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日蓮大聖人・池田大作

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昭和二十九年(二月)  

「若き日の日記・上」(池田大作全集第36巻)

前後
1  二月九日(火) 快晴
 昨夜、本部会長室にて、先生、発作を起こされた。
 非常に、お具合悪かったとの事。
 小生、大事な時に、留守で申しわけなし。
 再三、私の名前を呼ばれていたと聞き、更に、胸痛し。
 先生のお心、いかばかりか。‥‥
 本日は、少々良好の御様子であった。長寿を願うのみ。
 先生の、不死鳥の如き生命力を、いつも驚嘆しゆくは、吾れ一人に非ず。
 六時、水滸会。『水滸伝』第九巻を完結。小生が司会。七十六名の同志集合す。
 十時三十分、会長室にて、先生と懇談。
 昨日のことは、全くふれられず、悠々たる先生。「勉強せよ、勉強せよ」とおっしゃる。
 帰宅、十二時過ぐ。
2  二月十日(水) 快晴
 一時三十分、会長室に、先生をお見舞い。
 種々、御報告に上がる。先生、オーバーローンの、大蔵省原案を教えて下さる。
 無知な自分に、あらゆる方面から、教示下さる先生の熱意に、感謝するのみ。
 夜、池袋講義。
 終了後、再び、十時、イチゴ二箱持参して、先生をお見舞いする。
 非常に喜んで下さる。一時間、指導賜る。H氏も共に。―――
 先生の生命力、無限の御智慧には、本当に驚く。
 帰宅、十二時を回る。
3  二月十一日(木) 快晴
 先生の、五十四回目の誕生日。
 朝、ワイシャツとネクタイを、お祝いとして、差し上げる。
 非常に、お疲れの御様子。
 二時、教学試験の面接。Y秘書と共に。
 面接者、約四十人。
 自己の力無きを悔ゆる。
 勉強せねばならぬ。撓まず。
 向学心に燃えねばならぬ。青年らしく。
 求道心もて進まねばならぬ。求道者らしく。
 立派な指導者になる、第一要件なれば。
 八時、常泉寺。
 第一部隊会―――集合人員、三百名。
 盛況であった。
 未来の青年の、将来の大指導者の因果倶時の縮図を思う。
 帰宅、十二時少々前。
4  二月十二日(金) 曇
 暖冬。
 春の、足音が響いて来るようだ。
 希望、闘魂、―――春なれば、湧出せん。
 金曜講義。『価値論』、六時三十五分より。豊島公会堂、盛況。
 而し、先生の病気知れる小生は、お苦しそうな講義に、ひとり胸苦し。
 大事な時代が、一日一日、一年一年、到来している。
 弟子が、しっかりせねばならぬ。
 真実、真実。現実、現実。
 八時三十分、S宅にて、文京班長会。
 帰宅、十一時三十分。
 何となく、気分すぐれず。全く疲れた。怒る先輩あり、ねたむ友人あり、反感に満ちた人あり。
 目的と、使命持つ人は、いかなることがあれ、莞爾として、真っすぐに、進む事だ。
5  二月十三日(土) 曇
 十二時三十分、新潟行き準急にて、新潟方面の折伏に行く。
 六時、現地着。雪多く、初めて踏む地なり。
 歴史ある地、又、生涯の歴史に思い出ともなるらん。思ったより、温暖。東京より暖かなりと、一緒に来た友はいう。
 七時、O宅にて、指導会。出席者、百名。終了後、青年部員十一名と、深夜まで語り、激励する。
 此の地よりも、未来の大指導者の輩出する事を祈りつつ。
 而るに、幾人の同志が、真に、自分を信頼し、親しんでついて来ることだろうか。
 自分の力と思つてはならぬ。妙法の力に、人々はついているのだ。学会の力について、同志は、前進しているのだ。
 自分の無能を棚に上げ、知りたげの自分を嫌悪する。猛省、又猛省。
 同志と共に、O宅に一泊。
6  二月十四日(日) 曇一時雪
 在新潟。
 小雪。
 向島支部員等、八班に分かれ、折伏に入る。
 地方折伏の敢行。人材の少ない事を淋しく思う。
 指導者は、第一にも、第二にも、人材を見出すことに、懸命でなくてはならぬ。
 七時、班長会。
 全力を傾注して、指導をなす。
 唯今臨終の思いでの、信心、指導でなくては。―――
 いつの日か、再び、此の地を、訪れんや。―――
 この二日間の指導が縁で、幸福になれる人ありと思わば。―――
 終わって、青年分隊長に、和歌贈る。
  大聖の嵐の因縁
     ある地にて
  法旗を高く
     君等起ちゆけ
 夜行列車、十時の準急で、東京に向かう。
7  二月十五日(月) 晴
 新潟発夜行列車にて六時少々前、東京・上野着。
 疲れる。K君等と、朝風呂にゆく。
 八時過ぎ、出勤。
 朝の講義、日本歴史、相当進む。
 先生に、新潟の様子を、御報告。
 「御苦労」と、一言あるのみ。
8  二月十六日(火) 薄曇
 先生も、病魔との、戦いにたえられる。
 自分も、病魔との、連続の戦いである。
 燃え上がる信仰心にて、勝たねばならぬ。自分は、若い。これからの人生だ。先生の構想を、実現するエンジンなれば。
 一日中、大回転―――仕事。
 帰宅、十二時を過ぎる。
 闘争と、前進以外になき人生よ。わが宿命よ。
9  二月十八日(木) 雨一時曇
 小雨。
 社にて『モンテ・クリスト伯』読了。
 読書は、智慧も、知識も、指導力も、そして御書の読み方にも、力を与えてくれる。
 「生涯、三十分ずつでも、読書せよ。一生の間には、大変な長時間の読書になる」といった人がいた。
 七時、文京支部幹部会。
 場所、常在寺。
 気持ち良い、幹部会であった。本当に、真面目な人々だ。純粋な人達だ。
 指導者達が、最も大事に尊敬し、賞賛していい、民衆の代表者達だ。
 帰宅、十二時少々前。
10  二月二十日(土) 快晴
 九時発、特急にて、先生と共に大阪に向かう。
 その夜、青年部会。
11  二月二十一日(日) 薄曇
 午前中、第六部隊(九州部隊)の同志と会う。皆、元気。
 大阪に、九州に、四国に、若き地涌の菩薩は、雲集せり。
 見よ、十年後を、二十年後を。
 正午より、夕陽ケ丘会館にて大阪・堺・八女の三支部連合総会。
 ―――満員、立錐の余地なし。
 五時閉会、六時より会食。
 八時十分「明星」夜行にて帰京。
 本部幹部、十五名と共に。―――
12  二月二十二日(月) 快晴
 七時十分頃、品川駅着
 Y秘書と共に、目黒の先生宅まで、お送りする。
 朝食を御馳走になり、四十分程、種々、御指導賜る。
 夜、七時より、明和印刷へ、御書の校正にゆく。
 帰宅、夜半。
13  二月二十三日(火) 快晴
 先生と、朝お目にかかれず。
 一日中、何となく淋し。
 六時、水滸会。
 先生、非常にお疲れの様子。全く、御機嫌悪し、七時、閉会。
 先生に質問され、返答の出来ぬ自分を、心から恥ず。
 自分の成長は、青年部の成長である。
 自覚、成長共に、絶対の責務として、頑張れ。日本男子よ。学会青年よ。
 帰り、T部長と共に会食。
 帰宅、十一時三十分を回る。
 就寝、二時。
14  二月二十五日(木) 晴
 一日中、温暖。
 午後、仕事の途中、K宅による。K氏も、信心が、強固になってきた。
 事業も、順調なりと、喜んでいる。所詮、全人生の究極の欲求は、終結の願望は、信心の境涯にあらん。
 夜、明和印刷にて校正。
 終了後、H先生と共に、池袋T宅にて、班長会出席。
15  二月二十六日(金) 高曇
 暖かな一日であった。
 明和印制へ、校正に行く。帰宅、十時三十分。小雨降る。
 坊、すくすくと育つ。幸福な家庭。最高潮か。
 銭湯に行き、帰って、音楽をかける。
 楽しや、初春の、夜の小路。

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