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生きぬくカの象徴

「健康対話」(池田大作全集第66巻)

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1  森田 六月四日から「歯の衛生週間」です。そこで、歯科衛生士の佐藤エスミさんにも加わっていただき、「歯」について考えてみたいと思います。
 佐藤 よろしくお願いします。
 池田 遠慮はいりません。「歯に衣着せない」率直なアドバイスを、お願いします(笑い)。それにしても「歯科医だけはニガ手」という人は多いですね。
 豊福 そうなんです。歯を削るときの「キーン」という音を思い出すだけで、頭が痛くなるという人もいます。(笑い)
 池田 人間の歯は何本あるのですか。
 佐藤 成人では「親知らず」四本をふくめれば三十二本です。
2  「丈夫な歯」は仏の三十二相にも
 森田 釈尊は、歯が四十本あったと言われていますが?
 池田 実際にあったかどうかはわかりません。ただ仏の三十二相(優れた三十二種類の肉体的特長)の、なかには、「歯」も出てきます。「歯が四十本ある(四十歯相)」「歯がそろっている(歯斉相)」「犬歯が四つあって真っ白である(牙白相)」というものです。歯がいいことは、昔から皆の憧れだったのでしょうね。
 御書にも美しい容色の一つとして「白歯」があげられています。
 佐藤 はい。白い歯に憧れる人はたいへん多いんです。一般に、あまりにも「白い歯」は、もろいとされています。「少し黄色い」ほうが自然な色ですし、硬くて丈夫なんです。
 池田 そうなんですかところで、虫歯の原因は、解明されたのでしょうか。
 佐藤 かなり明らかになってきました。今はミユータンス菌」という細菌がもっとも有力な原因とされています。
 この細菌は、砂糖を材料にして、水に溶けにくく、粘り気のある″のり″のような物質を作ります。この″のり″を拠点として、歯の表面などで繁殖し、やがて層ができます。これが「歯垢(歯のアカ)」です。
 豊福 歯の表面を楊枝でこすったときについてくる、ネバネバした白い固まりですね。
 佐藤 そうです。この歯垢に、さまざまな細菌が住み始めます。そして食べ物の残りカスを分解し、酸を作り出すのです。この酸で「歯の表面のエナメル質が溶ける」のが、虫歯の始まりです。
3  虫歯の予防は歯磨きしかない
 池田 なるほど。虫歯を予防する薬はありますか。
 佐藤 残念ながらありません。虫歯を予防するには、「正しい歯磨き」以外にないのです。歯を磨くことで、歯垢をとりのぞき、細菌を住みにくくすることが最高で唯一の予防法です。
 池田 この点は、いくら強調しても、強調しすぎることはありませんね。
 森田 はい。じつは、私も歯が悪いので、身にしみています。(笑い)
 池田 シェークスピアは「どんなにありがたい哲学を説くものでも歯の痛みをじっと辛抱できはしなかったはずだ」(『から騒ぎ』小田島雄志訳、『シェークスピア全集』1所収、白水社)と言っていますが、やはり、医師も我慢できないんですね(笑い)。虫歯は遺伝しますか。
 佐藤 虫歯自体は遺伝しません。よく「親も歯が悪かったので、私も歯が悪いんです」と言う人がいますが、虫歯になるかどうかは、自分の手入れしだいです。私も、乳歯が全部、虫歯になってしまったため、永久歯の並びまで悪くなってしまいました。その後、きちんと歯磨きを行うようになってからは、健康な歯になりました。
4  よくかめば、頭もよくなる――歯によいのは小魚や緑茶
 池田 体験にもとづいたアドバイスは、万巻の医学書にまさる説得力がありますね。虫歯になりやすい食べ物は何ですか。
 佐藤 ケーキやクッキー、缶コーヒーなど、砂糖が多くふくまれる、お菓子や飲み物です。
 森田 スナック菓子なども、ベタベタして口の中に残りそうですね。
 佐藤 そうなんです。ですから、しょっちゅうお菓子をつまんでいる人は、いつも口の中が酸性で、虫歯菌が繁殖しやすい状態にあります。間食は大敵です。
 池田 反対に、歯によい食べ物はありますか。
 佐藤 小魚などがいいとされています。歯の原料となるカルシウムやリン、またフッ素がふくまれていますし、フッ素には歯を強くする効果がありますから。
 豊福 フッ素がふくまれているという点では、緑茶もいいですね。
 佐藤 はい。また永久歯は、じつは、お母さんの胎内にいるときから、でき始めます。ですから、妊娠中も栄養のバランスに気をつけることが大切です。
 池田 現代人に虫歯が増えたのは、どうしてでしょうか。
 森田 何より食生活の変化が原因だと思います。人間の食べ物は、料理法や加工技術の進歩によって、どんどん軟らかくなりました。
 おかげで現代人はかまなくなりました。その結果、あごが小さくなり、歯も弱くなったのではないでしょうか。
 佐藤 そうです。あごが小さくなったために、歯もきちんと並ばなくなりました。今の日本人の七五パーセントは、「親知らず」が正常に生えていないと言われています。それは生える場所がないからなんです。
5  昔に比べ「かむ」回数は六分の一
 豊福 日本人は弥生時代、一回の食事で三千九百九十回かんでいた、という調査があります。
 森田 よく数えましたね。(笑い)
 豊福 ええ。それが現代では、六分の一以下の六百二十回に減ったというのです。
 池田 六分の一ですか。昔は、「歯ごたえのある」食べ物に刺激されて、歯もあごも強くなったのですね。人間も同じです。いつもが″ぬるま湯″のような環境にいては、刺激も張りあいもなくなる。″歯ごたえ″のある課題に挑戦してこそ強くなる。秘めた力も出てきます。
6  だ液は不老長寿の″魔法の液体″
 池田 「かむ」ことには、どういう効果がありますか。
 佐藤 あごの骨を発達させます。あどの発育がよくないと、歯並びも悪くなり、手入れもむずかしくなります。歯垢もたまりやすいのです。
 森田 かめばかむほど、だ液の分泌も多くなります。すると、だ液の酵素の働きで、消化を助けることになります。
 佐藤 だ液には、食べ物のカスを洗い流す働きもあります。また、「酸を中和」したり、最近の発育を妨げる」働きもあり、虫歯など歯の病気を防ぐことができます。
 豊福 だ液には、発がん物質の毒を消す酵素や、若さを保つホルモンもふくまれています。
 池田 少し大げさに言えば、不老長寿の″魔法の液体″ですね。「よくかんで食べる」と、腹八分目でも満腹を感じることができますね。
 森田 はい。だから肥満の子防にも役立ちます。また、「かむ」ことは脳を刺激します。たとえば、車の運転中にガムをかむと眠気がさめると言われています。これは、ガムのせいではなく、「かむ」ことが頭の血の流れをよくし、脳の働きを活性化するからです。ですから、脳の老化の防止にもなります。
 池田 「かむ」ことは「健康」で「長生き」するために、欠かせない要素ですね。生きぬく生きるための努力、力の象徴とも言えるでしょうか。
 豊福 そのとおりです。「かむ」ことができれば、食事も、おいしく味わえます。楽しく食べられないと、生きる意欲まで失われがちです。
7  「齢」とは「歯」のこと――奥歯一本で四〇パーセントかむ効率が違う
 森田 厚生省(現厚生労働省)が推進する「八〇二〇運動」というのがあります。これは、「八十歳になっても自分の歯を二十本残そう」というものです。二十本あれば、どんなものでも食べられるとされています。
 池田 日本人の平均は、どれぐらいですか。
 佐藤 四本から五本ぐらいです。アメリカには十本前後の地域もあります。
 池田 日本人の歯に対する意識の低さを反映していると思う。社会的慣習や治療費の違いはあるでしょうが――。
 佐藤 「一本ぐらい抜けてもいいだろう」と考えている人がいるかもしれません。ですが、奥歯が一本抜けただけで、かむ効率は四〇パーセントも下がるとされています。「入れ歯があるさ」と思っている人もいるでしょうが、どんなに技術が発達しても、天然の歯にはかないません。
 森田 歯科医で虫歯を削って詰め物をしたあと、なかなか、しっくりこないことがありますが。
 佐藤 歯の根元には、あごの骨にかかる力を和らげる「歯根膜」という膜があります。歯根膜には髪の毛一本の厚さの違いを感じとる能力があるのです。歯は私たちが考えている以上に精密なんです。
 池田 「歯も幸福も、失って初めてありがたさがわかる」という西洋のことわざがありますが、そのとおりですね。
 「歯がない」ことは、精神面にも大きな影響をおよぼします。歯並びがきれいで、口元がさわやかだと、どんな年齢になっても会話を楽しむことができる。反対に歯がないと、話も「歯切れが悪くなる」。(笑い)
 佐藤 実際にしゃべりにくくなるし、表情も貧しくなります。口を開けるのが恥ずかしくなり、人前にも出たくなくなります。
 豊福 長生きする人には、自分の殻に閉じこもる人は少ない、とされています。
 池田 中国でも、歯があるかないかが、長寿や健康の条件とされていたようです。
 「没歯」(「論語」)という言葉があります。これは「寿命が尽きる」という意味です。つまり「歯」は「命」そのものを表していたのでしょう。
 そもそも年齢の「齢」という字は「歯」という字がもとになっている。人の年齢、寿命を歯ではかったのです。「年歯」という言葉もあるが「年齢」と同じ意味です。
 また昔の中国や日本では、「歯固め」といって、年の初めに硬いものをかみしめて長寿を祈る風習があった。たしか『源氏物語』や『土佐日記』にも出ています。
 ともあれ、歯はかけがえのない「命」の元です。自分で守るしかありませんね。
8  「歯磨き」は「品格を磨く」
 豊福 歯が大切なことは、わかっているつもりでしたが、「齢」という漢字も「歯」からできているとは気がつきませんでした。
 森田 まさに「歯は命」なんですね。
 池田 これは東洋だけの考え方ではありません。西洋医学の父と言われるヒポクラテスも言っています。「長生きしている人は歯の数が多い」(『流行病第二巻』、近藤均訳、『新訂ヒポクラテス全集』1、エンタプライズ)
 ところで歯の病気は「虫歯」だけではありませんね。
 佐藤 はい。「歯」だけでなく、歯ぐきなどの「歯を支える組織」が大事です。この両方が健康でないと、「健康な歯」とは言えません。
 池田 なるほど。「ビル」と、ビルを支える「土台」のような関係と言っていいでしょうか。土台がぐらついたら、どんなにビルが立派でも、どうしようもないですね。
9  歯ぐきの病気は、放置すると大変――歯ぐさから血が出たら注意!
 佐藤 そうなんです。「土台」に当たる「歯を支える組織」に炎症が起きるのが「歯周病」です。文字どおり、歯の周辺の病気です。「歯ぐきが赤く腫れる」「歯ぐきから血が出る」「歯がグラグラする」。こんな症状は、歯周病の赤信号です
 豊福 歯槽膿漏とは違うのですか。
 佐藤 歯槽膿漏も歯周病です。歯ぐきに、うみがたまった状態を言います。
 「歯周炎」の一つです。これは、こわい病気です。もう少し軽い「歯周病」には「歯肉炎」があります。
 池田 似たような名前で、区別がむずかしい。(笑い)
 佐藤 すみません。(笑い)
 池田 いやいや。大事なことですから、もう少し、お願いします。症状が重いのが「歯周炎」、軽いのが「歯肉炎」ですね。
 佐藤 そうです。歯肉炎は、歯ぐきが、ばい菌によって炎症を起こす病気です。出血したり、腫れたりしますが、たいていは、ばい菌の固まりである「歯垢(歯のアカ)」をとりのぞけば治ります。
 森田 それほど心配することはありませんか。
 佐藤 だれでも少しはかかっていますので、それほど気にする必要はありません。ただ、これが進むと心配です。歯と歯ぐきの間にはミゾがあります。病気が進むと、ここに、ばい菌が繁殖し始めます。
 池田 ばい菌のポケットのようなものですね。(笑い)
 佐藤 そうなんです。事実、「歯周ポケット」と呼ばれています。(笑い)
 さらに病状が進行すると、このポケットがいちだんと深くなり、歯を支える「土台」を壊してしまうんです。これが歯周炎です。(歯を支える「歯根膜」や「歯槽骨」が破壊される)
 森田 痛みはないのですか。
 佐藤 虫歯と違って、痛みがないことが多いんです。だから、知らないうちに進行していきます。それまで虫歯が一本もなくても、三十五歳くらいから歯がガタガタして、気がついたら「抜くしかない」ということがよくあります。
10  歯周病は不潔が元凶
 池田 原因は、やはり口の中の不衛生ですか。
 佐藤 そうです。不潔にしているから、かかる病気です。お風呂に入らないのと同じです。(笑い)
 池田 清潔感のある口元は、その人の品格、教養、さわやかさにかかわってくる。少なくとも人前で話をするような立場の人は、歯に無関心ではいられないでしょう。
 歯磨きなど口の手入れは、相手を思いやる基本的なエチケットです。社会生活上のマナーと言えるでしよう。
 佐藤 そのとおりです。歯周病の予防法も、やはり「歯磨き」しかありません。まずは「歯垢を残さない」ことが大切です。歯垢は放っておくと、石灰化して「歯石」になります。こうなると自分では落とせません。
11  歯磨きは一日一回でもいい、徹底的に
 池田 歯磨きは一日に何回やればいいのですか。
 佐藤 毎食後にするのに、こしたことはありません。ただし必ずしも一日三回でなくてもかまいません。
 森田 そうですか! 多忙な現代人には、興味深い話ですね。
 佐藤 というのは、甘いものなどを食べても、すぐに虫歯になるわけではないのです。ばい菌のすみかとなる歯垢ができるには、約二十四時間かかると言われています。
 池田 なるほど。そうすると、「食べてから二十四時間以内」に、歯垢を落とせばいいわけですね。歯磨きぎらいには朗報ですね。(笑い)
 豊福 その意味では、一日一回でよいから、徹底的に磨いたほうが効果的かもしれませんね。
 佐藤 そう思います。大切なのは「回数」よりも「磨き方」なんです。日本人の歯磨き時聞は、平均約三十秒とされていますが、これくらいでは歯垢は落とせません。正しい磨き方をすれば、一回の歯磨きは十分間くらいかかるでしょう。
 池田 けっこう重労働ですね。(笑い)
 佐藤 そうです。慣れるまでは大変ですが、見違えるようにツルツルになります。
 豊福 せっかく磨いた歯を汚すのはもったいない。そう思うと、間食も控えめになり、ダイエットにもつながります。
 池田 歯の健康を守るために、今は、ずいぶん便利な道具も出ているようです。
 いずれにしても、自分の努力できれいにしたぶん、充実があり、喜びもある。「歯を大切にしよう」「自分の健康は自分で守ろう」という意識も高まりますね。
 森田 はい。また、こまかい手作業は、脳の発達や老化の防止にもなります。
 池田 すばらしいことですね。磨きすぎて悪いことはありますか。
 佐藤 歯ぐきなどを傷つける場合があります。とくに男性は力を入れすぎる傾向があります。歯ブラシの柄を、親指と人さし指の二本ではさんで磨くくらいが、ちょうどいいんです。
12  釈尊の時代にも″歯ブラシ″が
 池田 仏典にも、口の中をきれいにする効果が記されています。
 (1) 口臭がなくなる (2) 味覚がよくなる (3) 口の中の熱や痰をのぞく (4) 食欲が出る――などです。
 佐藤 釈尊の時代にも歯ブラシがあったのでしょうか。
 池田 「楊枝」と呼ばれるものがありました。これは今の「爪楊枝」とは違います。木の皮を切り取って、かみ、その汁で歯を磨いたといいます。かんでいるうちに皮の先が裂けてブラシのようになるのです。釈尊は、弟子たちがのどを突かないように、楊枝の長さまで定めていたようです。
 森田 ずいぶんとまかい点にまで注意していたのでね。
 池田 それだけ真剣に弟子の健康に配慮していたのです。リーダーには、とまやかな配慮が必要です。会合のさいも、集ってきた人が「疲れていないか」「おなかがすいてないか」など、参加者の状況を敏感に察知しなければならない。必要な場合には、皆が早く休めるようにしていただきたい。「自分」が基準ではなく、あくまで「会員の方々」が基準なのです。
13  「正しい磨き方」とは――歯磨き粉は少量でいい
 池田 歯ブラシは、どのくらいたったら交換すればいいのですか。
 森田 愛着があるのか、長い間、一本の歯ブラシを使っている人も、いるようですね。(笑い)
 佐藤 それで磨くと、かえって不衛生です(笑い)。一カ月に一本が目安です。毛先が広がってしまうと正しい歯磨きができないので、こまめにとりかえて清潔にしてください。歯間ブラシや糸楊枝(デンタルフロス)を補助器具として使うと、効果的です。
 池田 歯磨き粉は、どのくらいつければいいですか。口の中をアワだらけにしないと磨いた気がしないという人もいます。(笑い)
 佐藤 少量でかまいません。たくさんつければ爽快感はあるかもしれませんが、「磨いた」つもりで「磨けでない」ことが多いのです。
 豊福 最近は、いろいろな酵素が入ったものが売られていますね。
 佐藤 最近、種類も増えています。ですが歯磨き粉は、あくまでも補助的な手段なんです。「磨いて歯垢をかき落とす」ことが根本です。
14  歯一本で十回以上、ブラシを振動
 池田 それでは、「かき落とす」ためには(笑い)、どんな磨き方がいいのですか。
 佐藤 まず外側の歯は、毛先を歯の表面に対して直角に当てます。ほとんど毛先を動かさないようなつもりで、「左右に」小刻みに動かしてみてください。
 一本の歯につき十回から二十回くらいの振動が目安です。内側の歯は毛先を約四十五度に当てて、外側と同じように磨いてください。
 豊福 コツをつかむまでは、鏡を見ながら磨いたほうがいいかもしれませんね。歯ブラシの当たり方もわかりますから。
 佐藤 歯ブラシの毛には、「つま先(歯ブラシの最上列)」「わき(歯ブラシの左端縦一列)」「かかと(歯ブラシの最下列)」といった部分があります。それぞれを使い分けることが必要です。
 たとえば、「つま先」は奥歯の聞を磨くときに、「わき」は歯が重なって生えている部分などで縦にして使います。
 また前歯の内側は、「かかと」を当てて、歯ぐきとの境目から、歯の先に向かってすくい上げるようにしてください。
 豊福 いろいろな使い方があるのですね。ところで、虫歯や歯周病を放っておくと、心内膜炎という心臓の病気になることもあります。
 森田 また高血圧、狭心症、心筋梗塞、糖尿病などの人は、歯の治療に注意が必要です。必ず歯科医と相談してください。
15  法華経にも「歯が美しくなる」と
 池田 法華経には、「歯は垢即敢ならず、黄ならず疎かず、亦た欠落せず、差わず曲らず」(法華経五二二ページ)とあります。妙法の教えを聞いた人は、その功徳で歯も健康になると説いています。
 戸田先生は、この文は正法を広める功徳を示したものであると言われた。「肉体においても健康であって、かつ、立派にして器量よく、なるというのである。御本尊を信ずれば病気がなおるという文証がこの文である。また事実として純真なる信心をする者は、その人相がたいへんよくなっているのである」と。
 たしかに、そのとおりです。顔は、いわば自分の看板です。その焦点の一つが、歯であり、口元と言えるでしょう。美人の代表と言われる楊貴妃のことを、中国・唐代の大詩人である杜甫は、「明眸皓歯」と表現しました。「目が澄んでいて、歯が白い」という意味です。(前野直彬注解『唐詩選』上、岩波書店、参照)
 それくらい、歯はポイントだったのです。
 森田 欧米の雑誌でも、やはり美しい歯の人が表紙を飾っていますね。
 池田 日本人の歯への意識は、まだまだ、これからかもしれませんね。ともかく、健康は「自分でつくるもの」です。そして健康な歯を持つことは、心身ともに健康で、長寿であることにつながります。正しい歯磨きを続け、口元からさわやかなメロディーがあふれ、朗らかな笑顔がこぼれるような毎日でありたいものです。

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