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日蓮大聖人・池田大作

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束縛されたくない!  

「希望対話」(池田大作全集第65巻)

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10  「幸運だった! 苦労できたから」
 池田 この方は八十四歳で、今も現役です。こう言われている。
 「いまになって考えると、この五十年間、いろいろと苦労もあったけれども、僕はものすごい幸運だったなと思うんです。小学生のときに右腕を失った僕が今日あるのも、苦労をつくってくれるところの場所が僕に与えられたからだ」と。
 ″人生の勝利宣言″です。(文中の引用は『MOKU』二〇〇〇年五月号〈黙出版〉から)
 ―― どうすれば、この方のように「強く」なれるのでしょう。
 池田 「苦労をつくってくれるところの場所が僕に与えられたからだ」と言われているでしょう。
 今の自分自身のなすべきことに挑戦することです。今の課題から逃げてはいけない。その「挑戦」と「努力」のなかに、「強さ」は自然とつくられていく。
 「力」があれば「自由」になれるのです。ピアノもそう、書道もそう、スポーツもそうでしょう。
 自由自在に活躍するためには、「力」をつけなければならない。「強く」ならなければならない。そのためには、自分を不自由な立場に置いてでも、懸命に練習しなければならないときがある。苦労を避けて、自分のしたいことだけをやっても、力はつかない。
 ―― やるべきことから「逃げる」のは、そのときは自由のようで、結局、「不自由」になるのですね。
 池田 自由とは「翼」です。自分の目的に向かって、あなたの思いどおりに飛ぶのだが、飛びやすい「軌道」が、じつは、あるのです。
 自由に飛んでいるように見えるロケットにも、きちんとした軌道があるように。
 ―― たしかに「軌道」から外れると、ロケットは目的地に着きません。
 池田 自由に羽ばたいているようでも、鳥には鳥の軌道がある。太陽にも、月にも、地球にも、揺るがない運行の軌道がある。人間には、人間の軌道がある。
 途中には、いろいろな、いやなことや障害物がある。それらを乗り越えたり、時には上手に、よけて、迂回して、自分の軌道を進みなさい。
 今の諸君が歩むべき「軌道」とは何か。また、到達すべき「目的地」とは、何なのか。
 「目的地」は、幸福になることです。何があっても負けない心――″どんなつらいことがあっても楽しめる自分″″自由自在に、世界に貢献できる自分″を築くことです。
 「軌道」とは、そのために知力、体力、精神力を養うことです。
 ―― 中学生の立場で言えば、勉強やクラブに挑戦していくことですね。
 池田 そのとおりだ。それをやらずして、本当の自由はありません。
 人間にはみな、一つの「楽譜」が与えられています。その楽譜の曲名は「私の人生」という。その楽譜を目の前に置いて、さあ、どのように演奏するか。また自分で、どう、もっともすばらしい曲に変えていけるか。
 それは、あなた自身に、まかされているのです。そして、あなたの努力しだいで、人生の幸不幸が決まるのです。

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