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日蓮大聖人・池田大作

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関西創価小学・中学・高等学校合同第8回… 読書は「内なる宇宙」への旅

1989.10.10 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

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4  ”読む”ことは心の大地耕す
 わかりやすくするために、別のたとえで申し上げたい。こんな昔話がある。
 ――父の遺言で「あの荒れ地の中に宝がある」と、息子たちが聞いた。怠け者の息子たちだったが、”宝”がほしいばかりに、毎日、一生懸命、荒れ地を掘った。人間は”宝もの”に弱いらしい。なかなか宝は出ない。しかし、まじめな父の言うことである。どこかにあるはずだ。
 こうして、一年たった。いつのまにか荒れ地は立派に耕されていた。ある人が、それを見て、「こんなに見事に耕された土地なんて、ほかにはない。どんな作物でもできるだろう。すごい財産だ」とほめた。
 息子たちは、はじめて悟った。父親は、自分たちに「労働」という”宝”を教え、土地を耕させるために、財宝の話をしたのだ、と。父の話はうそではなかった。探していた宝は、まさに”土の中”にあったのだ。父の心がわかった息子たちは、感謝しつつ、以来、いつまでも仲よく、栄えた――という物語である。
 この話からは、さまざまな教訓が引きだせると思う。読書について言えば、”読む”ことも「心を耕すクワ」と言える。じつは、本そのものの中に、知恵や幸福があるわけではない。本来、それらは全部、自分の中にある。
 しかし、読書というクワで、自分の心、頭脳、生命を耕してこそ、それらは芽を出しはじめる。
 「文化」すなわち「カルチャー(culture)」の語は、「耕す」すなわち「カルチベイト(cultivate)」からきている。自分を耕し、自分を豊かに変えていく。そこに「文化」の基本がある。
 ともあれ、あらゆる賢人が読書を勧めている。人生の”実りの秋”に、大きな大きな精神の果実をつけるために、今こそ、あらゆる良書に”挑戦また挑戦”していただきたい。(拍手)
 そして、いちだんと成長した姿となって、ご両親も喜び、自分自身も日々、喜びをもって生きていける人生であってくださいと念願し、祝福のスピーチとしたい。

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