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日蓮大聖人・池田大作

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はじめに  

「第三の人生を語る」(池田大作全集第61巻)

前後
2  社会の高齢化が進む現在、全国の百歳以上の高齢者は、厚生省発表の「長寿番付」によると、一万人を突破した(一九九八年九月)。じつに一万二千人に一人は百歳以上の方がいて、もはや高齢社会である。
 国連人口基金の一九九八年世界人口白書によると、先進諸国の高齢化について、六十五歳以上の高齢者の人口に占める割合が、現在の一三・五パーセントから、二〇五〇年には二四・七パーセントに高まると予測している。とくに出生率の低い日本、ドイツなどでは、今後三十年から三十五年の間に、高齢者が人口の四〇パーセント前後に達すると見込んでいる。十人に四人が、六十五歳以上となる。
 「聖教新聞」に連載した「『第三の人生』を語る――高齢社会を考える」は、そうした時代と社会を眼前にして、喫緊の課題をさまざまに論じたものである。
 高齢の方々が、人生の最終章を悠々と総仕上げするためには、二つの側面があるように思う。
 まず高齢者自身の課題。晩年になればなるほど、本人の生き方、信念が問われる時代に入ったといってよい。
 そして高齢者を支える社会の在りようであろう。
 原始仏典スッタニパータは言う。「あるいは母を、あるいは父を、衰えたるを、老いたるを、みずから生活豊かなるも、これらの人々を養わざる人あり。これほろびの発端なり」――。
 高齢社会の真の繁栄は、高齢者を尊ぶ気風の確立と、密接に関わってくるように思える。このへんも、意識して論じたつもりである。
3  とまれ、師の戸田城聖先生(創価学会第二代会長)は「人生は最期が大切だ。途中ではない。最期の最期が幸せで充実していたら、その人生は勝利だ。願わくは、夕日が荘厳に沈むような晩年でありたい」と、口癖のように言われていた。
 戦時に二年間の投獄で体を傷めたこともあって長寿でこそなかったが、その言葉どおり、広宣流布の基盤を固められ、不滅の人生の総仕上げをされた。
 先師である牧口常三郎先生(創価学会初代会長)は、還暦を前に創価学会を創立され、広布の源流をつくられた。獄中で逝去されたが、その従容とした最期は、殉教という気高き永遠の発展の魂を遺された。
 両師は無言のうちに、人生の価値ある完走を教えていよう。
 私はいつも、草創以来、苦楽をともに広宣流布へ戦ってくださった同志の無事安穏と御長寿を祈っている。名聞名利を求めず、ひたむきに活動をしてとられた方々のことを、どうして忘れ得よう。連載は、この思いからも始めた。
 また、「聖教新聞」の新聞編集局からの要望で、私の妻も登場した。初めてのことだが、広布即人生の激烈な半世紀をともに生きぬいてきた私どもの経験が、なんらかのお役に立てれば望外の喜びである。
  一九九八年十月二日 初の海外訪問より三十八周年の日  池田 大作

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