Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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(四)  

小説 青春編「アレクサンドロの決断」他(池田大作全集第50巻)

前後
5  八重子の心の底で、何かが光った。それは、みるみるうちに輝きを増し、やがて夜明けのまぶしい太陽のように、心のすみずみを照らしだした。そのとたん、今まで味わったことのないさわやかな力と喜びの渦が、八重子の全身にみなぎった。
 そうだ! 絶対に、負けてはいけないんだ!
 ここでくじけてしまったら、お父さんやお母さんを、もっと悲しませることになる。みんなのためにも、生き抜くんだ!
 そのことに気づいたとき、八重子の目から、涙がどっとあふれた。
 ――どんなことにも負けない強い心。
 この言葉が、八重子の胸のなかに、何度も何度もこだました。
 人生には、つらいこともある。苦しいこともある。挫折することもあれば、絶望感に襲われるときもある。しかし、それらはすべて、自分の人生をつくりあげる材料なのだ。それを不幸と感じて人生の敗北者になるか、幸福へのバネとして生き抜くか――それは、ひとえに「どんなことにも負けない強い心」にかかっている!
 三年前、爆風と業火を浴びた路上の木々の梢には、はや緑の葉がゆたかに生い茂っている。西の空には、美しい夕焼けがいっぱいに広がっていた。燃えあがるような夕日の輝きが、先生と八重子と弟の広志を包んだ。

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