Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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昭和二十六年(二月)  

「若き日の日記・上」(池田大作全集第36巻)

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1  二月一日(木) 晴
 天候が良いと、心まで明るい感じだ。
 今日も、懸命に、与えられた道を、真一文字に進んでゆこう。公私共に。―――
 洋服が破れ、うまく縫えぬので困る。
 就寝、十一時二十分。
2  二月二日(金) 快晴
 信仰―――これほど、深遠にして、且つ、尊く、力強い実践はない。
 忠言耳に逆うのか―――良薬口に苦しなのか―――折伏をすると、必ず反対する。今、信心している人々は、本当に、福運に満ち、絶対に幸福者になることは間違いなかろう。
 今、信心している人々は、先覚者だ。大聖人様の御賞讃も間違いなかろう。
 戸田先生「御義口伝」講義あり。
 暖かな夜である。感傷的になる。
 十二時、夢路の旅に入る。
       風、弥々強し。
 明日も頑張ろう。元気で。
3  二月三日(土) 晴
 身体の具合悪し。なかなか起きられぬので困る。
 冬に、身を鍛え、心を鍛えん。
 次に、暖陽の、春が待っている。
 桜花の舞に、夢散らすなきを。
 宿願の使命つとめ、尽くしゆく道に。
 心しゆかん、今日の目覚を。
 諸経多しと雖も未だ両眼に触れず法華の中に諸経を破るの文之有りと雛も諸経の裏に法華を破るの文全く之無し、所詮己今当の三説を以て教法の方便を破摧するは更に日蓮聖人の莠言ゆうげんに非ず皆是れ釈尊出世の金口なり。(四十九院申状)
 帰宅、十時三十分。就寝、一時。
4  二月四日(日) 快晴
 珍しきほど、暖かな良い天気が続く。
  一、月例青年部会、欠席。心重し。
  一、N教諭を訪問、教育論を十時まで論ず。
  一、今日より、健康のため、寝ぎわに、ウイスキーを少々服すことにする。
 疲れた。―――
 同じはぢなれども今生のはぢは・もののかずならず・ただ後生のはぢこそ大切なれ、獄卒・だつえば懸衣翁が三途河のはたにて・いしようをはがん時を思食して法華経の道場へまいり給うべし、法華経は後生のはぢをかくす衣なり、経に云く「裸者の衣を得たるが如し」云云。(寂日房御書)
 帰宅、十二時。就寝、一時三十分。
5  二月五日(月) 快晴
 朝、外食券食堂で、二食分食う。不節制な生活がつづく。いつも、自分で、自分の身体を悪くしているようなものだ。
 業因、業果、善因、善果、この理法は、誰よりも悉く自己自身が知悉しているものだ。所詮、誰人を責めるものでもない。誰人の責任でもない。―――
 夜、先生宅。「三世諸仏総勘文教相廃立」の権実相対終了す。実に難しい。
 講義後、先生より、種々叱責あり。結局、自分自身の生意気、慢心を戒めて下さるのだと強く反省。
 帰宅、十一時。『頼朝』を読み終わる。
 先生のことが、頭から離れぬ。
 信仰。人間革命。広宣流布。起ち上がれ。
6  二月六日(火) 晴
 一日中、機嫌悪し。寝不足か―――。
 一日中、仕事の能率上がらず。いやな一日であった。
 夕方、自宅にて座談会を催す。新人、一人も来たらず。出席者、K氏、T氏、H氏のみ。誠に淋しく、―――。
 感情の激しい人がいる。理性的な人がいる。どちらが幸福か―――。
 自分自身に、十年先を頑張ろうと、心にいいきかせ寝ることにする。
 時に、十二時三十分。
7  二月七日(水) 快晴
 七時三十分、起床。三座終え、勇んで出動。
 事業の前進にぶる。その原因は何か。自己の前進、成長のないことに尽きる。
 夕刻、Nさん等と会食。計六百同也の支払いとなる。実に痛い極みであった。
 帰宅、十一時二十分。寒い。
8  二月八日(木) 快晴
 青年部の、集合―――小岩、I宅。七時、宗教革命の若人十四名、勇躍、師の下に集まる。
 厳粛たり。躍動たり。今夜の歴史的会合、実に三時間以上に及ぶ。皆、真剣なり。
 最後、「三大秘法禀承事」の大講義に、猛然たる心となれり。末法、化儀の広宣流布の定義を示唆し下さる。
 次に『永遠の都』の感想発表を、一名ずつ行う。
 吾人は、革命には、大別して三種類あり。即ち、政治革命、経済革命、宗教革命なりと。
 いま此の書は、明治維新の革命と同じく、政治革命なりと思うと。共産革命は、経済革命なりと。吾人等の断行せんとする革命は、それらより本源的な、宗教革命なりと。即ち、真実の平和革命であり、無血革命なりと。大意の感想をのべたり。
 今日の、十四名が、十年後、昭和三十六年二月八日には、どのように存在して居ることか。祈る、一人も落伍なきことを。健在にて、健闘して居ることを。―――
 寒き道、寒き車中を、U氏等と共に、自宅に。
 帰宅、十二時四十分。
9  二月十日(土) 晴
 確信―――常に、確信、確信と云う。そして書く。そして論ずる。而し、確固たる確信は、到底掴めぬものである。幾度か、死線を越え、苦悩の大河を渡らねばならぬものか。
 信心―――これとそ、唯一の確信に、生き抜ける途なのだ。結局、勇猛精進あるところに、真の確信は、掴めて来ることであろうか。
10  二月十一日(日) 晴
 十時、起床。昨日の疲労やや抜ける。B君に起こされる。良い天気が続く。食堂に行き、のんびりと朝食兼昼食を済ます。一人ものは呑気なものだ。
 十二時過ぎ、歓喜寮にゆく。折伏した、M氏、U氏に約束破られる。悩む。吾人は而し、若いのだ。卑屈になってはならぬ。
 六時、戸田先生宅に伺う。
 「三世諸仏総勘文教相廃立」第二段階に進む。益々、先生と共に、広宣流布に蓮進しゆくことを決意する。
 先生の、お誕生日であった。先生に、御挨拶しなかったことを淋しく考える。
 帰宅、十一時少々前。
11  二月十二日(月) 晴
 先生に嘘をつく。
12  一切、大御本尊様の照覧があると思えば、実に、人生は明るい。その反対、文厳しい。
 一日中いやな気持ちであった。心奥よりお詫び申し上げます。身体の具合、余りにも悪く、苦悩の叫びであったか。小生の弱さを、意気地なさを、情けなく悲しむ。
 午後、神奈川にゆき、引き続いて、小岩N氏宅訪問。N君等三人で種々懇談。
 詮ずるところ、自己の完成しかない。妙法に照らされ、恥じる所なき自己。何ものにも動揺せぬ自己。
  一、折伏を常になす事。
        自行化他の、信心なれば。
  一、勤行を怠らざる事。
        一切の生活、活動の原動力なれば。
  一、建設、成長を忘れざる事。
        若人の、価値なれば。
13  二月十三日(火) 晴
 二月も、早中旬。S宅に伺う。オーシャン・ウイスキーを、一本買ってゆく。
 M宅で座談会のため、早く仕事を切りあげる。京浜蒲田駅で、I氏達を五十分待つ。遂に来たらず。折伏の難しさを、つくづく知る。
 座談会後、K氏と女史と、共に、小生へ、反省せよとの忠言ある。事業と信仰とのことについて。Kさんまでが、私の立場、心奥をば知解して貰えぬかと思うと、情けない。Y女史なぞに於ては言を俟たず。―――先輩にへつらい、盲目にして生意気な女性よ。―――
 断じて、私の現在が課されている行動に、悔いはない。絶対に、吾が道を行くべし。自分は、戸田先生の弟子である。戸田先生を、中心としての一切の活動であり使命であり、実践をしているのだ。
 一時三十分、帰室。Y君来ている。二時まで語り、帰る。良い奴だ。同志だ。―――
14  二月十四日(水) 雪
 起床、八時。三座で、大急ぎ出勤。
 天気の様子がおかしくなる。二時まで在社。先生と、重要談合これ有り。御自宅の担保の事。明日まで解決せねば取られてしまうとの事。小生必ず解決させねばならぬ。題目だ。題目の力で。
 本年三度目の雪、紛々と降り始む。複雑混乱の頭も、社会の泥沼の戦闘の心身も、清く流して貰いたい雪だ。
 雪の如き信心と云う御金言が浮かんで来た。耐し、寝不足のためか、夢を見ながら歩いている様だった。
 夜、Y氏宅にゆく。良く共に頑張って呉れた。感謝にたえない。生涯、心に留めてゆこう、此の一家を。―――可哀想な、路傍の石の如き一家よ。―――私は思う。立派に活躍して勇んでいる人より、この一家こそ、埋もれた尊き同志なりと。―――心から愛する。心から信頼する。―――
 七時三十分、帰宅。何かとぼんやり思念する。要は生命力を落としてはならぬ。断じて、負けてはならぬ。
15  二月十五日(木) 雪
 十五年ぶりの大雪となる。国電も不通。
 一面、見事なる銀世界を作り上げる。
 昨日の用件解決のため、休社するわけにいかず。電話にて種々打ち合わせ。十二時より0氏宅訪問。
 一日一日、良く反省して進もう。自分の悪しき事は、充分反省せねばならぬ。決して、慢心が有つてはいけぬ。―――
 青年部の十四人の会合―――七時、小岩、I宅に集合。されど、先生お見えにならず、淋しき限りなり。「諸法実相抄」の読み合わせをいたす。終了、九時二十分。Y君、吾が家に来る。吾が同志だ。
  一、Tさんを精進成長せしむる事
  一、自己の反省(半年間の)
16  二月十六日(金) 曇
 勤行三座にて、大急ぎ出動。性急な性分、人生だ。―――
 一日中、小岩方面に仕事にゆく。
 「御義口伝」講義にゆけず、残念なり。Kさんに会い度し。―――種々打ち合わせたまわる。
 人間は、どうして、こんなに愚かなのか?
 人間は、どうして、こんなに不幸なのか?
 人間は、どうして、こんなに増上慢なのか?
 人間は、どうして、こんなに利己主義に出来ているのか?
 人生の目的、因果倶時、幸福、―――
          南無妙法蓮華経
 帰宅、十一時。
17  二月十八日(日) 晴
 戸田先生宅。「三世諸仏総勘文教相廃立」講義有り。
 五百塵点劫ノ当初そのかみ・凡夫ニテオワセシ時云云。
 大聖人の肝心なることを承る。
 実力が欲しい。力が欲しい。頭脳明断になりたい。
  一、二十五歳までに、広宣流布に生命を捧げられる用意をなす事。
  一、二十五歳までに、指導力を養い、先生の御意志を継げる決意を固める事。
 十時三十分、帰宅。Y君来る。
18  二月十九日(月) 晴
 六時四十五分、起床。Y君と、大急ぎで、大森駅にゆく。早いと、電車は、すいている。だが寒くてたまらぬ。
 午前中、早稲田にO氏を訪問。午後、大田区方面に、Yさんと共に回る。
 一日一日の仕事を、御本尊に、胸奥から、願いゆくことに尽きる。
    南無妙法蓮華経
 帰宅、十時三十分。早目に休もう
19  二月二十日(火) 晴
 暖かな一日であった。
 身体の具合、少々良好。題目の力だ。
 嬉しいことだ。色心不二である故に、身体健全にならぬ道理はない訳だ。
 信仰の絶対性。―――正しいことだ。今の宗教界は、不純となってしまっている。
 世界の動乱は、限りなく展開されて来る。共産勢力の進展は如何。宗教否定の、この力に対し、いかに処すべきや。その唯一の解決は、不惜身命、勇猛精進の、地涌の菩薩の突進に尽きるのみ。―――
 真の地涌の菩薩、幾人有りや。―――
 「立正安国論」「三大秘法抄」をば、血涙の流れ出るまで、色読せねばならぬ。
 使命を痛感せり。広宣流布の旗頭は―――。
 生涯、永久に、広布の人材を育て上げることこそ重大なり。重大なり。
 人材を見つけるには、自己が慧眼(えげん)で・なくてはならぬ。そは、信心の眼でなければならず。
 人材を作り上げるには、長き時間、期間を要す。そは、信心の力で、境智冥合させゆく道しかあらず。
 帰宅、十時四十分
20  二月二十一日(水) 晴
 今日も元気で戦おう。
 今日も元気で進もう。
 若いのだ。若いのだ。
 春だ。春だ。
 もうじき、希望に燃える春が来る。
 大志も、情熱も、草木と共に伸びてゆく。
 春だ。春だ。
 生きるととの楽しさを知らせる。―――
 所詮、信ずるものは、大御本尊様也。永久不変の大真理也。そして、自己自身也。その自己の正報ありて、依報の同志、強く、逞しく続かんや。―――
 若人よ、起て。若人よ、進め。若人よ、行け。前に、前へ。岩をも、怒濤をも恐れずに。
 ロッシの如く。ブルーノの如く。ナポレオンの如く。アレキサンダーの如く。ホイットマンの如く。ダンテの如く。
 帰宅、十一時。就寝、一時。
21  二月二十二日(木) 小雨
 新宿、先生の社にて、青年部会。
 集合、十四名。「諸法実相抄」の講義。
 先生より、法華経第一の巻と、方便品第二との関係をはじめ、数度の質問有り。
 小生の、不勉強に心痛む。先輩を見習わねばならぬ。
 先生の、弟子に対する訓練、次第に深く感ずる。宿命の代表の弟子も吾れなりと、心苦しむ。皆で、この師の遺業を立派に果たしたいものだ。今は、罵詈罵倒されている師、学会。而し、吾等の成長せる、十年後、二十年後を見るべしと、心奥に、岩の如く感情が湧く。
 吾等は、宗教革命の闘士だ。
 そして、社会革命達成の先駆者だ。
 吾等は、大思想流布の闘士だ。
 そして、世界平和の樹立者だ。
 吾等は、民衆救済の闘士だ。
 そして、民族を愛する如来の使いだ。
 所以は、
    大仏法の真髄が流布される秋だからだ
    見濁、衆生濁、命濁の根本解決法を、持しているからだ。
    民衆救済の大指導原理があるからだ。
    伸びゆく民族、滅びゆく民族の根本解決法を覚知しているからだ
22  二月二十三日(金) 雨
 雨しきり。ゆっくり休む。身体の具合良好となる。
 夕刻、どしゃぶりの中を、先生宅にゆく。講義なし。永遠の生命について、宿題あり。全く困る、難しくて。
 帰り、I兄、吾が室に泊まる。寒いので、風邪を引かぬよう、申す。
 十二時、一つ蒲団に休む。
23  二月二十四日(土) 曇
 暖かな一日となる。春が一歩一歩、近づいて来たのだ。
 若人の胸はふくらむべきだ。楽しくとも、苦しくとも。
 『三国志』全巻、読み終わる。
 構想大なり。人心の機微よく画けり。大戦乱に、活躍せし、武将、政治家の一大絵巻の感あり。策あり、恋あり、涙あり、意気あり、力あり、教訓多々なり。
 建設、革命の青年、劉備玄徳の姿―――。
 頭が痛む疲れか。謗法であってはならぬ。吾が椛谷支部のことを考える。一人、Kさんの奮闘に頭が下がる。―――
 就寝、十二時。
24  二月二十六日(月) 小雨
 春爛漫―――晴れわたる桃花の季節。
 若き、革命児達の季節に似たり。
 三月、四月、五月と天地は開く。
 若き、革命児達と共に生いたち咲き薫れ。
 吾等、君達、共に恩師の御教えを護る名誉の花ぞ。
 若き、革命児達よ、
 永久に、名を残す、花と咲き、散ってゆこうぞ。
 楽しき者、苦しき者、明るい人、悲しい人、富める同志、悩める同志、感激に生ききっている革命児、涙で生ききっている革命児。
 共に、妙法の使徒だ。大聖哲の子供だ。恩師の弟子だ。常に、励ましあって、目的達成まで、戦うのだ。進むのだ。頑張るのだ。不退転でゆくのだ。
25  二月二十八日(水) 小雨
 給料日なので、菓子等を買って、夕刻、Y宅訪問。―――
 十数人の人々集まっている。仕事のことにて。皆して、菓子等を食しながら、雑談。
 楽しそうに小二時間過ごすことが出来る。嬉しいことだ。
 いかなる戦乱、動乱、激乱の時代、社会にあっても、大御本尊を、疑わず、絶対の大功徳あると信じて進むことだ。それだけ出来得れば、立派な人であり、大信者であると思う。
 帰宅、十時四十分。二月も過ぎた。
 三月と聞くと、何となく、暖温を感ずるものだ。

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