Nichiren・Ikeda
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父と母からの贈りもの
「第三の人生を語る」(池田大作全集第61巻)
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5 〈読者のお便り〉
「第三の人生」を考えるということで、私は、今年八十になった両親を振り返ってみた。
昭和三十四年に入信して以来、それとそ信心一筋に生きぬいてきた両親である。
父親は、酒も飲まなければギャンブルもしない。私が知る父親の姿というのは、聖教新聞や御書を開いているか、弘教に走っているか、御本尊の前に座っている姿しか、記憶に浮かんでこない。遊びや道楽というものをせず、信心一筋の父親を、若いときの私は「なんとつまらない人生だろう」と、そう思っていた。
しかし、その考えが、大きな誤りであったことを、私は後に何度となく知らされることになった。
ある時期、私は人生の横道にそれてしまったことがあった。そのとき、母はもちろん父親も、心の中ではどんなにか泣きたい思いであったかと思う。しかし、私が父親の口から聞いた言葉は、たった一つであった。「お父さんは、お前のおかげで題目をあげられる……。
そのとき、私は言いようのないショックをうけた。なぜそのように考えられるのか、とても不思議であった。
今の私は、両親の背中を優しく見守りながら歩いている。
八十になる父親も、一つ下の母も、老いはまったく感じられない。それは、つねに戦っている者の精神力であると思う。創価学会という組織の中で、広布のために生きぬいてきた両親は、決して「大切にされる老人」のままで終わっていない。今も戦っている「第三の人生」を歩んでいるのである。(四十九歳)