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日蓮大聖人・池田大作

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東京創価小学校、創価中学・高等学校合同… 勉学は[意欲」が大切

1992.11.14 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

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2  皆の「励まし」に感謝を
 親や学校の先生から叱られる場合もあると思う。それも全部、皆さんのためである。人生に勝ってもらいたいからである。
 そんな時は、「そうか、自分のために励ましてくれているんだな」「やる気がでるように、させてくれているんだな」と受けとめ、感謝できる皆さんであっていただきたい。
 すぐには成績が伸びなくても、怒られても、ともかく自分のために、最後まで、あきらめないで走りぬく。勉強しぬく――これを、学園生の伝統としていただきたい。(拍手)
 そのためにも、教職員の皆さまには、子どもたちへの温かな「励まし」をお願いしたい。たとえば病気の人に対しては、「絶対に、死んではいけない。元気になってください」という強い励ましが、回復への支えとなる場合がある。
 真剣な「励まし」の力は計り知れない。勉強も同じである。「励ましてあげる」ことである。勉強の大切さがわかるよう、少しずつでもがんばれるよう、温かく、心にとどく「励まし」をかさねていくことである。
 励まさないのは、「がんばっても、がんばらなくても、どちらでもよい」と突き放すのと同じになってしまう。それでは無慈悲である。病気の人に、治らなくてもよい、と言っているようなものである。周囲の方々の賢明な励ましが、どれほど大切かを知っていただきたい。
3  ブラジルにも創価教育の光
 本日は、ちょうど地球上、日本の反対側にあるブラジルから、はるばる多くのご来賓が、お越しくださった。オブリガード(ありがとう)!(拍手)
 医師、弁護士、ジャーナリスト、教育者、エンジニア、実業家、研究者等々、社会の各界でめざましい活躍をされている一流の方々である。しかも、いささかも偉ぶらない。気どらない。
 庶民とともに、庶民のために、人格を輝かせて人生を歩んでおられる。”民衆を向上させよう””「開拓の道」をつくっていこう”と。(拍手)
 今、このブラジルの天地に、牧口先生の「創価教育」の”光の風”が吹き薫っている。牧口先生の著作『創価教育学体系』のポルトガル語版も発刊された。(=1996末現在、英語版、ベトナム語版、フランス語版を含め世界4言語で出版)
 日本の学界、教育界の誉れではないだろうか。(拍手)
 また、サンパウロの州立の小中学校では、「創価教育学説」にもとづく教育がはじめられている。(=94年9月から、サンパウロ市内の名門校「カエタノ・デ・ヵンボス」スクールでまずモデル授業を実施して成果を確認、95年に正式導入した。96年末現在、正式導入した学校は六校へと広がっている)
 さらに、美しい環境都市クリチバ市では、牧口先生をたたえる「牧口常三郎公園」の建設計画が進められている(=96年6月に完成。これに先だち4月にはサンパウロ市近郊のイタベビ市に「牧口常二郎通り」の市道が開通した)。将来、ぜひ皆さんも訪問していただきたい。
 アマゾン川流域では、創価大学自然環境研究センターが、森林の再生のために尽力している。関係者からも、高い評価と信頼が寄せられている。(=ブラジルSGI、アマゾナス州環境科学技術局等との共同プロジェクト。危機が叫ばれる熱帯雨林の再生のために、植物の”種”の保存、植林をかさねている)
 ブラジルは、「人種デモクラシー(民主主義)」の国。さまざまな人種や民族が調和しあい、平等に生きる国として世界からたたえられている。
 そうした、すばらしいブラジルの基礎を築いた先人の一人に、奴隷解放の詩人カストロ・アルヴェス(1847年―71年)がいる。彼は、フランスの詩人ユゴーの影響を深く受けた「闘う青年詩人」であった。ユゴーについては、私もしばしば紹介してきた。
 若くして彼もまたユゴーのごとく、”人間の歴史は、「善」と「悪」との永遠の闘争である”と腹を決めた。そして、差別され虐げられてきた黒人たちの「自由」と「平等」のために、敢然と立ち上がったのである。彼は、青春の全情熱を燃やして、奴隷制の廃止を訴え続けた。迫害も激しかった。
 結核のため、二十四歳の若さで亡くなった。短い一生であったが、不滅の栄光は今も残っている。永遠に歴史に残るであろう。
4  「信念の人」は難を受け不滅に
 私は、昨年、「ブラジル文学アカデミー」で講演した。(=1993年2月、リオデジャネイロで。アジアではじめて同アカデミーの「在外会員」に就任。「在外会員」には、これまでレフ・トルストイ、エミール・ゾラ、ハーバート・スペンサー、アンドレ・マルローらが名を連ねている)
 私は、講演の結びに、この青春の詩人カストロ・アルヴェスの詩の一節を朗読した。隣に座っておられたアタイデ総裁も、にっこりと笑い、たいへんに喜んでくださった。
 彼の詩を、わが学園生に披露し、贈りたい。
 「新世界の子らよ! 高らかに叫ぼう/大砲の轟音を上回るほどに/大海原に向かい! 無限の大宇宙に向かって/進歩のために! 未来のために」
 (=アルヴェスは、この一節の前で、民衆を苦しめている奴隷制の廃上を主張。権力の迫害に抗して正義・自由・人権を叫ぼう、と訴えている)
 ”新世界の子らよ!”と――。
 「新しい世界」は、進歩なき「古い世界」の人間の集まりではない。陰鬱な「夜」ではない。すがすがしい「朝」である。うつむいた、希望なき社会ではない。赫々たる太陽を仰いで生きる、建設の社会である。その「新しい世界」に生きる若人ならば、高らかに叫ベ! 大砲よりも大きな声で―――と詩人は言う。内弁慶ではいけない。叫ぶべきときに正義を叫んでこそ「新世界」は来る。
 ”わが息子””わが娘”である学園生も、この詩のごとく、大きな大きな心で二十一世紀へ進んでいただきたい。(拍手)
5  「信念の生き方」と「人気取りの生き方」は、まったく違う。東京で言えば、山手線と中央線くらい、「路線」が違う。(笑い)
 こうすれば、どう見られるかな、どうなるかな――そういうことだけを考えて、人によく思われるように、うまく泳いでいく。それは楽なように見えて、あまりにも浅く、わびしい生き方である。状況が変われば、それにつれて、自分も翻弄されていく。何の不滅の価値も残さず、時代とともに、色あせていく人生である。
 「信念の人生」は、正義のためならば、何と言われようが、どんな迫害を受けようが、屈しない人生である。「信念に生きぬいた人」が最高の人格者である。不滅の価値、不滅の光を後世に残していける。いじめられても、ののしられても、貫くべき「人間の道」を貫いていく。そのぶんだけ、多くの人が、その「道」に続いてくる。そのぶんだけ、多くの人を救えるのである。
6  人権の母が選んだ”一枚の写真”
 ”世界の教科書にもっともよく登場する偉人の一人”――アメリカのローザ・パークス女史。私の大切な友人の一人である。”公民権運動の母”であり、人権闘争の偉大な先駆者であられる。
 黒人と白人を差別するバスに対して毅然と「ノー!」を叫び、歴史に残る、あの「バス・ボイコット運動」の波を起こされたことは、あまりにも有名である。女史は八十一歳の今なお、人権の闘争を続けておられる。私どもも、そうありたい。
 女史から、先日、一冊の本が届いた。タイトルは『Talking Pictures(写真は語る)』(Carole Kismaric, Marvin Heiferman; Chronicle Books.)。各界で活躍する著名人が”自分の人生にもっとも影響をあたえた写真”を一枚ずつ選び、それぞれ文章を寄せている。その中の一人にパークス女史もおられる。
 昨年一月、アメリカ創価大学ではじめて女史とお会いした折、女史は、その本の依頼を受けていることを語っておられた。そして長く残りゆくであろうこの本に「ぜひ、池田(SGI)会長との写真を載せたい」とおっしゃられた。一流の方は、言ったことはかならず実行する。贈っていただいた本をめくっていくと、私と一緒に撮った写真が大きく掲載されている。あわせて、語らいの感想がつづられていた。本日の記念に、その一部をありのまま皆さんに紹介させていただきたい。
7  女史は冒頭、こう書いておられる。
 「この写真は、未来について語っています。わが人生において、これ以上、重要な瞬間を考えることはできません。
 これは一九九三年、私が初めて池田大作氏と個人的にお会いした時の写真です。この写真は、二つの異なった文化圏から来た、異なる意見、独自の人格をもつ人間同士が、世界平和という目的にむかって、ともに行動できるのだということを思い起こさせてくれるのです」
 (=さらに、女史は「人権についての池田博士の関心は、今世紀の多くの人々の先端をゆくものです」と記している)
 「私たち(=女史と創立者)は、お互いの文化の相違を尊重しています。文化の相違は存在してよいし、かならず存在するものです。それにもかかわらず、私たちはともに進めるのです。
 私たちの会見は、他の人々のモデルとなるでしょう。だからこそ、この最初の会見の写真は、とても大切なのです。この写真は、今つくられつつある歴史そのものだからです」
8  平和の戦いをまず自分自身から
 女史は、こう結ばれている。
 「世界平和にむかっての活動は、自分自身からはじめるものです。池田博士との写真は、人権にとって重要なものです」
 「この写真は、世界平和のための新たな一歩なのです」と。(拍手)
 平和への戦いは、自分自身からはじめる――これが、「人権の母」のメッセージである。私も同じ信念である。
 また女史は、温かい真心こもる手紙を本に添えてくださった。一字一句、すべて自筆で。愛する娘であり、息子である学園生の皆さんに、そのまま伝えさせていただきたい。(拍手)
 「高い地位にある日本の政治家たちが、池田先生と創価学会に対して、盛んに迫害を続けていると、うかがいました。迫害を受けるのがどんな気持ちか、私にはよくわかります。
 残念ながら、人類の歴史を振り返ると、つねに、数多くの称賛すべき善意の人々が、その業績にもかかわらず、誤って裁かれ、誤解されてきました。彼らはまた、しばしば、まったくの不当な仕打ちと大きな苦難に耐えなければなりませんでした。
 マーチン・ルーサー・キング博士(=公民権運動の指導者、ノーベル平和賞受賞)が、そうした一人でした。そして、池田先生も、キング博士と同じように耐えてこられました。
 私は確信しております。未来の歴史が、先生を称賛することを。先生が真の精神の指導者であると認めることを」(大拍手)
 パークス女史は、創価教育に大きな期待と信頼を寄せてくださっている。二年前、はじめてアメリカ創価大学を訪間され、皆さんのお姉さんである創価女子短大生と懇談してくださった。
 その折も、「創価の皆さんの美しい心に深く感銘しました。お会いできて本当にうれしい」と喜んでおられた。
 今年五月には、わざわざ日本においでくださり、創価大学で講演もしてくださった。女史は日本を発つまぎわまで、また飛行機の中で、さらにアメリカに帰られてからも、「創大生の皆さんによろしく伝えてください」と、何度も何度も語っておられたという。
 私は、こうした”世界の良識”の方々とともに、学園生の皆さんがこれから続く「正義の道」「友情の道」「希望の道」をつくっている。これからも、今までの何十倍、何百倍の「道」をつくるであろう。
 私は何があろうと、皆さんを守りに守っていく決心である。一緒にがんばりましょう!きょうは、ご苦労さま!

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