日蓮大聖人御書|池田大作著書|御書検索|スピーチ検索

1 　　
　平和の天使　文化の走者
　おお温かなる息を呼吸する
　鼓笛の同志ともよ
　君らこそ　この乱世に咲いた
　消えざる一輪の華はなだ
　　
　一本のメジャーの指揮に
　横に　縦に　円まるく変形する
　集散整然たる優雅な美
　こころと肉体の漲る緊張が
　創造しゆく自在の天の舞
　　
　ああ混沌の憔悴の時代に
　尊き生命と生命とで結ばれた　熱発ねつはつの環リング
　寒風の修練の道程みちより
　青春の輝く智慧と
　巧まざる芸術の凱歌をあげる
　　
　イデオロギーの堅氷を融かしながら
　鎖とざされた国境の扉の開幕に先駆ける
　無名の　庶民の家庭の娘たち
　君らこそ　無冠の外交使節だ
　偽りなき　まことの平和の天使だ
　　
　政治技術も知らない
　外交戦略も知らない
　民衆生命の次元に交流し
　友好の戦列を拡大する君たちは
　無言にして奥深く　平和哲学を流布しゆく
　　
　銃剣もない　弾薬もない
　ただ素朴な鼓ドラムと笛ファイフで
　霊妙な宇宙の本然律を奏でる
　人びとは胸奥の共鳴を禁じえないであろう
　世界も平和の動機を発見するにちがいない

2 　ああ軽快な　ドレミの歌
　詩情清らかな　荒城の月
　そして　歓びのシンフォニー
　それは　精神の砂漠を潤す
　楽響のオアシスの到来――
　　
　飛朔する地平はるかに
　世界連帯の拠点を遠望する
　小さき天使の瞳に　光る涙を
　僕は生涯　忘れない
　その燦きらめく真珠の音に喝采を送りたい
　　
　戦乱の炎火をくぐり
　文明の騒音を越えて
　天地人類に新たなる真理を宣言しながら
　一つ　また一つ
　ここに　生命の灯ともしびが点じられていく
　　
　その灯と灯とが重なり合い
　暗黒と醜悪の末世の地肌に
　縦横に　綾なしながら
　やがて未来の総体を照らす
　灼熱の光源となるにちがいない
　　(1971.8.18)