Nichiren・Ikeda
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絶対に死んではいけない
「希望対話」(池田大作全集第65巻)
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13 ″いじめる側に甘い″体質が
あの日、父母が教えてくれた
池田 いじめられている子に対して「負けるな」と呼びかけるのは大事です。しかし、そうやって、その子に要求するだけなら、あまりにも一方的だ。いじめている側にこそ、その何倍も呼びかけるべきでしょう。「すぐに、やめなさい!」と。
もちろん、いじめをさせないよう、悩み、心をくだいている親御さんも、先生も多い。ある青年は、こんな思い出があるそうだ。幼稚園のころ、道で障がい者を見た。なにげなく、まねをして足を中きずって歩いてみた。その瞬間、いっしょにいたお父さんに「体が吹っ飛ぶくらい、どつかれた」そうだ。
―― 偉いお父さんですね! そうやって、「してはいけないこと」を教えたのですね。
池田 また、ある女性は、小学生のとき、けんかした友だちに「○○ちゃんなんか、死んじゃえ!」と言ってしまった。それを知ったお母さんは真っ赤になって怒って、彼女の手を引いて、相手の家に行き、いっしょに土下座せんばかりに、あやまつたという。
彼女は「あの日の母の剣幕は、本当にこわかった」と言っています。
―― すごいお母さんですね。
池田 なかなかできないことです。
―― 今は、簡単に「死ね」とか言いますから。
池田 言われたほうが、どんな思いがするか。しかも、みんなにそう言われたときには。いわんや、今までは友だちと思っていた人から、冷たい言葉を投げつけられたら。
ともかく、「いじめという暴力に甘い」体質がだんにあるかぎり、だめだ。「うちの子は、いじめる側だから、安心」などという考え方を、根っこから変えなければ、変わりません。いじめは「いじめる側」の心を徹底的に破壊してしまうのです。それを教えていかねばならない。
みんな(中等部の担当者)がまとめてくれた「いじめ」の資料の中に、こんな中学生の声があった。このとおりだと思う。本当に正しい。これを、すべての人に伝えたい気持ちです。
「人をいじめるための悪口。それは自分も傷つけています。友だちの悪口を言うのはどこ? 君の口だよ……。悪口をいちばん近くで聞いてるのはどこ? 君の耳だよ……。じゃあいちばん傷ついてる人は? 君の大切な人だよ……。もう……いじめやめようよ」