Nichiren・Ikeda

Search & Study

日蓮大聖人・池田大作

検索 & 研究 ver.9

創価学園1 中学校・高等学校[昭和48年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

前後
14  創価高等学校 第四回卒業式(メッセージ)〈昭和49年3月16日〉
 心の財産豊かな人に
 開校記念日でもある本日、この学園を巣立ちゆく二百八十七人の皆さん、三年あるいは六年間の研鑽が立派に実って晴れのご卒業、本当におめでとう。人格涵養、勉学、体育、その他、多彩な努力が見事に成果を上げたことに対し、諸君にも、ご両親にも、心からお祝い申し上げるしだいであります。
 さらに諸君の卒業につきましては、先生方はもちろんのこと、本校の先輩や、後輩である全学園生もまた、同じ心をもって祝福してくれていることを、決して忘れないでください。
 また入学からこの卒業までのあいだ、大勢の生徒さん方を精魂こめて慈しみ、教え、責任感にあふれて導いてこられた先生方に対しましては、ご父母の皆さまとともに、心からありがとうございましたと深く感謝申し上げるものであります。どうかこの斬新なる教育がますます発展し、本校がその限りない未来性を輝かしてまいりますよう、心からお祈り申し上げるしだいであります。
 諸君は創価中学の第一期生でありましたから、とくに私としても、一人一人よく知っておりますし、いろいろな行事を通じてさまざまな思い出をもっております。これは諸君と同じ思い出を共有しているわけでありまして、お互いに人間としての貴重な財産ではなかろうかと思うしだいであります。願わくは、諸君は本校を巣立ってからもますます人間として建設に励み、心の財産豊かな人に育ってください。
 進学するにせよ、就職するにせよ、諸君はきょうから新しい人生を踏み出していくわけであります。どうあろうと、過去は過去、未来は未来、このけじめはハッキリつけなければなりません。むしろ諸君の生涯は、これから始まるのだといってよい。人間としての真価が問われるのは、これから二十年がかりの長いあいだだと思う。一人残らず革命児の面目がそこにあることを自覚していこうではありませんか。
 進学希望といっても、今年できる人も来年になる人もいるでしょう。そこで私は申し上げておきたい。進学がかなっても、喜びにおばれたり慢心を起こしたりはすべきでない、と。そして、来年になる人は、一度ぐらいの苦難でみずから立てた志をぐらつかせるな、と。大人の事業にも受験にも通ずることでありますが、人というものは勝ったときに負ける原因をつくる例もあるし、負けたときに勝つ原因をつくる例もある。しっかり者であるかないかは、そうしてふるいにかけられていくのであります。いずれにせよ、堂々とたくましくまいりましょう。
 以上の心得を申し上げたうえで、遥かアメリカの天地から全員の成功をお祈りいたします。
 大学へ入ったならば、人文科学であれ、自然科学であれ、どうか、それらの諸学の基礎をしっかり会得してください。彼の哲人デカルトは常識とボン・サンス(良識)とを厳格に立て分けて、ボン・サンスをこのうえなく大切にいたしました。なぜならば、ボン・サンスのほうこそ一切の常識の母体だからであります。同様に諸学の成果は、その基礎より生まれいずるものであるがゆえに、基礎を会得せよと、申し上げるのであります。英知の原点と文明の基礎を悟った人は、賢者に育つでありましょう。
 卒業生諸君、どうか健やかに、そして心たくましく、仲良く存分に各自の運命を切り拓いていってください。人間として光り輝いていってください。諸君が光れば母校も光り、それにつれて諸君もまた、この母校の思い出を、ますますよきものとしていだくでありましょう。
 諸君の福運をシンポライズ(象徴)するかのように、そこ武蔵野の木々もまた新芽をふくらませておりましょう。それを心に描きつつ、諸君の幸多かれと祈りまして、お祝いといたします。(アメリカ・ニューオーリンズより)

1
14