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日蓮大聖人・池田大作

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創価学園1 中学校・高等学校[昭和45年度]

教育指針 創価学園(1)(池田大作全集第56巻)

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4  創価中学・高等学校第一回卒業式(メッセージ)〈昭和46年3月15日〉
 第一期生の卒業を祝う
 厳しい冬が明け、生あるものすべてが新しい生命の躍動を開始する三月、武蔵野に春風薫る三月十五日――この希望の月に創価学園第一期生として学窓を巣立ちゆく諸君に対し、私は心から「おめでとう」と申し上げるものです。一人一人の手を握り、一肩をたたいて祝福したい気持ちでいっぱいであります。
 三年間、学び、鍛え、親しんだ学園、今、諸君は万感の思いでありましょう。幾多の思い出が走馬灯のようにめぐり、かつまた決意と自覚を胸中深くいだいておられるものと信じます。諸君に望みたいことは、この二年間、折にふれて話をしてまいりましたように、人間らしく、自分らしく生きてほしいということです。これだけが、私の祈りともいうべき願いです。決して背伸びする必要はない。外面や体面だけを考えて自分を飾る必要もありません。そうした虚構の人生だけは歩んでほしくないのです。
 真実の人生とは何か。それは、自分らしく、個性豊かに進む人生でありましょう。また、人生においてもっとも尊いものは何か。だれが何といおうと、自分の信ずる道を、胸を張って堂々と貫いていくことに尽きるでありましょう。そのうえに立って、社会のため、人のために少しでも貢献できる人生であるならば、私はこれ以上うれしいことはない。
 諸君の好きな学園寮歌(現校歌)に「何のため」という歌詞があります。私も大好きな歌です。「何のため」とは、いわば人生の根本姿勢に対する問いかけの言葉にほかならないと思います。もし、惰性に流されたり、勇気を失ったりするときがあれば、この「何のため」という言葉を思い起こし、ふたたびはつらつと、さっそうと進んでいただきたいのです。
 人生、そして社会は、決してなまやさしいものではありません。嵐もあれば、闇もあります。学園という内海から、いよいよ大海原に船出する諸君の前途には、幾多の困難が待ち受けているかもしれない。だが諸君は、それを避けたり逃げたりしてはなりません。力いっぱい、真っ向からぶつかっていくのです。真剣と誠実に裏づけされた努力があるならば、かならず活路は開かれることを忘れてはならない。苦なくして生命の根底からの楽はない。苦闘なくして人間としての本当の勝利はないし、自己の成長もありません。すべてが人生の教師であると思い、自分自身を磨いていってください。
 諸君も十分承知しているとは思いますが、学校で学んだことが教育のすべてではありません。アメリカの思想家エマーソンは「小学校、中学校、大学で教えられることは教育ではない。教育の手段である」といっておりますが、諸君が受けた教育の真価は、諸君の人生に臨む姿勢で決まるということです。三年間の学園生活は、その基礎を築いた時代であったと思います。これからその土台の上に、どう大成するかは諸君自身の課題です。
 私は、諸君の見事な成長を信じております。諸君の成長を至上の楽しみとしています。二十一世紀の命運は、ひとえに諸君の双肩にかかっていることはまちがいないからです。不信と断絶を超えるもの――それは深い哲理に基づく、人間性の絆しかないことも明瞭であります。どうか、創価学園第一期生の自覚を生涯忘れることなく、大樹と育ち、栄光に満ちた人生の大道を歩んでください。
 最後に、諸君が人々のため、社会のために存分に活躍していけるよう、健康であることを祈り、私の祝福の言葉といたします。

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