Nichiren・Ikeda
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昭和二十九年(十二月)
「若き日の日記・上」(池田大作全集第36巻)
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2 十二月二十七日(月) 快晴
昨日、先生宅に、お歳暮にお伺いする。
先生より、泰山も裂けんが如く、叱時さる。
厳父の怒り、先生の激烈なる大音声に、身のすくむ思いなり。
鳴呼、われ過てり。先生の仰せどおりなり。人生の落伍者にならぬためへの厳愛。
敗戦の将軍とならざるための訓戒。
ここ数日、自己の罪業、宿命をみつめ、泣き、憤り、思索して、先生のご期待に応えんと決意する。
先生の力、仏力の如し。先生の眼、仏眼の如し。真実の師弟の情、今ここに肺腑につきささる。お許しを乞い、生命を賭して、更に広布の先陣に立つのみ。
一日中、木枯らし吹く、寒き日であった。
わが胸臆と同じ暗さで―――。
3 十二月二十八日(火) 快晴
本年も、あと二、三日となる。
大鵬が、この一年、飛び、戦い、巣に帰り、今、休んでいる感じである。二十六歳の青春も去りゆくか。
時は去り、時は来る。歴史は創られて過ぎゆき、又、われらは、今後の歴史を創らんとす。
「人生如何に生きるか」―――実に、難しい事である。正しい師。正しい信仰。しかし、自分の強い一念が、更に大切ではあるまいか―――。
午後、本郷・東大赤門前のS書房に行く。聖教新聞へ寄贈の、仏教書購入のため。―――本の少ないのに全く驚く。
夜、忘年会。「黒田節」の第二節を歌い、先生より激憤を受く。
この二節目の歌が、恩師牧口先生を殺したのではないかと。―――涙さえ浮かべて居られた。申しわけなし。
心重し、何と愚かな自分よ。
師の心、知りしつもりが、何も知らざりしなり。
帰宅、午後十一時半。
4 十二月二十九日(水) 曇後晴
雲垂れ、朝寒く、午後より小晴れとなる。
朝、漢詩を手にする。
身体の調子、頗る悪し。苦しい一日であった。
午後一時より、K君等と会食。午後四時より、新橋O店にて、M君等と会食。
七時過ぎ、半年ぶりに実家に帰る。われを育てし大事な父、母がおわす家である。―――父母の、一日も長生きくだされんことを願い、失礼する。
八時、R宅へ。参謀室の友と共に。生意気な一家、特に女房に怒りをおぼえる。
午後十一時三十分、帰宅。
来年度の予定を、色々決定していく。
学会誹謗の記事をみる。
なんとあさはかな言論よ。なんと責任なき批評か。思い上がりの評論家たちにあきれるだけ。
ともあれ、正義の言論により、十年先、二十年先に、その勝負を決するのみ。
就寝、午前一時を過ぎる。疲れる。
5 十二月三十一日(金) 晴
午後二時、社を出る。散髪し、爽快な気分。色心は不二であることが、その度に実感される。
午後四時。本年最後の全体会議。
先生、少年時代、青年時代、壮年時代等の懐古談をしてくださる。波乱の生涯であられた。
―――幾多の偉人もいた。幾多の先駆者もいた。しかし、庶民と共に、今、これだけ青年をひきつけ、新時代を建設している人は、先生をおいて断じてない。
権力なく、財力なし。背景なく、地位もない。所詮は人間の裸になった力。全生命よりほとばしる信心の力。十年後、否、二百年後をめざしての英知。
われ、無量の思いあり。
夜、同志と共に、本部にて勤行。終わって、待望の大石寺へ出発。
一、八〇〇名の、友と共に。―――