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創価学園1 中学校・高等学校[昭和55年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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1  創価中学・高等学校第十三回入学式(メッセージ)〈昭和55年4月9日〉
 生涯にわたる友情を
 爛漫たる桜のもと、希望にあふれてのご入学を、心より祝福申し上げるものであります。
 お父さま、お母さま方も、さぞかしお喜びのことと存じます。本当におめでとうございます。
 また、学園の先生方には、これまでにもまして、新入生をあたたかく見守りご指導くださるよう、どうか、くれぐれもよろしくお願いいたします。
 本日は、諸君の限りなき前途を祝福しつつ、ひとこと述べさせていただきます。
 まず第一に「生涯にわたる友情を育てていこう」ということでぁります。友を愛し、また友から愛されるという真実の友情は、人生のかけがえのない宝であります。
 中国の言葉に「朋有り遠方より来たる、亦楽しからずや」とあります。遠く離れた土地に暮らしている友人が久しぶりに訪ねてくれる。そのときの喜びは、友達づきあいのなかでも格別の楽しみがあります。この「朋」という字は、現在は、広く友人一般を意味するものとして使われておりますが、もともとは「学問の仲間」という意味であります。このように学校生活で育まれた友情、青年時代に培われた友情というものは、生涯にわたって人生の支えとなる深いものであります。よく、つきあうにたるよい友達がいないという人がおります。しかし、人を愛し、人を思いやる心は、相手によって生まれてくるのではなく、まず、自分の心の中に築き上げるものであるということを知っていただきたい。
 アメリカの哲学者エマーソンは「友を得る唯一の方法は、みずから人の友となるにある」といっております。自分がよき友人として信頼され、親しまれるようになれば、友人もしぜんにできてくるものであります。そのためにも「人の長所に学ぼう」という姿勢が大事でありましょう。人はだれでも、自分にないよい点をもっているものであります。人の長所をみていけば、おのずとその人が好きになり、また、そう心がける自分自身の長所が人によって見いだされ、友情が始まっていくのであります。
 どうか諸君は、この学園時代に、どんなことがあっても、互いを思いやることができる、あたたかくも強靭な友情関係を築いていっていただきたいと、念願するものであります。
 第二には「読書によって豊かな人間性をつくろう」ということであります。
 長い人生行路には、うららかな陽光をあびた春のときもある。と同時に、厳しい寒さと闘わねばならぬ冬のときもあります。
 苦労や困難に直面したとき、現実から逃避するような弱い自分であってはならない。むしろそこで自己を鍛えていける人こそが、人生の真実の勝利をつかむことができると、私は信ずるのであります。
 その重要なカギとして、私は諸君に「読書」に励み、豊かな人間性を築けと申し上げたい。読書は青年時代の特権といってよい。若いときに読んだ本は、はつらつたる精神の血となり肉となり、やがて人生の骨格さえ形成する。古今の世界的文学をはじめ、伝記・歴史の書物は、諸君の眼前に、人間の生き方についての豊かな示唆を与えてくれるものであります。
 とりわけ、生涯にわたって、繰り返し読み続けていける座右の一書をもつことができた人は、大変に幸せな人といえましょう。読書と思索は、青年の知性を鍛え上げ、人生観、世界観を確立し、青春の嵐を乗りきるための貴重な「精神の糧」となるでありましょう。読書という栄養分を吸収して、諸君の伸びゆく知性の芽は、やがて、烈風に耐える大樹へと成長するのであります。
 ゆえに私は、毎日、少しずつでもよい、読書の習慣をつけていただきたいと切願しております。
 何事も習慣にまでなれば、第二の天性となり、それは、広々とした開かれた心をつくっていくのであります。
 最後に、武蔵野のすばらしい環境を舞台に、自然に親しみ、スポーツに汗を流し、頑健なる身体をつくって、心身ともに闊達な学園生活を送られんことを祈り、私のメッセージとさせていただきます。
2  創価女子中学・高等学校 第八回入学式(メッセージ)〈昭和55年4月10日〉
 希望の微笑を忘れぬ乙女たれ
 春風薫る晴れやかな本日、創価女子学園の間をくぐられた新入生の皆さん、本当におめでとう。
 また、ご父母の皆さま方に心よりお喜びを申し上げます。
 私は、残念ながら本日は出席できませんが、皆さんの希望に輝く清らかな瞳を思い浮かべながら、近いうちにお会いできる日を楽しみにしております。
 創価女子学園も今年で八回目の入学式を迎えることになります。この間、皆さん方の先輩は、「良識・健康・希望」の三つのモットーを掲げて、仲よく勉学に励み、見事な女子学園の伝統を築いてこられました。蛍乃池や二期庭園など、学園の樹木や庭の一つ一つに、先輩の真心がこめられているのです。
 どうか、皆さんは、四季の繊りなす豊かな環境のなかで、二年生、三年生のお姉さん方と大いに交流し、よき伝統を受け継いで立派に成長していってください。
 「友人は第二の自己である」という有名な言葉があります。また「友人を見れば、その人のことがわかる」ともいわれております。
 よき友人をもつことが、どんなに大切なことかを示している言葉です。友人をつくり、友人と心から交わっていくなかに、自分自身が磨かれ光り輝いていくことでしょう。
 どうか、この尊い青春の三年間、美しい自然の交野の地を舞台にして、生涯、崩れない友情の思い出を、皆さん方の胸中にしっかりと刻んでいただきたいと思うのです。
 皆さん方の新しい人生の出発にあたり、幸多かれと心より祈りつつ、また「いかなるときにも希望の微笑を忘れぬ乙女たれ」と念願しつつ、私のメッセージといたします。
 お元気で――。
3  創価中学・高等学校 第十三回栄光祭〈昭和55年7月12日〉
 男らしく獅子の道を
 きょうは久しぶりに学園で栄光祭を拝見して、わが愛する創価学園は絶対に健在なり、ということを明確に知ることができました。私にとって、これほど心強いことはありません。
 真の人生の道は何かと申しますと、私は師弟の道であると思います。先輩よりも後輩が、より以上に偉大に成長する。これを師弟の道というのです。
 また、「後生畏るべし」という言葉があります。後輩には、先輩を越えて、偉大なる成長と開拓と進歩がある。そうであるがゆえに、おそろしいのです。
 さきほど白くて大きい一扇子を一本いただきました。それに、私は「獅子の子は 獅子と育てや栄光祭」と書きました。
 私の恩師は戸田先生であり、先生は獅子でありました。
 私は十九歳で、戸田先生を師と仰ぎました。そして、どんなことがあっても微動だにしない自分をつくろう、何があっても、自分の恩師から教わったこの道を、この信条を、微動だもさせないような人間を自分自身でつくろうと努力しました。戸田先生も、そのように私を鍛えてくださったのです。
 獅子というものは、大やニワトリなどにほえられて、びくびくするようなものではありません。真実の学園生は、皆、獅子のように育ってもらいたいのです。今はしっかりと勉強してもらいたいのです。勉強第一です。
 お父さん、お母さんに対しても、お金のこととか、考え方の違いなどで、何かと不満があるかもしれませんが、あたたかい気持ちで包容してあげてもらいたいのです。そして、「じっとこらえて今に見ろ」という負けじ魂で頑張ってください。これが、人間にとって一番大切な姿勢である、と私は思います。すなわち、民衆のなかに自分を置いて考え、民衆のためにこの人生を生きようということを、忘れないでほしいのです。
 これからは、学園出身者が活躍する時代です。もう外交官も出始めましたし、弁護士も出始めました。やがて政治家も出ることでしょう。新聞にもその活躍ぶりが載ることでしょう。ともかく創価学園から第一期生が世に出てから時が経過し、一つの土台ができあがったと思っております。
 今、諸君はさまざまな悩み、悲しみ、それから悔いもあるかもしれませんが、「負けじ魂ここにあり」という気持ちで、後ろを振り返らずに、前を向いて歩いてください。そして嵐のほうに向かっていくのです。怒濤のほうへ向かいなさい。決してひるんではいけません。苦しみも、楽しみも、私と一緒に味わっていけるような諸君であっていただきたいのです。
 諸君の先輩も、あらゆる分野で大きな活躍をする時代に入っています。このように、現在の学園生と先輩を軸に、大きな潮流ができあがってくることを思えば、私は一面から見るとセミの抜け殻みたいなものです。その潮流を見極めることが、今の私の役割です。
 ともかく、先輩は後輩を大事にし、後輩は先輩を尊敬し、獅子の道をつくりぬいていってください。私も、生涯、獅子として生きぬきます。何があっても、私のことは心配しないでください。

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