Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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宇宙と人生  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

前後
1  池田 きょうは「宇宙」がテーマだったね。
 いいですね。太陽と語り、月と語り、星空と語りあうような「大きな大きな気持ち」で、みんなに生きてもらいたいのです、私は。
 聞くところによると、最近は、「天の川」さえ見たことがない人がいるそうだが、本当ですか?
 ―― はい。あのう、じつは、私もそうでした。東京にいては、見ることはできませんね。
 池田 ああ、今の東京では、夜空が明るすぎて見えないから。
 ―― 初めて「実物」を見た時に感激して、友だちに話したら、こう言うのです。「天の川って、七夕の日(七月七日)じゃなくても、見えるんだ!」。(笑い)
 池田 まさか、そこまで″地面しか見てない″とは(笑い)。そういう人たちに、宇宙のことを話すのは、大変だ。(笑い)
 よく田舎で「何もないところです」という人がいるが、とんでもない。美しい星空があり、自然がある。それが、どれほどすばらしいことか!
 ―― 「何もない」のは、むしろ都会のほうかもしれません。そこで、きょうの質問ですが、いちばん多かったのは「宇宙人はいるのだろうか?」という疑問でした。
 ある男子は「マンガとかでは、よく宇宙人が出てきますが、本当にいるのか興味があります。宇宙は広いから、地球以外にも、きっと生物がいると思うのですが」と言っていました。「人間のような知的な生物がいるのか、どんな暮らしをしているのか、とても知りたいです」という女子もいます。
2  「聖なる好奇心」
 池田 なるほど、おもしろいね。そうやって、何かを心から「知りたい!」と思うことが大事だ。
 そので気持ちが、科学の原動力だし、夢のある人生を生きる原動力です。
 たしか、アインシュタイン博士は「聖なる好奇心」(ウイリアムス・ヘルマンス『アインシュタイン、神を語る』雑賀紀彦訳、工作舎)と呼んでいた。
 宇宙人――むずかしく言うと「地球外の知的生命」だね。
 もちろん会ったことはないから(笑い)、推定するしかないわけだが、トインビー博士は私に、「人類とほぼ同じ種類の知的生物が存在することは、むしろ蓋然性(=確実性)のあることです」(『二十一世紀への対話』。本全集第三巻収録)と言われていた。
 モスクワ大学のログノフ博士(前総長、世界的物理学者)も「おそらく存在するでしょう」(『科学と宗教』本全集第七巻収録)と言われていた。
 最近は、UFO(未確認飛行物体)についても「まじめな研究対象にしよう」という科学者が増えているそうだ。変に、ばかにしたり、反対に、いいかげんな話をうのみにしたりするのではなくてね。
3  知的生命の住む星は″銀河系だけで一億個″
 すでに宇宙人は来ている?
 ―― なかには「宇宙人は、すでに地球に来たことがある」と考える人もいます。ピラミッドとか、(ペルーの)ナスカ平原の巨大な絵とか、古い高度な文明は宇宙人から教えてもらったんだというのです。
 池田 この前(二〇〇〇年十月六日)、ロシアの宇宙飛行士のセレブロフさんにお会いしたが、「人間は、サルから進化した」のではなくて、「異星人がやってきて、クローン技術みたいに、自分に似せた生き物をつくった」のではないかと言われていたよ。まあ、これは、大いに議論があるところだろうが。
 ある天文学者の計算では、私たちが住む銀河系だけでも、太陽のように「自分で光る星(恒星)が四千億個あるという。また、地球のような「知的生命が住める星」は、多ければ一億個あるという。
 ―― 一億個もあるんですか。
 池田 もちろん数字は計算によって変わってくる。数百万とする場合もあるし、少ない場合は、百個ともいう。いずれにしても、ほとんどの学者は、地球のような星は、宇宙のなかで「ごく、ありふれた星」だから、「宇宙人がいたほうが自然」と考えているようだ。
 仏法でも、「この宇宙のいたるところに知的生命がいる」と考えます。それぞれの国土で、仏法を修行し、自分の住む星をすばらしい場所にしようと努力していると説く。仏法は「全宇宙の法」だから。地球だけのことではないのです。
 ―― すごいですね。何千年も前から、そう考えていたというのは。
 池田 西洋では長い間、「地球が宇宙の中心」(天動説)と考えてきたからね。
 仏法では、たとえば、ある経典(仁王経)には、仏が法を弘めている範囲だけで「百億の日月」があると言っています。
 ―― 百億の太陽と月ですか!
4  法華経で説く無限大の宇宙
 池田 もちろん正確な数字ということではないが、大変なスケールで考えてきたことは間違いない。
 勤行で読む「法華経」の「寿量品」は、もっとすごいよ。大宇宙旅行のような話が出てくる。
 くわしいことは、いつか勉強してもらいたいが、まず「兆(億の一万倍)を一兆倍し、さらに一兆倍しと、十一回くらい掛け算を繰り返した数(一説では、5×「10の133乗」)の「銀河系」を考える。
 それらを全部、すりつぶして塵にする。ある人が、その塵をもって、東に向かって飛んでいく。今、言ったのと同じ莫大な数の星を通り過ぎたら、やっと一粒落とす。また同じ数の星々を通り過ぎたら、やっと一粒落とす。こうやって全部、塵を落とし終わるまで飛んでいく。
 ―― 何か、もう頭がくらくらしてきました。
 池田 まだ、終わらないんだ(笑い)。そうやって、塵を落としたところも、落とさないところも、通ってきた宇宙全部をひっくるめて、もう一回すりつぶして塵にする。
 ―― もう「無量」としか言いようがありません。
 池田 今度は、その一粒一粒を、一劫という「長い長い時間」――これは計算のしかたによっては、千六百万年ともいわれている。
 ―― 「五百塵点劫」ですね。
 池田 そんな長い長い時間よりも、もっともっと長い間、真の仏は全宇宙を舞台にして「生命の法」を弘め続けてきたのだと。これが「法華経の主張」なんです。
 ―― 「空間も無限」「時間も無限」と説くのでしょうか。
 池田 もちろん、仏法は、宇宙を論じるのが目的ではない。現実に悩んでいる人の「苦しみを救う」のが目的です。しかし、仏法が「無限の空間」「無限の時間」を前提にしているのは間違いないと思う。
5  大宇宙は生命に満ちている
 「宇」とは「空間」「宙」とは「時間」
 池田 ちなみに、宇宙の「宇」は無限の「空間」、「宙」は無限の「時間」を意味します。
 ―― そうしますと、宇宙人も当然いるということですね。
 池田 経典には「他の国土から地球に応援にやってきた菩薩」とか、たくさん説かれているからね。もちろん科学的証明は、まだできない。ただ、科学が進めば進むほど、仏法の説く宇宙観に近づいてきたことは事実です。
6  宇宙人と交信?
 池田 「宇宙人と交信しよう」という挑戦も盛んだね。
 ―― はい。やろうと思えば、私でもできます。
 池田 できるって、交信を?
 ―― 「セチ(SETI)」といって、電波で宇宙人探しをするのです。
 池田 ああ、たしかNASA(アメリカ航空宇宙局)が始めたんだね。それは、すごいね―。
 ―― もちろん、アメリカでやるのではなくて(笑い)、自分のコンピューターで参加するのですが。プエルトリコ島にある電波望遠鏡では、宇宙からやってくる大量の電波を記録しています。しかし、あまりにもデータ量が多すぎて、分析しきれないのです。
 それで、データの一部を、インターネットを使って、世界の家庭のパソコンに送り、ボランテイアで分析を手伝ってもらっているのです。(カリフォルニア大学バークレー校が開発した「セチ・アット・ホーム」というプログラム)
 これまで、世界で二百万人が取り組んできたそうです。(二〇〇〇年現在)
 池田 宇宙人の電波は見つかった?
 ―― 残念ながら、まだです。今も、参加者を募集しています。もしも自分のパソコンで発見したら、その人に「ノーベル賞」が出るという「うわさ」もあります!(笑い)
 池田 まあ、宇宙の時間から見たら、探索は「始めたばかり」だから。全然、あせることはない。
 それよりも、世界中のたくさんの人が、宇宙に向かって、広々と心を広げているという事実がすばらしい。
 インターネットは、たくさんの新しい可能性を開いてくれるようだね。
 ―― たしかに、宇宙のことを考えたら、小さな地球で、小さなことで、いがみ合ったり、いじめたり、全部、本当につまらないことに思えてきます。
 池田 それこそ、宇宙人に笑われてしまう。(笑い)
7  太陽は地球の100万倍の体積
 池田 ためしに、宇宙が、どれくらい大きいか、ちょっとだけ見てみよう。
 いちばん身近な「太陽」の大きさは地球の何倍ですか?
 ―― たしか、直径が地球の百倍以上あります。
 池田 そうだね。直径が百倍とすると、体積は、百かける百かける百で「百万倍」。もしも太陽を「サッカーボール」の大きさだとすると、地球は直径二ミリ。それこそ「塵」くらいの大きさになります。そして、そのサッカーボールまで、だいたい、二十五メートル離れていることになる。
 ―― つまり、こういうことでしょうか。学校の「二十五メートルのプール」の端と端に「サッカーボール大の太陽」と「ニミリの地球」が浮かんでいるところを想像すればいいと。
 池田 そのとおり。
 ―― ものすごく離れていますね!
 池田 近いほうだよ。星と星の間は、ものすごく離れている。
 ―― 宇宙は「すかすか」なんですね。
 池田 そう。しかし、いたるところ、生命に満ちているんだ。
 さて、太陽までは、光の速さで、八分二十秒ほどかかる。光の速さは?
 ―― 秒速が三十万キロメートルです。一秒間で「地球を七回り半」します。
 池田 そうだね。そんなに足の速い光が、太陽まで八分もかかる。「光が八分かかる」ということは、私たちが見ている太陽は、いつでも「八分前の太陽」だということです。それでも、宇宙では「ほんの庭先」にすぎない。
8  いちばん近い恒星まで何年かかる?
 池田 さっき、この銀河系で「自分で光っている星(恒星)は数千億個と言ったが、そのうち、肉眼で見えて、太陽系からいちばん近いのは、有名な「ケンタウルス座のα星」です。北半球では見えにくいんだが。
 「α星」までは、たしか四光年以上ある(四・四光年)。「光年」というのは、光が一年かかって進む距離だから、光の速さで四年以上かかるわけです。
 太陽を「サッカーボール」にして、東京の真ん中に置く。すると、この星は、どのへんになるだろう? 何と「α星」は、オーストラリアにあることになる。
 ―― もしも、そこに宇宙人がいたとしても、とても会いには行けませんね。
 (「一時間で地球を一周できるロケット」で行っても、約十二万年かかる)
 かりに電波で話せたとしても、こちらの「こんにちは」という声が届くのに四年以上かかるわけですね。その返事でまた四年。
 池田 それでも、宇宙ではまだ「お隣さん」です。
 このさいだから、もっと先まで考えてみよう。
 私たちの太陽系は、天の川銀河のなかにある。その天の川銀河は、アンドロメダ銀河や他の銀河といっしょに、「局所銀河群」という「銀河の集団」をつくっています。これが、ほかの「銀河の集団」といっしょに、「おとめ座超銀河団(局所超銀河団)」という、もっと大きなかたまりをつくっている。
 ―― 「超銀河団」ですか……。
 池田 そういう「超銀河団」が、いくつも集まって、この「宇宙」になっている。だから、もしも宇宙郵便局があって、だれかが手紙をくれるとすると、住所は、どうなるかな?
 ―― ええっと、おとめ座超銀河団「国」―局所銀河群「県」―天の川銀河「市(郡)―太陽系「町(村)でしょうか。
 池田 地球は、太陽から三番目の惑星だから、「三丁目」地球、日本「番地」。(笑い)
 ―― 地球は、小さな小さな「村」ですらないのですね。
 とすると、地上で戦争しているなんて、本当に「お隣どうしのけんか」ですね。
9  「宇宙からは国境なんか見えない」
 地球は、かけがえのない「共通の家」
 池田 宇宙の話はおもしろくて、きりがないんだが、私がいちばん言いたいことは、みなさんは「地球人」として「地球市民」として生きてほしいということです。
 私は、たくさんの宇宙飛行士に会ってきました。だれもが、宇宙から地球を見ると、その美しさに感動すると言っていた。「かけがえのない、ふるさと」だと実感するそうだ。「宇宙からは、人間が引いた国境なんか見えない」とも言われていた。
 そして、美しいと同時に、地球が人間によって、ものすごく汚染されているのが、宇宙から見ると、よくわかると言っていました。「本当に悲しい」と嘆いていた。
 だから、二十一世紀は、人類みんなが「同じ地球市民なんだ」という意識にならなければ大変です。みんなで、「共通の家」である地球を大事に守らなければならない。
10  「科学」と「詩」
 池田 そもそも、だれもが「宇宙市民」です。科学的に見ても、仏法的に見ても。
 今の宇宙論では、多くの人が、宇宙は百五十億年から二百億年前の大爆発でできたと考えている。
 ―― 「ビッグバン」説ですね。
 池田 だから、宇宙の全部が「もと」は、一つです。星も、人も、鳥も、花も、石も、雲も、いっさいが、同じ一つの爆発から生まれた「きょうだい」ということになる。
 ―― 詩的ですね!
 池田 科学と詩は、一致するのです。もちろん、「ビッグバン」説には異論もある。また、初めの爆発から、今もどんどん膨張しているが、そのうち、また縮まり始めるという人もいる。縮まって、「それで終わり」と考える人もいるし、また膨張を始めて「膨張と収縮を繰り返す」と考える人もいる。それから、こうやって膨張している宇宙自体が、もっと大きな宇宙の「泡」の一つのようなものかもしれないという人もいる。
 真実は将来、みんながさらに探究してほしい。深い哲学をもっていれば、ものを「見る目」が変わる。見る目が変われば、宇宙の「見え方」も変わるでしょう。
11  この地球、この今を、選んで生まれた
 地球に生まれたのは「偶然」ではない
 池田 今、確かなのは、この広大な宇宙の中で、みんなは、こうして地球を選んで、しかも、この「瞬間」ともいうべき今、いっしょに生まれてきたという事実です。
 二百億年に対して、人の寿命は、せいぜい百年。「一瞬」です。その一瞬を選んで、同じ地球に「生」を受けた。しかも、同じ「人間」として!
 心を静めて考えれば、「偶然」の一言ですませるには、あまりにも厳粛な事実です。そのことを思えば、絶対に、友だちをいじめるなんてことがあってはならない。また、自分のかけがえのない一生を、むだにしてはいけない。必ず何か使命があったから、この地球にやってきたのです。
 ―― 宇宙のどこからか、やってきた……。
12  体は「星のかけら」で構成!
 池田 そうです。生命は永遠です。宇宙のどこかから、この地球を選び、この今を選んで、やってきたのです。自分で選んだのです。それを忘れているだけだ。みんな「宇宙の旅人」なんです。
 人体は、「星の中で作られ、星が爆発して死ぬ時に宇宙に撒き散らされた元素」からできている。「われわれの体は、星のかけらでできている」のです。
 だれもが「星の子」です。「宇宙の王子」であり「宇宙の王女」です。みんなを生みだすために、宇宙が力を合わせて、生んだのです。
 宇宙人は、どこか遠くにいるのではない。みんな自身がそうなんです。
 有名なカール・セーガン博士。私もお会いしたが、博士は、お子さんが生まれる時、こう言われたそうだ。″遠いはるかな宇宙から、たった一人で、孤独な旅を続けてきた『宇宙の使者』を敬意をもって迎えてあげたい″と。
 ―― すばらしい言葉ですね。
 池田 だれもが、そうなんだよ。仏法も、それを教えています。
13  地球人として生きよう――星空を仰いで!!
 自分の尊さを「自覚」しよう!
 池田 インドの釈尊が生まれた時、生まれてすぐ「天上でも地上でも、私ほど尊い存在はない」と宣言したという伝説がある。これは、決して傲慢な言葉ではない。広げて言えば、だれもが「天上でも地上でも、これほど尊い存在はない」のです。すべての人が「宇宙の中で、かけがえのない存在」です。それを教えていると考えていい。
 では、釈尊と、ふつうの人の違いは何か。その「自分の尊さ」を「自覚」していたかどうかです。それだけの違いです。それを自覚し、実際にその力を引き出すための仏法の信仰です。
 だれもが、宇宙の無限の力を秘めた「小宇宙」です。だから、あの「太陽」も、自分の中にある。自分の中に、輝く「銀河」もある。星々をわたりゆく無数の光が、この胸の中にある。「内なる宇宙」も無限です。
 だから、私は言っておきたい。どんな悩みがあっても、君は負けるな! どんな障害があっても、夢をあきらめるな! 自分の中の「太陽」を輝かせて生きぬこう!
 そして、みんなの力で、二十一世紀の地球」を、どこかの宇宙人が見ても「ああすばらしいな!」「地球人のように生きたいな!」と言われるような星にしてほしい、と。

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