Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

医師と病院 患者第一の医療革命を

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

前後
12  「言葉は医師の最大の道具」
 池田 ともあれ、医師の言葉は影響が大きい。ラウン博士も「言葉は医師の最大の道具である」(前掲『治せる医師・治せない医師』)と強調されています。
 荻上 私の母が高血圧で倒れたとき、救急車で病院に運ばれました。家族として、私も救急車に同乗しましたが、不安で仕方がありませんでした。病院で治療を開始したときに、看護師長さんの「もう大丈夫ですよ」の一言に救われた気がしました。病院の原点を見る思いでした。
 池田 温かい励ましが大事ですね。反面、ラウン博士は「言葉は、患者を癒すだけでなく傷つけることもある両刃の剣だ」(同前)と、医師の軽率な言葉、不適切な言葉を注意されています。
 上東 歌人の石川啄木が、腹膜炎の疑いで診察を受けたさいの歌を思い出しました。
 「そんならば生命が欲しくないのかと、/醤者に言はれて/だまりし心!」(小田切秀雄編『石川啄木歌集』潮出版社)と。
 傷ついた啄木の無言の怒り、反発、苦悩が伝わってきます。
 森田 最近は、「ドクターハラスメント」(医師による患者へのいやがらせや暴言)という言葉さえあります。
 皆が待望する「医療革命」へ、私たち医師の責住は重大です。
 池田 患者さんのほうも、受け身ではいけない。
 疑問があれば積極的に質問し、十分に納得したうえで治療を受ける心構えが必要でしょう。ある意味では、自分の体は自分で律し、守っていくしかないからです。
 森田 納得できない場合は、「セカンドオピニオン」(主治医以外の医師の意見)として、他の医師の意見を聞くことも大事です。
 いずれにせよ、治療の方針を立てるのは医師ですが、通院・服薬・食事療法など、治療を実践するのは患者さん自身です。
 池田 『健康の智慧』でもふれましたが、仏典では次のように病んだ人の心がける点があげられています。
 (1)それぞれの病気に適した薬や食事を服用する。
 (2)治療する人・看病する人の言葉にしたがう。
 (3)自分の病気が重いか、軽いかを認識する。
 (4)苦痛に負けない。
 (5)努力を怠らず、聡明な智慧をもつ。
 こうした仏法の智慧は、医学の道理とも響きあっていると思います。
 荻上 たしかに的確な洞察だと思います。″医師まかせ″ではない、患者さんの主体性を教えています。
 森田 高齢社会が進み、介護保険や健康保険などが整備されつつありますが、老後への不安は、解消されているわけではありません。ますます″自分の健康は自分で守る″ことが必要になってきました。
 池田 根本は、自分自身が自分の″医師″なのです。
 日蓮大聖人は「命というのは、自分にとっていちばん貴重な宝である。たとえ一日であっても寿命を延ばすならば、千万両の黄金にもまさる」(御書九八六ページ、通解)と仰せです。
 一日でも長く生きれば、それだけ妙法を唱えられる。仏法を教え伝えることができるそのぶん、永遠の福徳が積まれていく。
 ともどもに、健康で、長寿で、「かけがえのない人生」「使命の人生」を生きぬいていきましょう。

1
12