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日蓮大聖人・池田大作

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創価中学・高等学校第20回卒業式、関西… 君よ! 青春の獅子たれ

1990.3.16 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

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5  友情が人生を美しく飾る
 ところで、女子生徒の皆さんもいらっしゃるので、カナダの美しい自然を舞台とした『赤毛のアン』の物語について、少々、お話ししたい。これは、孤児であった赤毛のアンが朗らかに、また、たくましく成長していくドラマである。
 アンはおしゃべりで、想像力旺盛で、失敗ばかりかさねる。しかし、決して落ちこみはしない。
 大学入学を前に、アンを育ててくれた養父が急死。アンは進学を断念せざるをえなくなる。
 悲しみのなかにあって、アンは励ますように、養母にこう語りかける。
 「自分の未来はまっすぐにのびた道のように思えたのよ。いつもさきまで、ずっと見とおせる気がしたの。ところがいま曲り角にきたのよ。曲り角をまがった先に何があるのかは、わからないの。でも、きっと一番よいものにちがいないと思うの」(モンゴメリ『赤毛のアン』村岡花子訳、新潮文庫)
 これが、物語を貫く主人公アンの考え方であり、人生観である。ゆえに、アンはどんなに不幸な運命に出あおうと、決して嘆かない、悲しまない、負けはしなかった。
 ”曲がり角をまがれば、きっとすばらしい景色がまた広がるにちがいない”と考え、明るく、伸び伸びと生きていった。そうした生き方ができること自体が幸福である。何かあれば、すぐ嘆き、悲しみ、落ちこんでしまう。それは、決して獅子の子の生き方ではないし、不幸な人生である。
 また、アンは”友情は人生を美しくする”と、いつも友人を大切にした。人生でいちばん美しく薫っていくものは友情である。私も世界に多くの友人をもっているが、友情にこそ、もっとも深い、信頼が結ばれているものである。そして、人生を美しく飾ってくれる。
 こうしてアンは、教師となり、妻となり、母となって幸福な生活を送っていった。
 私は、アンの生き方をとおして、「君たちよ楽観主義で生きぬけ。長い人生を、悲観主義でいたずらに悲しんだり、苦しんだりしてはならない」と申し上げたい。
 楽観主義は、いいかげんな、安易な考え方をいうのではない。強く、たくましい生き方である。
 どのような事態に直面しても、”あっ、きっとこのようによくなっていくにちがいない””これは、このような意味だから、かならず道を開いていくことができるものだ”と、人生の苦悩を悠々と楽しく見おろしながら、つねに、よい方向へ、明るい方向へと、とらえていくことである。楽観主義は、境涯を大きく開いてくれるのである。
 これから、新しき世紀、新しき世界の舞台にむかいゆく諸君である。どうか、何よりも健康であっていただきたい。あらゆる工夫、努力をしながら健康で、長寿の人生であってほしい。また、お父さんお母さんをはじめ諸君とつながった人々を、世界旅行にでも連れていってあげられるような力をもち、幸福な生涯を築いていっていただきたい。諸君のことは、毎日祈っているが、本日も、どうかご多幸であれ、と心から祈り、記念のスピーチとしたい。

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