 「精神豊かなことに反対する人たちはみな、炭火のなかをたたくだけのことだ。炭火はそこいらじゅうに飛び散って、そんなことをしなければなんでもなかったはずのところにまで火をつける」(同前)
 私どもの広宣流布の前進にもまた、必ず迫害がある。しかし、攻撃があればあるほど、こちらがいよいよ強く、大きくなっていくことができる。これが真の精神闘争である。私どもの精神闘争である。
 さらにスイスの思想家・ヒルティの言葉。
 「友人となるかと思えば敵になるという風にたびたび変化するのは、つまらぬ性格の人間だということのしるしである」(『幸福論』2、草間平作・大和邦太郎共訳、岩波文庫)
 節操のない人間の蠢動などに振り回されてはならない。痛烈に破折していくことである。
2  スポック博士――「人につくす姿」を子に教えよ
 御書の中に、こういう一節がある。
 「今の日本国の小児は魄をうしなひ・女人は血を
 思想が乱れ、時代が乱れれば乱れるほど、その犠牲となって最も苦しんできたのは、子どもたちであり、母たちであり、女性たちである。大聖人は、こうした人間社会の宿命的な苦悩に光を当てておられた。
 現在の日本も、まさに「魂」を失ってしまったような子どもたちの問題が深刻である。思いもよらない事件も続発している。お母さんがたの不安は、じつに大きい。いま、子どもたちに、どのように手を差し伸べていくべきか?
 ここで、「現代小児科学の父」として有名なアメリカの故・ベンジャミン・スポック博士(1903〜98年)の英知の言葉に耳を傾けたい。『スポック博士の育児書』(暮らしの手帳翻訳グループ訳、暮らしの手帳社)といえば、二十世紀を代表するベストセラーである。わかりやすく、懇切丁寧な内容であり、世界中で翻訳され、五千万部も発刊されている。
 私も、博士からサイン入りのこの書をいただいた。そこには、「あなたの持つ未来への展望に対し、敬意を表します」と丁重に記してくださった。
 五年前、博士は、夫妻で、わがアメリカ創価大学のロサンゼルス・キャンパスにお越しくださり、講演をしてくださった。当時、九十一歳であられた。
 博士は「創価の学生たちの姿は、信じられないくらい、素晴らしい。創価教育に強い関心を覚えました。感動しました」と語っておられた。
 博士ご自身が、ベトナム反戦運動など、平和運動、市民運動に勇敢に行動してこられた方である。
3  スポック博士は、この名著のなかで、こう言われている。「こんなひどい世の中で、わたくしたちにできることがたった一つ、残されているのです」
 その唯一の道とは、いったい、何か? 博士いわく。
 「それは、こどもたちを、自分さえよければ、といった人間でなく、人は、もともと、じぶん以外の人に尽すために生まれてきたのだとおもう人間に育てることなのです。こどもというものは、自分がほんとうにひとの役に立つのだとわかると、誇らしくなり、奮起して立ちあがれるものなのです」(同前)
 簡潔でありながら、重要な急所を突いた言葉である。
 では、そうした、「人に尽くそう!」「人の役に立っていこう!」とする、誇り高い子どもたちを育てるためには、どうしたらよいのか?そのために博士は、親自身が、社会へ積極的にかかわり、その姿を子どもたちに示していくことを主張されている。
 たとえば、家族の語らいの中でも、町のこと、国のこと、世界のことについて、親がどのように考えているかを話し合っていく。そして実際に、宗教や、福祉や、ボランティアの活動に参加して、親みずからが「世の中の問題を解決するのに直接に役立とうとしている」ことを子どもに教えていく。こうした「親自身の行動」こそ重要であると、博士は指摘されているのである。
4  学会活動こそ尊き「人間教育」
 「人間不信」の時代にあって、親が深い信仰をもって、確信ある人生を生き、子どもたちも、その信仰を受け継いでいく家庭が、どれほど幸福であるか。
 社会に貢献し、「人間」と「人間」をつなげ、「心」と「心」を結んでいく親たちの努力が、どれほど子どもたちに「人間への信頼」をはぐくみ、希望と夢を広げていくことか。このことを博士は訴えておられるのであろう。
 まさしく、これこそ婦人部の方々をはじめ皆さま方が、学会活動で、毎日また毎日、自然のうちに行っておられることである。
 人のため、地域のため、社会のため、国家のため、世界のため、未来のために、祈り、歩き、人と会い、人と語っていく。それは、何倍も忙しく、また何倍も苦労が多い一日また一日である。しかし、皆さま方のこの神々しい姿こそが、そのまま、子どもたちへの何よりの「人間教育」ともなっているのである。「時代の闇」を照らす「希望の光」が、ここにある。
5  広布の労苦はすべて大功徳に
 文豪・ユゴーは言った。
 「どんなものでも反射されれば輝きがうすれるものだが、人に与えたよろこびだけは、弱まるどころかいっそうはれやかな輝きとなって自分にもどってくる」(『レ・ミゼラブル』1、井上究一郎訳、『世界文学全集』43所収、河出書房新社)
 いわんや、妙法にのっとった創価の運動は、「歓喜の中の大歓喜」を、自他ともに、幾重にも、また幾重にも輝かせ、拡大していくのである。すべてが、寸分の無駄もなく、生かされていくのが学会活動である。
 御書には「皆我が一念に納めたる功徳善根なり」と仰せである。
 広宣流布のための労苦は、一切が、わが生命を荘厳していく。わが眷属をも荘厳していく。
 大聖人は、女性の弟子への励ましのなかで、“目連尊者が全世界を瞬時に飛び回れるような大境涯になったのは、過去世に、仏法を求めて千里の道のりを通ったからである”と教えておられる。(御書1223㌻)
 皆さまご自身が、そして子々孫々が、宇宙に無数に広がる仏国土を舞台に、大指導者の存在となって、悠々と、堂々と、厳然と、活躍し、光っていく。その大功徳を刻み、大福運を積みゆく、今の仏道修行である。全部、未来永遠にわたって勝ち抜いていける「金剛不壊の自分自身」を築くための闘争なのである。
6  きたる六月十日は、わが「世界第一」の創価学会婦人部の日である。明二〇〇一年が結成五十周年。本年は、その開幕の年となる。待望の「創価世界女性会館」の完成も、いよいよ近い。(=2000年9月に完成)
 私ども夫婦の大切な友人であるアメリカの人権の母、ローザ・パークスさんは語っておられる。
 「私たちはみな、人生について何かを学び続けている生徒なのです。先頭にたって進んでみてください。そうすれば、きっと他の人たちもあなたの後に続くことでしょう」(『ローザ・パークスの青春対話』高橋朋子訳、潮出版社刊)
 「苦労即幸福」である。そして「幸福は勇気から!」である。どうか、「女性の世紀」の先頭に立ち、「母」と「子」の勝利のために、心の虹を光らせながら、大歓喜の前進をお願いしたい。
7  「広布の人」への悪口を断固、打ち返せ!
 日蓮大聖人を末法の御本仏と仰ぎ、法華経の通り、御書の通り、広宣流布に進みゆく学会を中傷する罪が、どれほど重いか。
 法華経の法師品には、こう説かれている。
 「もしも、この善男子、善女人が、私の滅後に、よくひそかに一人のためであっても、たとえ一句であっても、法華経を説くならば、まさに知るべきである。この人は、如来の使いであり、如来から遣わされたものとして、如来の仕事をなすのであると」
 そして、悪人が、不善の心をもって、一劫という長い間、仏の前で常に仏の悪口を言っても「その罪は、なお軽い」。しかし、法華経を読誦するものに対して、一つ、悪口を言うならば、「その罪は、極めて重い」――と。
 また、御書には、こう仰せである。
 「一切の仏法も又人によりて弘まるべし」「持たるる法だに第一ならば持つ人随つて第一なるべし、然らば則ち其の人を毀るは其の法を毀るなり
 ――一切の仏法もまた、人によって弘まるのである。(中略)持たれる法さえ第一ならば、持つ人もまた第一なのである。そうであれば、その人を毀るのは、その法を毀ることである――と。
 ゆえに、広布の人への悪口は、断固、打ち返していかねばならない。
 さらに大聖人は「曾谷入道殿許御書」で伝教大師の文を引いておられる。
 「讃する者は福を安明に積み謗ずる者は罪を無間に開く」――讃めたたえる者は福を須弥山のごとく積み、誹謗する者は罪を無間地獄に開く――いわれなき誹謗には決然と反撃する。そして、けなげな同志を徹底して賛嘆していくことである。
8  結びに、哲人の言葉を紹介したい。
 フランスの思想家・モンテーニュの言葉。
 「精神を鍛練するもっとも有効で自然な方法は、私の考えでは、話し合うことであると思う」(『エセー』5、原二郎訳、岩波文庫)
 日々の対話こそ、最大の精神の鍛錬である。
 そして文豪・トルストイ。
 「言葉は実に大事業である」「言葉によって人々を結合させる事も出来るし、離反させる事も出来る」(『人生の道』下、原久一郎訳、岩波文庫)
 「声仏事を為す」である。人の心を揺さぶる「言葉の力」「声の響き」で民衆のスクラムを広げ、すべてに勝利していただきたい。
 どうか、お帰りになられたら、各方面・各県の大切な大切な同志に、くれぐれも、よろしくお伝えください。広宣流布のために戦っておられる同志の皆さまこそが、仏にも等しい、最も尊貴な方々です。この真実の大功労者の方々を最大にほめたたえ、ねぎらい、励ましてください。そこに、功徳も、威光勢力も、倍増していくからです。
 皆さま、どうか体を大事に、いつまでも健康で、若々しく、生き生きと張り切って、広宣流布の指揮をとっていっていただきたい。健康な生命の力は、それ自体、仏の境涯の一分です。
 私も、いやまして真剣に、お題目を送り続けてまいります。本日は、本当に、ご苦労さまでした。また、お会いしましょう!
 (創価文化会館)

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