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創価学園1 小学校

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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37  関西創価小学校 第五回卒業式〈昭和63年3月20日〉
 強い心で自分らしく
 晴れやかな第五期生の卒業式、まことにおめでとうございます。祝福に駆けつけてくれた関西創価中学・高校のお兄さん、お姉さん方もありがとう。また、東京校第七期生の卒業式、おめでとうございます。
 ご父母の皆さま、本当におめでとうございました。そして、ご苦労さまでした。さらに、教職員の先生方、本当にご苦労さまでした。厚く御礼申し上げます。
 また昨日、関西小で開幕した「わたしたちの平和展」の大成功、まことにうれしく思います。けさの一般紙でも報道されましたが、私も大変、感動いたしました。
 ともかく創立者として私は、東京校も関西校も、この学園に学ぶ皆さんたちは、皆わが子と思って大切にしております。私の生命であり、希望そのものでもある。その愛する息子、娘のために、これからも全魂をそそいでいく決心であります。
 さて、瞳を輝かせ、きょうこの学舎を巣立ちゆく皆さんに、一言はなむけの言葉を贈りたい。それは「強い心の人に育ってほしい」ということであります。
 ただいま、皆さんが合唱した「太平洋にかける虹」のなかにも、「勇気の道を進もうよ」とありました。強い勇気の人であってこそ、本当の「学びの道」もあれば、「平和の道」もある。これから皆さんの行く手には、春の日差しのように暖かい、順調な日々ばかりが続くわけでは決してない。むしろ多くの悩みにぶつかりながら、歯をくいしばって耐えねばならない「冬」のようなときが続くことも多くある。これが、現実である。しかしどんなにつらいことも、長い人生からみれば、かならず自分のためになり、成長へのバネとなっていくものです。この一点を知った人は強い。この一点を忘れた人は、弱々しい人生を歩むことになってしまう。
 皆さんは、未来の指導者となる人です。その意味で、どんな悩みがあろうとも、悠々と乗り越えていける強い「信念」と、強い「勇気」をもってほしい。私も、この強い心で進んできました。
 いまから百二十年ほど前、アメリカに生まれたヘンリー・フォードという人がおります。この人は、さまざまな評価はありますが、世界一の自動車会社を設立した有名な研究家であり、実業家であります。彼が速くて性能のよい自動車をつくろうと決意したのは、ちょうど皆さんと同じ十二歳のころであった。(以下、村岡花子「努力の偉人」、『小学生偉人全集7』所収、あかね書房、参照)
 働き者の優しいお母さんが、重病にかかってしまった。親思いのヘンリー少年は、無我夢中で、十一キロも離れた町へ医師を呼びに走る。「お母さんが大変だ」と。しかし、当時は乗り物といっても、村には馬しかない時代であった。ヘンリー少年は、馬にムチ打って、必死で町に飛んでいった。しかし医師を連れてもどったときには、すでに優しい、大好きなお母さんは亡くなっていた。ヘンリーは、母のなきがらにすがつて、泣きながら叫んだ。
 「汽車のようにはやくて、ウマのようにどこでもはしれるのりものがあったら!」(回前)
 たった一足の差で母を救えなかったことが、彼には、くやしくてたまりませんでした。この悲しい体験は、少年ヘンリーの心に深く刻み込まれたのでした。
 しかし彼は、いつまでも涙にくれているような弱い少年ではなかった。このときの経験から、彼は、自分が夢に描いた乗り物をつくることを固く決意する。学校を卒業すると、彼は、蒸気機関車をつくる会社の見習工になった。そして仕事に打ち込みながら、そのかたわら一畳脇鏡ψ勉強にも励んだ。やがて、ガソリン・エンジンの研究を重ねた彼は、多くの困難を乗り越え、ついに三十二歳のときに、ガソリンで動く自動車を完成させたのであります。
 少年時代、青年時代の経験や、さまざまな労苦と悲しみは、いわば自分の限りない可能性を引き出すチャンスである。大切なことは、何があっても前向きに成長していこうという心です。その「強い心」をもっているかいないかで、皆さんの一生が大きく決まっていくからです。
 これからの中学校での三年間は、多くの青春の悩みに、ゆれ動く時代だと思います。しかし、決してあせる必要はない。また他人と自分を比べて、嘆いたり、うらやんだりする必要も、絶対にありません。どこまでも自分らしく、伸び伸びと、一日一日を精いっぱい生きていけばよいのです。それが一番正しく、尊い、また、人生の勝利への道であります。大いに「勉学」に励んでください。勉学をやりきった人でなければ、存分に活躍することはできない。また「スポーツ」で、丈夫な体をつくってください。どんなに優秀でも、体が弱くては将来、後悔することになる。さらに、外国語に勇んで挑戦し、友だちも世界中にたくさんつくっていただきたい。
 そして将来、全員が一人残らず、それぞれの道で、「勝利」と「栄光」の人に育ってほしいのです。いまは、その一切の「基礎」をつくるための時代であります。どうか二十年後、三十年後、「さすがに創価小学校の卒業生はすごい。たいしたものだ」といわれる一人一人になってください。私は創立者として、皆さんの成長する姿を、最大の喜びとし、懸命に祈りながら、じっと見守ってまいります。
 最後に、「お父さん、お母さんを、心から大切にし、幸せにしてあげられる人に」と申し上げ、私のあいさつといたします。きょうは、本当におめでとう。

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