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関西創価中学・高等学校新入生記念撮影会… 「負けない」人には一切が滋養

1992.95.21 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

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2  「苦労した人」が深い喜びを知る
 挑戦も苦労も向上もなく、わがままに、欲望のままに生きているなら、動物と同じである。本当の「人間」とはいえない。世の中には、そういう人も多い。それは、自分に負けた人である。『宮本武蔵』『三国志』等の代表作で知られる作家の吉川英治氏が、ある裕福な青年に語った。
 「どの青年もおしなべて情熱との戦いを繰りかえし乍ら成長して行くのに、君は不幸だ。早くから美しいものを見過ぎ、美味しいものを食べ過ぎていると云う事はこんな不幸はない。喜びを喜びとして感じる感受性が薄れて行くと云う事は青年として気の毒な事だ」(岡副昭吾「唯一の舞踊劇<あづち・わらんべ>」、『吉川英治全集48』月報29所収、講談社)と。
 ほしいものがすぐ手に入るのが幸福ではない。悩みがないのが幸福なのではない。甘やかされては、卑しく、心の貧しい、わがままな人間になってしまう。たとえ今は苦しくとも、「希望」を見つめ、苦労の坂を一歩一歩、上っていく。少しずつ、自分の力で自分の夢を実現していく。
 その人こそ、本当の「深い喜び」を知る人である。また、ここに、人間としての美しい人生がある。
 さらに、両親や、周囲にも希望をあたえながら生きていける人は、本当に偉い人である。
 皆さんは、「人間として」偉い人になっていただきたい。そのためにも、どんなことがあっても、今は、勉強しぬくことである。努力し続けて、卒業することである。成績がどうあれ、「創価学園を卒業した」という事実が、「勝利」の証明書である。その人は、全員が栄光の人である。
 勉強は自分のためである。十代、二十代に、真剣に学んだぶんだけ、自分を高められる。三十代以降になると、頭にいれるにも、たいへんな努力がいる。若いうちである。今こそ、勉強である。
 この関西の「適塾」に学んだ福沢諭吉は、寝床では眠らず、床の間の段差を枕がわりに休息をとったといわれる。それほど徹底した学びの気風のなかから、一流の人材が輩出された。勉学への真剣さにおいては、創価学園の伝統も同じである。
 体をこわしてはいけないが、自分で決めた「到達点」へ、何があっても粘り強く、向上していく――これが「創価精神」であり「学園精神」である。
 私にとって、学園生の成長を見ることほど、うれしいことはない。
 今や、世界中、どこへ行っても、諸君の先輩が活躍している。こんなところにまでと驚くほどである。創立者として、私は本当にうれしい。
 時代は「教育」が焦点である。世界も「教育」によって結ばれる。未来も「教育」によって開く以外にない。私はさらに、皆さんのために道を開いていく。
 お父さん、お母さんを大切に、なるべく心配をかけないように、時には大きく包容してあげながら(笑い)、将来は、世界旅行に連れていってあげられるような成長をお願いしたい。
 ご家族の人に、よろしく伝えてください。きょうは、遠いところ、ありがとう。ご苦労さま。

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