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日蓮大聖人・池田大作

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昭和三十三年(二月)  

「若き日の日記・下」(池田大作全集第37巻)

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2  二月二日(日) 雪後雨
 朝、熱あり。風邪か?
 午前九時、先生と共に、御開扉。万思、祈念す。
 本山に雨ふりはじむ‥‥温暖になる。
 午後一時四十分──本山をあとに。品川駅で、皆と別れ、自宅へ。
 久しぶりに、家族と夕食を。妻も子らも愉しそう。妻の父、来宅。元気。長寿を祈る。
 皆して、朗々と勤行・唱題。
 子らに『童話集』を読んであげる。うまく読めず。
3  二月三日(月) 薄曇
 朝より微熱あり。
 先生、熱海にて、ご静養。種々、電話あり。
 夜、六時三十分、「御義口伝」の講義。助教授会。「観音品」「陀羅尼品」等である。甚深の法門。
 終わって、本部広聞にて、男女合同の部隊長会。
  ① O君の死の報告と生命問題
  ② 三月の総登山について
  ③ 人事の問題、等々
 終了後、青年部の首脳に天ぷらそばをご馳走する。十年、苦難の坂を登って来た勇士。″この訓練に生きぬいた人材の未来は、偉大な人生の栄冠が待つと信ず″と。
 帰宅、十一時過ぎ。和服の妻の姿やよし。
4  二月四日(火) 快晴
 朝、熱ありて、起床できず。一日中、静養。風邪、悪化の模様。近所の医者、来る。三十歳前後の医者で、まだ開院まもないとのこと。
 父、T氏、Z氏、見舞いに来てくれる。
 休みながら応対。お汁粉、美味。
 ひとり考える。
  ① 大阪裁判の決着について
  ② 学会の第三代、第四代会長について
  ③ 続『人間革命』の整理について
  ④ 学会本部の建設について
  ⑤ 自宅の生活設計について       以上
 遅くまで、妻にレコードをかけてもらう。三橋美智也をはじめ‥‥。
 遅く、病める先生より「大作の病気の方はどうだ」と、奥様を通じて電話あり。申し訳なし。
5  二月七日(金) 雪後雨
 東京──雪。寒い。
 東京駅──十二時三十分発の特急にて、関西指導。東海道‥‥一直線に、雨、雨。
 熱っぽい身体で、無理しての旅。御書を開くも、頭に泌みこまず。ぼんやりと、窓外を眺めつつの、一人旅に終始する。
 大胆な、太い神経が勝つ乱世か、繊細な暖かい神経が、真の人間性か、青年は迷うなり。
 強盛なる信心、純粋なる信仰、ということを思惟する。「革命」「不惜身命」‥‥常識、英知についても考えてみる。
 「順縁広布」「化儀の広布」についても、重々、方法論とビジョンを、思索する要あり。
 大阪に、多数の暖かき友と語りつつ、一泊。
6  二月八日(土) 曇
 大阪より、姫路へ急行。
 ①指導会 ②班長会 ③地区部長会
 初指導なれば、全魂を尽くす。「皆、″自信に満ちた″と語っていた」と。嬉しきことよ。
 姫路城(白鷺城)を見学。
 「源平の昔、安徳帝とともに逃れゆく姫達の路なり」と。美しく、哀れ多き白鷺城。その威容、戦陣にあらずして、詩情の姿と思えるなり。天正の秀吉、慶長の輝政、元和の本多、寛永の松平、寛延の酒井忠恭‥‥つわものどもの夢のあと。主なき時代の恐ろしき推移。
 姫路に一泊。遅くまで眠れず。去来するもの、胸に多し。
7  二月九日(日) 快晴
 朝、八時二十七分発(姫路駅)の列車にて、大阪に戻る。
 S氏はじめ、幹部と、関西本部にて食事をしながら雑談。
 先生の病状を心配しながら。
 一時、本部にて「末法相応抄」講義。むずかしい。
 夕刻、S宅にて、青年部幹部会。真剣な質問多し。関西は、ますます伸長の本質あり。
 本部前の暗闇で、一青年部員が、二、三人の者と喧嘩。「小さなことで尊い生命を、傷つけては絶対にいけない」と、注意。
 青年に、一冊の本を贈る。
 多数の友と、大御本尊に、勤行。
8  二月十日(月) 曇後にわか雨
 朝、九時二十三分──東京着。
 寒い、灰色の東京。妻、一人だけ、迎えに来ている。寒そうに。
 明日は、先生の、満五十八歳の誕生日。Nに、大幹部招待してくださる。私に、青年部を代表して、挨拶を‥‥とのこと。
 先生なき本部に、一日在。
 理事長、理事、青年部首脳と、種々打ち合わせ、雑談。原稿執筆等。
 春遠からじ。
9  二月十一日(火) 曇
 朝、九時、先生宅へ伺候。お元気のお顔を見、安心する。五十八歳のお誕生日である。
 赤飯に、お汁粉を、先生とど一緒に頂戴する。一生の思い出であり、名誉である。経済のこと、株のこと、政治のこと、および、新時代へのあり方等についてお話をうけたまわる。
 夕刻、五時三十分より、Nにて、先生の全快祝いに出席。大幹部、数十名。
 先生は「一高寮歌」「白虎隊」の歌がお好きであられる。お身体のおやつれ方が心配でならなかった。しかし、歌を皆に歌わせ、厳然たる指導に、心嬉し。一同、心新たになったことであろう。よかった。嬉しい。
 特に、仏法哲理の「源遠ければ、流れ長し」の御金言を引かれ、「幹部の自覚が根本である。一般会員の責任ではない。幹部の信心、成長で全ての組織の発展が決定されるのだ」との、厳しい指導が胸に残る。
10  二月十二日(水) 曇後晴
 朝、先生のお宅へ、昨夜のお礼に参上。
 先生、二階の床の上で、喜んでくださる。
  ① 中部の次期部隊長の件
  ② 人材の鑑別法
  ③ 唯物史観を勉強しておくこと
  ④ 労働組合の動きを知悉しておくこと。
 大要、以上の指導あり。
 先生のお顔色すぐれず。しかし、毅然たる姿勢に、力溢れる言語。
 寒。春、いまだ来たらず。梅一輪、二輪。
 夕刻より、御書研究会。真剣な求道者の姿に、胸打たる。この後輩達、必ず先輩達を、見事に、追い抜くことであろう。「後生畏るべし」とは、師の口ぐせの言。
 帰宅、十時過ぎ。
 「教機時国抄」を拝読。
 四に国とは仏教は必ず国に依って之を弘むべし国には寒国・熱国・貧困・富国・中国・辺国・大国・小国・一向偸盗国・一向殺生国・一向不孝国等之有り、云云。
 妻、甘酒をご馳走してくれる。桃の花咲く、弥生を楽しみつつ。
11  二月十三日(木) 晴一時曇
 部隊旗、返還授与式。豊島公会堂。
 O君の急逝により、W君へ。理事長等出席。七時より。
 夜遅く、先生宅へ、報告に参上。
  ① 学会青年部の未来性への指示
  ② 学会幹部の指導原理
  ③ 仏法と社会への指向
  ④ 学会の究極の使命      以上
 帰宅、十一時五十分、思うこと多し。妻より「顔色が悪いです」と注意あり。熱、少々あるようだ。
 先生の指導を、遅くまでメモ。
 風呂、湯が漏って、家中入ることができず。
12  二月十九日(水) 曇後晴
 昼、暖。夜、寒。
 午前中、先生宅へ。
  ① 少々、元気になったようだ
  ② 十年間、苦難の道を歩みゆけ
  ③ 君の本部入りは天の時だ
  ④ 理事室に、弥々、新風を入れる
  ⑤ 生活と経済について
 以上の、ご注意、指示、指導をたまわる。
 決意、強し。覚倍、堅し。
 帰路、寒風厳し。
 今日も、熱あり、三十八度三分。胸苦し。
13  二月二十二日(土) 快晴
 十二時発にて、大幹部と登山。
 暖冬、春の如し。
 了性坊、寂日坊の落慶式。先生もお元気にご出席。無理をなさっておられる。少しお休みになっていただきたいことを、胸の中で思う。
 「大幹部に、この一年で、十年間のことを指導し、指示する」と、厳然たり。
 「阿諛諂佞の輩は全部切る」と。しかり。かつ「組織を乱しゆく者、信心利用の者も、また同じ」と。また、しかなり。
 終わって、大講堂引き渡し等、種々の準備。
14  二月二十四日(月) 雨
 熱とれず。疲れてならぬ。
 夜、六時三十分より──本部にて輸送会議。十一時過ぎまで。H君をはじめ、青年部は、実によくやった。頭がさがる。必ずや大御本尊様の称賛あることを。幾十年の先に、この人たちの因果の実証、疑いなし。
  ① 本日で大講堂落慶式の準備完了
  ② 明日、パス会社、鉄道関係に書類を回すこと
  ③ 役員人事も決定す
 これで、自分もほっとする。先生も安心してくださるであろう。
 帰宅、一時少々過ぎ。風邑に入る。
 飲めぬウイスキーを少々口にして休むことにする。時計、二時少々前。充実した、使命感に、誇り高し。

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