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第四回農村ルネサンス体験主張大会 豊かな文化は豊かな田園が育む

2000.2.19 メッセージ集(池田大作全集第67巻)

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1  第四回の「農村ルネサンス体験主張大会」の開催、まことにおめでとうございます。
 大切な大切な、農村部の皆さまです。私は会長に就任した四十年前から、皆さまの命をかけた営みの無事安穏、豊作をいつもいつも祈ってまいりました。
 これまで農村部の皆さまが、青年主張大会、婦人体験談大会、農村写真展と全国各地で営々と繰り広げ、「地域の灯台」として農村広布を前進させてこられたことを全部存じております。その皆さまのご健闘に、心から「ご苦労さま」と申し上げます。
 まもなくツクシンボやフキノトウが萌えだす「早春の宴」が皆さまの地域では見られることでありましょう。少年のころ、土の香りに包まれて、たんぼのあぜ道を駆け、早春の野原に大の字に横になった、あのなんともいえない安らぎを懐かしく思い出します。
 「豊かな文化は豊かな田園が育む」――日ごろの生活から土の匂いを奪い取られた今、「農村が発する文化」に人間の蘇生を期待するのは、私一人ではないでありましょう。
 農村を忘れることは文化を忘れることであり、人間を忘れることであるとは、私の信念です。そもそも文化は、「地方」から育まれたものであり、初めから「中央文化」などというものはあった例しがありません。
 文化のルーツは「カルチャー(文化、耕すの意)」、つまり農耕にあったのであります。この原点を忘れた根なし草のような文化は、いつか貧弱さを露呈し、人間の心の大地に根づくことはないといえましょう。
 自分の手足で自然を相手にする農作業には苦しさ、厳しさがあります。しかし、その「土の匂い」の労働には、ほかの何ものにも代え難い「収穫」という喜びがあります。
 ですから私は、農村人こそ最高の文化人であるといっているのであります。
2  ”グリーン・パワー”に二十一世紀の未来が
 ノーベル賞受賞者であるアレキシス・カレル博士は著作『人間――この未知なるもの』のなかで、「土壌が人間生活全般の基礎なのであるから、私たちが近代的農業経済学のやり方によって崩壊させてきた土壌に再び調和をもたらす以外に、健康な世界がやってくる見込みはない」と指摘しています。文明の力・化学肥料で痩せた土地でも穀物をつくることはできます。しかし化学肥料で土壌を回復させることは、いまだにできません。
 “人間は木の葉一枚つくることができない”という謙虚さを忘れた文明の延長線上に、「生命の世紀」を築くことはできないのです。これは、農村人ならだれでも思うところでありましょう。だからこそ今、農村からの命を育む文化の発想が大切であり、皆さんのグリーンパワーに二十一世紀の未来があると訴えたいのです。
 ある農村詩人が歌っています。
 「キラキラ今朝の新雪の中で
 冷害の暗い暦を引きさいて
 新しい明日へむかって叫ぶのだ
 太陽がなければ太陽をとれ
 人間は自然の奴隷ではない
 太陽は人間の中にある
 太陽はみんなの中にある」(熊谷克治『太陽をとれ』明治図書出版)と。
 今まで農村社会は、時に冷害の暗い歴史を引きずったり、あたかも遅れた文化のように取り沙汰されたりもしました。しかし、そういう感覚に終わりを告げなければなりません。「二十一世紀の太陽は、農村人という人間の中にある」ことを強く強く確信していただきたい。
 私は農村部に期待しています。「二十一世紀耕す主役農村部」の新テーマのもと、地域から社会に覚醒を促すルネサンス運動を展開する農村部に大きな期待をしています。
 皆さんこそ、「一人で百の姓をもつ」にふさわしく、一人一人が新世紀を耕す大きな力ある存在であると申し上げ、私のメッセージといたします。
 どうか、お体を大切に! 地域、ご家族の皆さまに、くれぐれも、よろしくお伝えください。
 「農村部の日」を記念して

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