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日蓮大聖人・池田大作

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認知症 生きている「心」に向かって語る

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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16  定年後こそ「生き方」が問われる
 池田 何らかのショックや「わだかまり」が内向して、引き金になることもあるでしょう。男性の場合、定年退職をきっかけに認知症の症状が現れる場合も多いと聞きます。
 稲光 「仕事が生きがい」という人の場合、退職によって社会的役割を失い、充実感や緊張感がなくなってしまうようです。
 松本 女性の場合も、子ども夫婦と同居して、家事にたずさわらなくなるなど、やはり自分の「役割」を失って認知症になる人が多いと言われています。
 池田 学校時代が第一の人生、その後が第二の人生とすると、老年期は総仕上げの「第三の人生」です。体は衰えていく。しかし人生は心一つで、いつでも、どこでも自分を輝かせることができます。さあこれからだ、新たな目標を掲げ進んでいこう――こういう前向きな気持ちが脳細胞にも刺激をあたえ、新たな活力を生みだしていくのです。
 牧口先生は五十歳を過ぎてなお英語の勉強を続けられ、六十代、七十代でも、青年にまさる情熱で、行動されています。
 松本 すごい精神力ですね
 小島 たしかに、高齢になっても、生きがいをもっている人は、元気な人が多いです。
 池田 年齢とともに、たとえ記憶力は落ちても、総合的な判断力、人間理解力、人生への洞察力は若い人よりも鍛えられている。それらを、いよいよ発揮していく年代です。
 老年期は、それまで以上に「人間としての自分」が問われる年代でもある。社会的地位や立場等を離れでも、心に豊かな″何か″をもっているかどうか――それが問われてきます。その意味で、ぼけない予防は、若いうちから始まっている。生き方そのものに深く関係していると言えるでしょう。もちろん、認知症という病気の場合は別であることは言うまでもありません。
 一般に、「ぼけにくいタイプ」とは、(1)新聞や本などをよく読み、頭を使っている人 (2)物事に、くよくよしない人 (3)利己的でなく、世話好きな人 (4)喜びや感動など感受性の豊かな人 (5)自分なりの生きがいをもち、向上心の強い人、と言われていますね。
 松本 そうです。ですから学会活動は認知症の予防になると思います。
 池田 毎日、「聖教新聞」はじめ活字を読む。さまざまな悩みも、信心の実践によって打開していく。その体験を「語り」、「人々の幸福のために」奔走する。そして、友の蘇生に「感動」し、人生の醍醐味を思うぞんぶん、味わっていく――体も心も頭脳も、サビつきません。もちろん、その根本は題目です。題目にまさる生命蘇生の妙薬はありません。学会活動に一切、むだはないのです。最高の健康法ではないでしょうか。
 稲光 (6)話し相手がいる、人もぼけにくいです。
 小島 その意味でも、学会はありがたいですね。
 池田 そのとおりです。広宣流布のリズムのなかで、無理なく「健康のリズム」を整えながら、自分らしく、はつらつと生きぬいていただきたい。幸福に長生きしていただきたい。
 仏法では、「年は・わかうなり福はかさなり候べし」――年はますます若くなり、福運はますます重なっていくでしょう――と説かれています。
 妙法を行じる人の生命には、日々月々に「新しい太陽」が昇る。燦然たる、豊かな生命力がわいてきます。「三世の果てまで使命に生きる!」と希望が燃えます。
 心は年どとに若々しく、福運が満つる生活となっていくのです。最後の最後まで、「わが命」を燃やしながら、大空を荘厳な金の輝きで彩るような人生の総仕上げを生きぬきたいものです。

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