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日蓮大聖人・池田大作

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昭和二十六年(五月)  

「若き日の日記・上」(池田大作全集第36巻)

前後
1  五月三日(木) 晴
 第二代会長、戸田城聖先生の会長推戴式。
 ―――場所、向島常泉寺。
 晴天、午後二時開始。祝賀会を終えて解散午後九時。
 遂に戸田先生は会長となられる。待ちに待った、吾等門下生の願望であった。生涯の歴史とならん、この日。
 集まりし同志、約一千数百名か。―――
 進まん、法旗を高らかに。広宣流布を目指して。二十億の民ぞ待て、吾が学会の進軍に。―――
 新組織の発表に、幹部の顔は、晴ればれなり。講演に、決意に、確信発表に、皆元気に、やらんかなの意気盛んなり。
 吾人は、一人、集会の中央に、静かに、先生の、先輩諸氏の話を聞き入るなり。
 十年先の、学会の前途を、見定める青年ありとは、先生以外に、誰人も知らざるを思いながら。―――
 先生を、最後に、胴上げせしは、忘れざる思い出なり。H兄の、学会を思いゆく瞳が、忘れられぬ。
 帰り、創価学会常住御本尊様を、拝持する御供養を、玄関にて、集む。―――
 帰宅、十一時少々前。
2  五月十三日(日) 晴
 唯、南無妙法蓮華経―――所詮、信心以外に、何ものもないことを感じて来る。
 策も、方法も、努力も、智慧も、思うようにゆかぬものだ。人生、妙法を会得する以外に、自由闊達なる幸福建設は、無いようだ。
 社員一同にて、十一時より、三越劇場に、観劇。
 夜、先生宅にて「当体義抄文段」開始。全く難しきなり。無駄口をきかぬよう注意してゆこう。
 「乙御前母御書」
 昔女人すいをとをしのびてこそ或は千里をもたづね・石となり・木となり・鳥となり・蛇となれる事もあり。
 明日から又、頑張ろう。常に、否、生涯、自分を、自分で叱咤して、進んでいく以外にないものだ。
 読書。―――
 就寝、三時。
3  五月十四日(月) 曇
 蒲田支部、Y女史の入仏式。七時より。
 戸田先生出席。私も出席する。
 S宅の一家は、明るく福々しい。戸田先生が大事にし、可愛がっておられることも良くわかる。
 信心していても、とても良い感じの人、一家、悪い感じのする人、一家があるものだ。やはり、良い感じの人、一家は、信心も純粋であり、素直んq、幸福なことを、意味するように思えてならない。
 夜半まで、読書。思うこと多し。
 いつの日か「宗教革命」と題し、長編詩を書きたいものだ。
4  五月二十日(日) 曇
 M氏、Sさん来る。入れかわりにY氏来る。共に、大森に折伏にゆく。自分の折伏の下手くそに全く困る。
 夕方、早めに室に帰る。何となく侘びしい日でならぬ。何となく苦しい日であった。
 横になり、雑誌を読む。
 就寝、十一時。
5  五月二十一日(月) 晴
 転機実に良し。
 頭脳が痛む、疲れているのだ。
 昨日の、悪夢に疲れたか。―――本日、虚無感―――戦いに負ける。
 午後、M宅を訪問。弱くして、善良な一家。―――
 帰り、Y宅を訪う。毅然たる態度で、対談に臨む。少々感じたらしい。
 性格は運命を決定してゆく。丈夫の心は強けれど、苦しむことも又多い。
 「持妙法華問答抄」
 只須く汝仏にならんと思はば慢のはたほこをたをし忿りの杖をすてて偏に一乗に帰すべし、名聞名利は今生のかざり我慢偏執は後生のほだしなり、鳴呼恥づべし恥づべし恐るベし恐るべし。
 就寝、一時二十分。
6  五月二十二日(火) 曇
 暑い日であった。仕事順調に非ず。困る。一歩前進、二歩後退という言葉がある。
 而し、信心以外には、打開の道は断じて無い。
 本年、第一回目の、大森地区の座談会を催す。新規の人、四名。予想外には本当に驚く。
 どうして、こんなに、正法を、信仰を、求めぬのだろうか? 淋しくなる。悲しくなる。最後まで頑張ることしか無い。一波二波、千波万波と動くことだ。
 妙法の力により、いつかは、必ず、信心させて貰いたいと、乞うて来る日が来ることだろう。それまで、頑張ろう。頑張らねばいけぬのだ。頑張っていれば良いのだ。
 同志は皆、頑張っている。偉い。本当に、偉い。兄弟達に、祝福あれ。幸福の華ぞ咲け。―――祈りたい気持ちである。
7  五月二十三日(水) 雨
 明るい一日であった。
 Mさんと、午後、二時間ほど種々語る。良く頑張って下さる人だ。心から感謝する。
 夕刻より、I宅にて「開目抄」「波木井殿御返事」の講義を、十数人の同志にする。皆、嬉しそう。同志が少しでも元気になって呉れることは、何よりも嬉しいことだ。
 八時五十分、帰宅―――。「大白蓮華」の原稿、書きしも、全くまとまらず、意気消沈。思うように、書ける日は、いつの日ぞ。
 Uさん、T君を、今月中に、折伏できるよう、お救い下さるよう、御本尊様に願う。
 就寝、十二時。
8  五月二十五日(金) 晴
 夕刻、戸田先生より、青年有志十四名に講義あり。
 「佐渡御書」であった。頑張らねばならぬ。
 自分が、思うように前進できぬことが悔しい。苦しい、泣きたくなる思いの日がある。
 吾が大森地区が心配でならぬ。地区が完壁になるよう、御本尊に祈る。
 青年の心は、どうして、転々と動くものか。感激、失望、歓喜、苦悩、向上、停滞、元気、心配、楽天、細心と。‥‥
 所詮、唯々、青年らしく。若人らしく。
 就寝、三時。
9  五月二十六日(土) 曇
 夜、本部にて、戸田先生の御書講義。
 「総在一念抄」
 明日は、T青年部長をはじめ四名と、栃木方面に一泊にて、地方折伏だ。
 吾人の、地方闘争への初陣である。嬉しき哉。
 吾が地区は、反省するととろ多々ある也。
 夜遅く、T氏、U氏達来る。学会の人達はもう少し、常識があって良いと、心に思う。
 無作は尊い。しかれども、正しき無作であらねばならぬ。他人に迷惑を掛けゆく行動は決して、本有無作とはいえない。否、仏法利用と断定できるものだ。
 礼儀と常識の有作は、無作を光らしめる有作であり、有作のための有作ではない。
 正法が、一人一人に理解され、時代の原動力、原理になりきったら、いかほどか、根深き国家が出来ようか。いかほどか、光輝ある、合理的な社会が建設されょうか。いかほどか、矛盾なき、行き詰まらざる人生を歩むことが出来ようか。
 正法を、深く、汝自身が理解することだ。
 正法を、広く、汝自身が広めゆくことだ。
 正法を、強く、汝自身が生活に生かすことだ。
 正法を、高く、汝自身が宣揚しゆくことだ。
 正法を、清く、汝自身が生命の奥底に流しゆくことだ。
 帰宅、十一時三十分。就寝、二時。
10  五月三十日(水) 晴
 天竺国をば月氏国と申すは仏の出現し給うべき名なり、扶桑国をば日本国と申すあに聖人出で給わざらむ、月は西より東に向へり月氏の仏法の東へ流るべき相なり、日は東より出づ日本の仏法の月氏へかへるべき瑞相なり、月は光あきらかならず在世は但八年なり、日は光明・月に勝れり五五百歳の長き闇を照すべき瑞相なり、仏は法華経謗法の者を治し給はず在世には無きゆへに、末法には一乗の強敵充満すべし不軽菩薩の利益此れなり、各各我が弟子等はげませ給へはげませ給へ。(諌暁八幡抄)
 一日一日、夏型の陽気。
 第一に、御本尊を信ずること。
 第一に、御本尊を疑わざること。
 第一に、御本尊に祈りきること。
 第一に、御本尊を離さざること。
 第一に、御本尊に訴えきっていくこと。
 帰宅、十一時。
11  五月三十一日(木) 雨
 五月も終わんぬ。
 丈夫の心は、苦難があれば、あるほど
 勇敢でなくてはならぬ。
 情熱が湧かねばならぬ。
 大白法流布に生きる若人、運命、使命。―――
 広宣流布に進みゆく、若人、青春、決意。
 真の同志は、幾人いることか。
 真の同志は、誰人なりや。
 真の同志は、自己が心から感じている人なりや。
 信ずるものは、大御本尊様あるのみ。大御本尊を信じきっている人が、真の信じられる同志なりや。真に信じられゆく同志は又、真に、大御本尊様を信じゆける人か。
 就寝、一時半。

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