Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

創価中学・高等学校第22回栄光祭 深き伝統こそ”魂”の遺産

1989.7.16 教育指針 創価学園(2)(池田大作全集第57巻)

前後
8  強き心、優しき心の人に
 ここで、何点か諸君にお願いしておきたい。
 その一つは、どうか、お父さん、お母さんを大切にしていただきたいということである。
 それは両親のためであることはもちろんであるが、しかし、親の心というものはもっと深い。親が子どもの「親孝行」を喜ぶのは、決して自分のためではない。親は、子どもが孝行してくれようとも、またそうでなくとも、子どもを思う心には変わりはないものである。
 ただ、わが子が「親孝行」のできる子どもであれば、将来も心配はない。そういう温かい心根があれば、いつになっても、何をやっても、どこへ行っても、立派な人間性をもって進んでいけるであろう。また、どんな苦難があろうとも、その強く優しい心が、一生の幸せを築きゆく原動力となっていくだろう、と親は考えて喜ぶのである。
 どうか、そうした”親の心”のわかる諸君であっていただきたい。親に心配をかけないこと自体が、立派な親孝行である。その人はすでに立派な「大人」、立派な「人間」であるといえる。そして、これが創価学園の人間教育の精神であることを申し上げておきたい。
 もう一点は、現在、多くの学校が不登校(登校拒否)や校内暴力の問題に悩んでいる。教育の最大の課題ともなっている。幸いにもわが創価学園ではこれまで、人間教育のすばらしい伝統を築いてくることができた。暴力を振るうことなど絶対にあってはならない。「暴力」は「人間失格」の行為である。どうかわが学園では、これからも、良き先輩、後輩として、さらにうるわしい友人関係、人間関係の絆を強めていっていただきたい。
 また、不登校については、私もこれまで、教育現場でこの問題に取り組んでこられた方々の体験をうかがい、意見を交換しながら、私なりに掘りさげてきた。そこにはさまざまな事情があり、原因がある。ささいなことから「学校に行きづらい」と思うようになる場合もある。また、何らかの理由で少々、学校を休んだ時に、教師やクラスメートから責められると、気弱になっている心に圧迫を感じて、ますます登校するのが嫌になる場合もあるようだ。
 諸君の周囲にはあまりそのような例はないかもしれないが、友人が何らかの理由で学校を休み、ふたたび登校してきた時には、どうか心温かく迎えてあげていただきたい。人は言葉ひとつで勇気づけられもし、また心を傷つけられることもある。どうかそうした”思いやり”の心を忘れない諸君であっていただきたい。
 最後に、諸君のいちだんの努力と成長と健康、また諸君のご両親のご多幸とご長寿をお祈り申し上げ、わが創価学園の偉大なる発展を願って祝福のスピーチとしたい。

1
8