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日蓮大聖人・池田大作

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創価学園1 中学校・高等学校[昭和46年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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8  次に申し上げたいことは、いかなる時代でも先駆者のように、より一歩進んだ革命をしようという場合には、弾圧を受け、誹謗され、批判され、苦しめられていることが多いということです。それに対して、事無かれ主義で、うまく世の中を動いていれば、別に食べるに困らないし、批判もされない。人生の生き方からすれば一番、利口かもしれません。ただ「千里の道も一歩より」というように、一歩でも進まなければ前進しません。座っていただけでは、千里の道の一歩にもならないのです。
 やはり、自分自身との戦いです。社会のため、自分自身のために、自分自身を少しでも向上させていく、この前進だけは忘れてはなりません。少しでもいい、一秒ずつ動いていけば、やがて一時間に達するのです。動かなければ、何時間たっても進みません。これは根本的道理であり、簡単でありながらもむずかしい原理です。それを、われわれが観念的に思いがちなために、空転してしまう場合があるのです。
 どんな人生を生きるのも自由ですが、ただ自分の生きがいとして、社会のために何らかの貢献をしようという、人間としての進歩だけは忘れてはならない。人によっては順調に華々しくいく人もあるだろうし、地道に大器晩成でいく人もいるでしょう。自分はあくまでもこの道でよい、自分はこの人生観で生きていくというものがあれば、何ら恥じることはありません。有名人よりも、何千倍、何万倍、偉い人はたくさんおります。否、有名人や金持ちのなかにも卑劣な人はいるということを、私はいっておきます。
 そういう意味で、私のお願いしたいことは、不幸な人、悩める人など、庶民の味方になっていただきたいということです。このことを忘れないでほしいのです。これは、絶対に正しい生き方です。批判され、誹謗されている現象の面だけを見るのではなくして、本質を見て、正義の思考と指針をもった指導者になっていただきたい。
 車が動けば埃がたち、風が吹けば波が起きる。飛行機が飛べば音がでるし、船が動けば波が起きます。これと同じように、何らかの社会の変革、または制度の改革を行おうとする場合や、大きい思想や信念をもって行動しようとすれば、そこにはかならず批判が起こるのは、当然の原理です。一般のマスコミは、現象だけしか見ていないものです。すぐにこれは悪いとか、グメだなどと即断即決されて、歴史というものはつくられがちです。そういうものに流されず、本質を見ぬいていける人間になっていただきたい。
 そのためには基準が問題です。何が基準かといえば、やはり人間が原点です。人間革命から出発して、人間革命に終わる以外に、真実の社会観、世界観、政治観、人生観というものは、透徹して見られない。人間革命は自分との戦いですから、自分に負けないでいただきたい。また、たとえ負けかかっても、自分自身への光鞣をということを忘れないで、みずからを燃焼させていただきたいのです。
 最後に、どんなに知性があっても、優秀な頭脳の持ち主でも、そのなかに福運がなければ、人のため、社会のために貢献できない場合があります。空転したり、ニヒリズムに陥ったりしてしまうことがあるのです。
 そこで、人間としてどのように大成していくか、これを生涯の課題として、お互いに励まし合い、仲良く頑張っていただきたいことを心から念じて、私のあいさつといたします。

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