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日蓮大聖人・池田大作

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昭和三十二年(五月)  

「若き日の日記・下」(池田大作全集第37巻)

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1  五月一日(水) 曇一時にわか雨
 暖温‥‥一日あり。早、緑の五月。
 麦の緑、蓮華草、懐かしき、わが季節。
 二十九歳の春。静思に非ずして、動思の昨今。
 四月三十日、先生倒る。重大なる、学会の前途。
 今年は、悲しきことばかりなり。三障四魔の、嵐の年である。大阪・参院補欠選の、大敗北。
  幾度か 戦の庭に 起てる身の
    今日の悲しみ いつぞ忘れん
 既成の腐敗勢力に、勝つ日は、いつぞ。必ず、必ず。
 午後、S工業所の、竣工式に列席。平凡な一日。
2  五月二日(木) 曇後雨
 先生のお具合、良好の由。安堵。
 午後より、小雨あり。自己の幸福について、″病気と悔恨″は、悪と断じた──トルストイの心情を、思わずにいられない。
 夜、八時より、東京・国際スタジアムにて、第十六回春季総会の予行。十時過ぎまでかかる。
 この偉大なる、大河の如きエネルギーよ。
 皆に、希望あり、確信あり、歓喜あり。自己の弱さを、泌々感ず。
3  五月三日(金) 晴
 父と妻と、三人して、東京・国際スタジアムの会場へ。雲の如く、湧き出づる、地涌の戦士の、この力。
 先生、お元気なり。安心する。十年、二十年、生きて、生きて、生き抜いて戴きたい。胸中祈る。広布のため、我らのため、人類のためにと。
 十二時ちょうど──入場式。三時、終了。
 非常に充実した、満点の、総会であろう。
 終わって、目黒Gて、二次会。二百名による、盛大なる、宴会。
 青年部最高幹部たちと、遅くまで、打ち合わせ会‥‥。
 蒲田駅の近くで買い物のため、妻と駅で落ち合う。時間を約束せるも、二時間以上も待たせ‥‥悪いことをする。。人類の天使であり、現在より未来にわたって
4  5  五月四日(土) 曇
 午前十時より、Nにて、緊急支部長会議。
 十二支部長等、定刻に、全員揃う。
  一、御書発刊の件
  一、大講堂落慶記念総登山の件
  一、市・区議会議員選出の件
 以上──議題なり。先生、真剣な眼差し。
 昨日、買い物できず、そのため、夜、再び、妻と、時間を約束‥‥一時間以上も、寒い所で待たす。さすがに怒っていた‥‥可哀想になる。これからは、気をつけよう。
 Y親子、遅く、自宅に来る。善人。
 あらゆる国土世間に、立派な人が、出てほしいものだ。
 遅くまで‥‥読書‥‥思索。
6  五月五日(日) 曇
 子供の日。快活な子供。天真爛漫な子供。人類の天使であり、現在より未来にわたっての宝である。
 午前中、城久らと、楽しく遊ぶ。
 午後──御書の校正、あまり自信なし。
 平和なる一日、一日。刻々、変転しゆく社会。また、明日も、頑張ることだ。肉弾で。
7  五月六日(月) 曇
 一日中‥‥色心共に憂うつ。今朝、勤行せぬ因果か。猛省。
 信心、学会、人問、未来、現実‥‥経済、政治、文化、科学、教育‥‥さまざまなことを、徒然に、考える時がある。
 「御義口伝」の講義‥‥再開。先生の名講義に、胸打たる。大哲学の、達観の力。悟達の境涯よりの言々句々。われを恥じ、わが力を、嘆くのみ。
 大幹部らと、共に帰る。淋しき思いをしながら。信心は、感傷に非ずだ。
 四条金吾の信心、鏡とせねば。否、それ以上の指導者にならねば、広布はあらじ。
 負けるな。断じて、障魔に負けるな。自身に挑戦。
8  五月七日(火) 雨
 一日中、小雨。
 水星が、太陽表面を、通過したとのこと。
 苦しい、悩める一日、一日である。
 夕刻、会長室にて、先生と懇談。種々、指導をうける。先生の慧眼には、恐れ入るのみ。
 七時より、第二回学生部総部員会に出席。
 三点について指導。
  一、学会先駆の自覚を
  一、学業と学会活動とに関する具体的方針
  一、広布と学生の将来
 Mさんらと、語り合いながら帰宅。
 阿部次郎の『秋窓記』を読了。
9  五月八日(水) 雨
 雨‥‥今日も雨。
 電車混み、体力消耗しきる。車中にて、新聞も読むことできず。ゆとりなき、社会、人生。
 株、暴落。
 ″川中島″の歌を、口唱する昨今。
 六時より、B支部長更迭のため、新橋にて、送別会。先生と共に出席。十時まで、宴は進む。M君は、骨のある人物か。
 批判しあう人生に、あきあきする。毅然たる人格を、作り上げたいものだ。
 友もなく、淋しく帰宅。
10  五月十一日(土) 雨
 大阪での講義を、急ぎ中止し、名古屋に止まる。大阪地検の、様子が、おかしいとのこと。F弁護士ならびに、大阪の最高幹部らと懇談。
 五年ぶりの、中京である。偉大なる、田舎の感じの名古屋。名古屋に、深き、指導の手を入れねば。S君が、同行なり。偉い人だ。
 T支部長宅にて、質問会を、二時間。疲れる。終わって、青年部の幹部会──出席者は二百名。
 雨しきり。障魔の感、強くあり。
 駅前旅館に泊まる。大阪の幹部、数名と。
 先生‥‥第一回北海道総会に、ご出席。大阪行きの、私のことを、非常にご心配であったことを聞く。胸が痛む。ありがたき師。
 T支部長は、善良な人だ。
 戦い、向上、教学、人格、同志の紳‥‥。財力、権力、派閥力‥‥。
11  五月十二日(日) 雨
 八時、起床。
 在、杉田屋旅館。
 雨‥‥入梅の如き、憂うつな雨。我が心中の如し。
 弁護士らと、種々、打ち合わせ。
 大事な時に、人々の善悪が、わかるものだ。大事な、事件の時に、立派な、態度でありたい。
 タ六時より、皆で「荒鷲の翼」の映画を観る。皆、久しぶりにと、大喜び。わが心境も、知らずに。
 早暁、二時二十三分発「月光」にて、帰京。寒い、車中であった。一睡もせず、様々なことを考える。眠想。
 今年もまた、苦難との、戦いの、連続か。
12  五月十三日(月) 曇
 先生のことを思う。千々に思う。特に、学会の前途を、憂えずには、おられない。先生のご心境、誰人も、知らずか。
 朝、九時二十三分、東京着。
 東京のO弁護士とも、種々、打ち合わせ。希望を抱いて、前進だ。信心、本格的な信心なり。
 先生の奥様の、招待で、妻と私、芸術座へ。
 ″暖簾″‥‥大阪根性の、昆布職人の、一生の歴史劇。一道に徹しゆく、真剣なドラマに、美しき涙を、さそわる。
 心身共に疲れ果てる。‥‥妻と、ハイヤーで帰る。
 日記を、記すのも、つらし。字、乱れゆく
13  五月十四日(火) 晴時々曇
 身体、非常に悪し。三十七度八分の熱。
 弟の職が決まり、嬉しい。努力せずして、偉き人なし。彼も、努力さえすれば、優れた人物であるのに。
 先生──北海道より帰京、二時十五分上野着。奥様と共に、お迎えに行く。非常に、お疲れの様子。われわれは、疲れたと連発するのに、師は、一言もいわず。
 会長室にて、一時間、様々のご報告をする。先生の、何か決意されるを、直覚す。恐ろしくもあり、淋しさも感ず。
 夕刻、部長会に出席。茲に、十三部隊誕生す。女子また、五部隊誕生せり。
 青年部よ、盤石たれ。
 背の痛み、激し‥‥何の謗法か。健康でさえあれば‥‥。
 自体顕照、人間革命。
 少々、御書を拝読。難解、難解。

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