Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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性格を変えたい  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

前後
2  内気→考え深い  短気→スピーデイー
 短所が長所に
 池田 それはともかく、「あなたは、あなたらしく」生きることだ。「内気」がいけないのじゃない。「内気だから自分はダメなんだ」と思うことがいけないのです。
 どんな「短所」であっても、「長所」にならない短所はないのです。話をするのが苦手だったら、まず、だれよりも「聞き上手」になればいい。「あの人は、私のどんな話でも、イヤな顔ひとつしないで聞いてくれる」「あの人に話したら、何だか、すっきりする」と言われるような自分になればいい。
 ―― そうすれば、「内向的」という性格が生かせますね。
 池田 内気な人は、深く考える。長所と短所は裏表です。一体なんです。だから、自信をもって、自分らしく、自分のいいところを伸ばしていけばいいのです。
 ふだんは回数が少なくても、「いざという時」に、きちっと、言うべきことを言えれば、それでいいのです。だいたい、どうでもいいことばかり、ペラペラしゃべる人は、まわりが迷惑だよ。(笑い)
 どうしても、人に話すのが苦手なら、まず、御本尊に向かって、お題目を唱えながら、心にあることを全部、ぶつけてごらん。うれしいことも、悲しいことも、全部、御本尊様に話すのです。そこから始めればいいと思う。
 ともかく、「私は内気なんだ」と小さくなってしまうか、それとも「私は聞き上手なんだ」と自信をもって、人に接していくか。自信をもって、自分のよい面を伸ばしていけば、自然に欠点は隠れるものです。
 たとえば、「短気」は、何をやっても速くて「スピーデイー」だという長所にもなる。「おとなしい」性格は、「みんなの和をつくれる」長所にもなる。「感情の起伏が激しい」性格は、「情熱的」になる。「大ざっぱ」な性格は、よく出れば「大らか」になる。「神経質」な性格は、「こまやかな」心くばりにもなる。
 ―― 「キレやすい」という性質も、弱い人に向かったら「いじめ」になりますが、悪に向かえば「正義」になります。
3  誠実さという″心の炎″で光れ
 性格は「どう生きたか」が大事
 池田 そう。性格が人生を決めるのではない。性格を、どう生かすかで決まる。つまり、「どう生きたか」という中身で決まるのです。
 どんな性格であろうと、自分らしく、「誠実に生きていこう!」と決めてがんばっていけばいいのです。その誠実さという「心の炎」が、自分の性格を、よい方向へ、よい方向へと、光らせてくれるのです。
 ―― 鼓笛隊でがんばってきた中等部担当者の話です。ある時、みんなで「一年後の自分に手紙を書く」ことになりました。彼女は「大ざっぱだ」とか「三日坊主だ」とか、何となく自分の悪口を書いてみたのですが、何と便箋三枚にもなったそうです。(笑い)
 彼女は、それを見た時、「一年のうちに、これを全部、直したい」と思いました。題目を唱えて、がんばりました。先輩や友だちも励ましてくれました。
 一年すぎて、その手紙を読んだ時、自分に対する見方が変わっていました。「欠点だ」と思っていたものが、「それが私のいいところだ」と思えるようになっていたのです。「大ざっぱ」は「大胆」とも言えるし(笑い)、「三日坊主」は、「さっぱりしている」と。
 池田 そうだね。自信をもっていいんだよ。「桜梅桃李」(桜は桜、梅は梅、桃は桃、李は李)なんだから、みんな、そのままですばらしいのです! 絶対に、自分はダメだなんて思っちゃいけない。
 ―― これも、二年生の女子からの質問です。「友だちとケンカした時、『あなたは目立ちたがりやだから、大キライ』と言われました。目立つことは、そんなに悪いことでしょうか」というのです。それだけじゃなく、彼女は、友だちから「あなたは、自分の悪いところを認めないし、自慢話ばかりしてる」とも言われたようです。
 池田 友だちも、はっきり言ったものだね。(笑い)
 ―― あんまり、はっきり言われて、ちょっと「ムカついた」ようです。(笑い)
 池田 でも、その友だちに感謝するくらいの大きな心でいたほうがいい。
 みんな、「自分のことは自分がいちばん、よくわかっている」と思っている。しかし案外、「自分のことをいちばん知らないのは自分」ということもあるものです。
 今の若い人は臆病で、友だちとも「近づきすぎないよう、離れすぎないよう」うまく距離をとって、傷つかないように生きているという意見もある。だから、自分のことを、ずばりと言ってもらうチャンスがない。もちろん誤解の場合もあるだろうし、自分で、そのつもりがなくても「目立ってしまう」人もいるだろうね。
4  目立ちたいのは自信がないから
 池田 「目立ちたい」こと自体は、悪いことではないと思うが、そもそも、どうして、そんなに「目立ちたい」のだろう? 何か、心に「さびしさ」があるのだろうか。
 ―― はい。何と言うか、「みんなの気を引きたい」のだと思います。
 ある担当者は、授業中、先生をからかって、話を脱線させたり、平気で校則を破ったりしていたそうです。それは、どんどん成績が落ちている時期でした。テストの点も悪い。クラブも数カ月でやめた……自分に自信がないからこそ、逆に何とか目立って、みんなから注目されたいと思っていたのかもしれません。
 池田 「自信」がポイントだね。自信がないから、何かで人の優位に立とうとする。自信がないから、「人が自分をどう思っているか」が、気になる。自信がないから、やきもち焼きになるし、自分の悪いところを素直に認めることができない。
 自信がある人は、自分の悪いところを認めても、壊れないだけの、しっかりとした「自分」がある。しかし、自信のない人は、自分の非を認めてしまったら、「自分の全部が否定された」みたいに感じるのです。
 自分が、ぐらぐらしているから、「みんなの喝采」や「賞讃」という支えが必要になる。しかし、それでは、心の平和はないでしょう。いつも、みんなに注目されていないと不安だというのでは。
 「目立ちたい」という性質は、よく出れば、「積極性」とか「リーダーシップ」とかになると思う。しかし、かえって、みんなの反感を買ってしまうのでは、自分自身も幸せとは言えない。
5  目立ちたがりやの彼女が変わった
 ―― たいへん目立ちたがりやの女の子がいました。マニキュア、香水、ルーズソックスに短いスカート。すぐに男子に声をかける。人の恋愛にも口を出す(笑い)。成績は最悪。いつも、みんなの輪の中にいないと気がすまない。心は純粋なんですが、周囲からは「人騒がせな」子と思われていたようです。
 二年生のある日、事件が起きました。文房具を万引きし、補導されてしまったのです。警察から、親御さんといっしょに帰ってきた彼女は「どうして、こんなことをしてしまったんだろう」と落ちこみました。
 そのとき、生まれて初めて、「お題目を真剣に唱えよう」と思ったそうです。題目を唱えると、だんだん勇気がわいてきました。そして、「使命」について考え始めるようになったそうです。
 じつは彼女は、中学受験で志望校に落ちてから、勉強の意欲をなくしていたのです。勉強をおろそかにしてきたことを反省した彼女は、「自分の力を出せる高校、使命のある高校に行きたい」と思うようになりました。その決意を支えたのが中等部の仲間でした。
 池田 ご両親も、さぞかし心配されただろうね。
 ―― そうなんです。ご両親の対応も立派でした。
 もちろん、彼女をがっちり叱ったそうですが、変に事件を隠したりせず、「もう、わが家の子ではない」と突き放したりもしませんでした。彼女を信じ、「きっと反省し、自分で立ち上がってくれる」と見守り、待ってくださったそうです。
 その後、彼女は変わりました。学校で、まじめに勉強するようになったのです。
 ところが、そうなると今度は、今まで仲の良かった友だちが「無視」するようになったのです。
 彼女は、そのつらさにも耐えました。そして、中等部の仲間と励まし合いながら、志望校に合格したのです。
 池田 よかったね! よかった、よかった。きっと、そのとき、彼女は「目立とう」としなくても、自然と輝いていたんじゃないかな。
 ―― そうなんです。「自分は、やりきったんだ!」という充実感が、体中にあふれていたそうです。
6  「人の目」なんか小さなこと!
 池田 そうだね。「やりきった!」という″努力″が″自信″になる。そうやって、大地に足をつけた人は、人が認めてくれようがくれまいが、そんなことは「小さなこと」だとわかるのです。自分で自分を認めてあげれば、それでいいのです。
 そのためには、何かを、やりぬくことです。「苦手な人にも、あいさつする」でもいい。「毎日、決めたページ分は読書する」でもいい。「一日一回は、人に親切にする」でもいい。もちろん、勤行・唱題の目標でもいい。これが根本ですから。
 自分で決めたことを、一つ、やりきってごらん。それが自信になる。そういう人は、自然に輝いていくものです。
 ―― 目立とうとしなくても、自然に人から信頼されますね。
7  「心は、上手な絵描きのよう」
 池田 どんな性格であろうと、みんなは若いのだから、「もっともっとすばらしい自分」に向かって挑戦してもらいたい。
 仏法では、「心は、上手な絵描きのようなものだ」と教えています。自由自在に、理想的な「未来の自分」を、心の中に、デッサンし、肉づけをし、色をつけ、やがて「現実」のものにしていける。そういうすごい力が「心」にはあるのです。
 まして、みなさんには御本尊がある。「こうなりたい」というイメージを、しっかりと描き、抱きしめて、祈り、努力していけば、必ず、だんだんと、そういう自分に近づいていけるのです。

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