Nichiren・Ikeda
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長寿の秘訣
「第三の人生を語る」(池田大作全集第61巻)
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2 九十八歳から学院で五年間も講義
松岡 そのお手本のような方に、会ってきました。先生が、エッセー集『母の詩』で紹介してくださっている、高橋ヨシさんという百三歳のおばあちゃんです。神奈川県藤沢市のお宅を訪ねた日が、たまたま百三歳の誕生日でした。お孫さんや近所の方から贈られた花にかこまれて元気いっぱいでした。
池田 よく知っています。九十八歳のときに、スタイリスト学院の特別講師に迎えられた方ですね。百二歳までの五年間、若い学生を相手に講義をし、好評だった。テレビやラジオをはじめ、講演会にも出演し、すばらしいスピーチや応答をされたとうかがい、喜んでいます。
佐々木 テレビの番組は、私も見た覚えがあります。司会者の女性が、一つ一つの言葉に心を打たれたと感激の涙を流していました。勇気、根気、努力、この三つが大事だと強調し、平和な二十一世紀をめざして頑張っていくと、はっきりした言葉で話されていました。
池田 うれしいことだね。草創期から頑張ってこられた方々が、健康で長生きをされ、幸せな「第三の人生」を送られていることが、私のなによりの喜びです。
松岡 高橋さんは、朝五時に起きて、まず勤行。そして、題目を一時間唱えるのが日課です。
「池田先生ご夫妻が、健康をたもちながら、長生きをされ、皆さんへの激励を続けてほしい。私も先生と一緒に、二十一世紀まで頑張ります」
「世のため人のために尽くしたい。人間に生まれたからには、人のためにならなければならない」と、祈っているとのことでした。
3 くよくよせず前向きに
池田 毎月の座談会にも出るのが楽しみで、毎回、和歌を一首書いて持っていかれるようですね。
松岡 五月は「五・三 迎えて嬉し百三歳 健康保ちて 師弟の道を」だったと聞きました。庭の草花の手入れをするときも、花に言葉をかけて、それが歌のようになっていく。
「物言わぬ 花に言葉を 交わしつつ 明日咲く花の つぼみ数える」
「聖教新聞」も、虫眼鏡を出して読んでおられる。
池田 偉いですね。こういうお母さん方が学会を支え、世の中を支えてこられたのです。
佐々木 創価学会に入会して一週間後に、横浜・三ツ沢のグラウンドで、戸田先生の原水爆禁止宣言を聞かれた。まさしく二十世紀を生きぬいてこられたわけで、日清戦争、日露戦争、第二次世界大戦の時の歌を一つ一つ歌いながら、「戦争はやっぱり、やっちゃいけない。働き盛りの、立派な、それこそ生命をもっている人が生命を捨てて、戦争なんか、いちばんいけないことだ」と、大きな、はっきりした声で言っておられました。
池田 還暦を超えてから、学会に入り、信仰を始められたのですね。
松岡 ええ。六十三歳のときです。「体が弱かった。とくに心臓が悪く、発作を起こし、よく倒れた。健康になりたかったからです。今あるのが不思議です」と喜んでおられました。
池田 更賜寿命ですね「いついつまでもご長寿で、私も心から祈ります」と、一本の杖を差し上げたことがあります。
佐々木 その杖を、宝物のように大切にされていました。
「毎朝、その杖を握にぎあって、先生と握手して、一日の出発をするんですよ」と言われていました。
池田 長寿の秘訣は、高橋さんの、次のような前向きの生き方にもあるんでしょうね。
「なにもくよくよすることはない。くよくよしてはダメだ。あのときはああだったとか、後ろを振り向いて考えたってダメ」
「前向きに、前向きに進むっていうことで、人間、長生きができる。これから先、生きていくのに、前
向きの姿勢でなきゃ。絶対にグチは言わない」
大切な心構えですね。ところで長寿の家系なのですか。
佐々木 高橋さんの父親は三十三歳で、母親は五十四歳で死去されたと言っておられましたから、必ずしも長寿の家系とはいえません。
やはり、心のもち方やライフ・スタイル、すなわち生活の仕方に、寿命はかなり関係してくるようです。
池田 トルコの著名な医学者であるドーラマジュ博士と対談したことがありますが、長寿の秘訣について、博士が「大切なのは″心の平和″です」と言われていた。
松岡 その時、博士が「池田先生は”心の平和”ということからみれば、千年以上は長生きされると思います」と言われていたのが印象に残っています。
池田 このウイット(機知)が、博士の長寿の秘訣でしょうね。(笑い)
4 喜び多き人生は「健康人生」
松岡 気候の変わり目には、病気になる方が多いといいます。そこで、年配者の健康のポイントについて考えていきたいのですが。
池田 大事なのは、「無理を重ねない」ことです。多くの病気の原因は、疲労です。長生きのためには、疲れをためないよう「よく休む」ことです。「栄養のバランスのとれた食事をする」「夜食は控える」など食生活上の注意も大切です。
また、昔から「一笑一若」「一怒一老」という。笑いは健康の源です。すべてを良いほうへと考え、動かしていけば、人生は朗らかです。
「喜び多き人生」とそ「健康人生」です。
佐々木 ボケの防止について、先生は、「聖教新聞」で連載された″健康てい談″(『健康の智慧――仏法の眼・医学の眼』聖教新聞社)の中で、専門家の方々とも語りあわれていますが……。
池田 脳の刺激には「手足を使う」ことや「人に会う」ことが、いいようです。
手は「第二の脳」といって、手紙を書くなど手先を使えば脳細胞が活性化する。
皆さん、朝晩の勤行の時に合掌しますが、この手を合わせる行為だけでも、手や指の筋肉が適度に緊張して、脳に良い刺激をあたえると言われています。
松岡 そう言えば、百三歳の高橋さんは、台所で料理を作るのが楽しみで、よく手を使っています。手のひらを見せてもらいましたが、つややかで、きれいな手でした。
佐々木 「歩く」こともボケ防止の基本です。
池田 そう。歌を歌うなど、「声を出す」ことや、「適度な運動」も予防には欠かせません。
あと、高齢者の方は、とくに環境の急激な変化や強いストレスなどで、体調が崩れることがあります。お年寄りが「ゆったり」と安心感をもってもらえるような周囲の環境をつくっていきたいですね。
佐々木 一般にボケやすいタイプとしては、
(1) 自己中心のガンコな人
(2) すぐ腹を立てる短気な人
(3) 友人の少ない人
(4) ユーモアの心のない人
(5) 物や金に執着して、人を信じられない人――などが指摘されています。
池田 心していかなければいけませんね。反対に、使命感、責任感をもって、目標に向かって努力している人は、ボケにくいと言われている。
池田 心していかなければいけませんね。反対に、使命感、責任感をもって努力している人は、ボケにくいと言われている。
佐々木 ドクター部(医師など医療関係にたずさわる創価学会の人材グループ)と白樺グループ(看護師の創価学会女子部の人材グループ)の代表との懇談のなかで、先生は、人生を健康に生きるための「四つのモットー」を提案されましたね。
池田 医学的には、食生活、運動、睡眠、ストレスの排除などが、健康には必要とされているようですが、「四つのモットー」には、みんな含まれています。
(1) 張りのある勤行
(2) 無理とムダのない生活
(3) 献身の行動
(4) 教養ある食生活
ともあれ、日夜、広布に頑張っておられる方々の、長寿と健康を、私はいつも祈っております。