Nichiren・Ikeda

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日蓮大聖人・池田大作

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米中対話の教訓  

「わたしの随想集」「私の人生随想」「きのう きょう」(池田大作全集第19…

前後
4  有名な話は、江戸城明け渡しのときの、官軍の西郷と、幕軍の勝との会談である。この対話も見事成功した。
 この話には、後世に美化された点もあるにちがいないが、それでも、西郷、勝会談は歴史に残る名対話であることは疑いない。二人の胸中に、巷間いわれているような、江戸市民の生命と生活を守る共通感情が、どの程度あったかは確言できない。しかし、少なくとも当時としては進歩的な、官軍、幕軍を超えた、同じ日本人という共通の意識があり、その観点からこの問題を解決しなければならないという自覚があったことだけは確かであろう。そして、その意識が、劇的な結果を生んだのであろう。
 してみると、今日における家庭の問題にしろ、国際問題にしろ、互いに、一段次元の高い共通感情に立つとき、対話の歯車は、豊かな結実に向かって回転を始めるのであろう。その共通感情を、どこまで高めうるか、人間生命という至尊の高みに達したとき、どれほど人間味あふれた潤いが、この社会にもたらされるであろうか。
 対話ということを、たんなる、言葉の交換に終わらせないための努力を、惜しんではなるまい。

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